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【開いた口へ牡丹餅】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・英語)

開いた口へ牡丹餅

【ことわざ】
開いた口へ牡丹餅

【読み方】
あいたくちへぼたもち

【意味】
努力もしないのに、思いがけなく幸運がやって来ることのたとえ。

ことわざ博士
開いた口へ牡丹餅は、何かをねらって得た成功ではなく、偶然に幸運が向こうから転がり込むことをいうことわざだよ。
助手ねこ
くじに当たる、思わぬよい話が舞い込むなど、苦労せずに利益や幸運を得る場面で用いるニャン。

【英語】
・a windfall(思いがけない幸運・利益)

【類義語】
・棚から牡丹餅(たなからぼたもち)
・開いた口へ餅(あいたくちへもち)
・棚牡丹(たなぼた)

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「開いた口へ牡丹餅」の語源・由来

ことわざを深掘り

「開いた口へ牡丹餅」は、中国の古い故事にもとづく言葉ではなく、日本で使われてきたことわざです。何気なく開けていた口に牡丹餅が入るように、何の苦労もしないで思いがけない幸運を得ることを表します。

このことわざの中心には、「口を開けているだけ」という受け身の姿があります。自分から取りに行ったのではなく、向こうから食べ物が入ってくるというたとえによって、努力や準備をしていないのに幸運が来るという意味がはっきり伝わります。

「牡丹餅(ぼたもち)」は、もち米とうるち米を炊いて軽くつき、丸めて小豆餡(あずきあん)やきな粉などをまぶした食べ物です。「御萩(おはぎ)」とも呼ばれ、昔から人々に親しまれてきた甘い餅菓子です。

ことわざの中で牡丹餅が用いられるのは、それがただの食べ物ではなく、うれしいもの、ありがたいものとして受け取られやすかったからです。甘い餅菓子が、思いがけず口へ入るという形は、偶然の幸運を分かりやすく表すのに向いています。

古い形としては、「開いた口へ餅」という言い方もあります。こちらも「思いがけなく幸運が到来すること」を表し、「棚からぼた餅」と同じ意味の言い方として扱われます。

「開いた口へ餅」の古い用例には、恋川春町(こいかわはるまち)作・画の黄表紙『金々先生栄花夢(きんきんせんせいえいがのゆめ)』(1775年・江戸時代中期)があります。そこには「これさいわい福徳の三年目、あいた口へもち、天へもあがるここちして」という形が出てきます。

『金々先生栄花夢』は、金村屋金兵衛(かなむらやきんべえ)が金持ちの養子になる夢を見て、放蕩三昧(ほうとうざんまい)の末に勘当され、栄華のむなしさに気づく作品です。この中の「あいた口へもち」は、思いがけず都合のよい幸運が来たように感じる場面の言い方として使われています。

その後、「餅」だけでなく「牡丹餅」を用いた形も広まりました。「開いた口へ牡丹餅」の用例としては、仮名垣魯文(かながきろぶん)の『西洋道中膝栗毛(せいようどうちゅうひざくりげ)』(1870〜1876年・明治時代初期)に、「あいたくちへぼたもちのうまいはなしに」という形が出てきます。

『西洋道中膝栗毛』は、仮名垣魯文らによる滑稽本(こっけいぼん)で、『東海道中膝栗毛』の趣向を受けながら、明治初期の西洋見物や海外への関心を背景にした作品です。この用例では、「うまい話」が舞い込むことを、「開いた口へ牡丹餅」と結びつけて表しています。

「開いた口へ牡丹餅」は、「棚から牡丹餅」ととても近い関係にあります。「棚から牡丹餅」は、思いがけない好運を得ること、また労せずしてよいものを得ることを表すことわざです。

二つの言い方は、どちらも「労せずして幸運を得る」という意味を共有しています。ただし、「棚から牡丹餅」は上から落ちてくる幸運に重点があり、「開いた口へ牡丹餅」は、受け身のままで幸運が口に入るという姿がより強く感じられる言い方です。

また、「棚牡丹」は「棚から牡丹餅」を縮めた言い方で、思いがけなく幸運がころがり込むことを表します。現在の日常語でも「たなぼた」の形で使われるため、「開いた口へ牡丹餅」は、同じ発想をより具体的な場面で示すことわざといえます。

したがって、このことわざは、まじめに努力することの大切さを否定する言葉ではありません。自分で努力して得た成果ではなく、偶然に幸運が入り込んできたとき、その思いがけなさを少しおかしみをこめて言い表すことわざです。

「開いた口へ牡丹餅」の使い方

健太
商店街の福引きで、余っていた券を一枚もらったんだ。
ともこ
それを回したら、一等の図書カードが当たったの? すごいね!
健太
うん。自分で券を集めたわけでもないから、開いた口へ牡丹餅みたいでびっくりしたよ。
ともこ
思いがけない幸運だね! せっかくだから、読みたかった本を選びに行こう。
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「開いた口へ牡丹餅」の例文

例文
  • 福引き券を一枚だけもらって一等が当たり、まさに開いた口へ牡丹餅だった。
  • 急に空きが出て希望の講座に入れたのは、開いた口へ牡丹餅のような幸運だった。
  • 友人が行けなくなった試合のチケットを譲ってくれて、開いた口へ牡丹餅と思うほどありがたかった。
  • 応募した覚えの薄い懸賞に当選し、開いた口へ牡丹餅の出来事として家族で喜んだ。
  • 取引先から思いがけず大きな注文が入り、会社には開いた口へ牡丹餅の知らせとなった。
  • 何もしていないのにほめられたわけではないので、その成功を開いた口へ牡丹餅とは言えない。

主な参考文献
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『デジタル大辞泉』小学館。
・恋川春町『金々先生栄花夢』1775年。
・仮名垣魯文『西洋道中膝栗毛』1870〜1876年。
・Merriam-Webster『Merriam-Webster.com Dictionary』。





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