「蜘蛛の子を散らす」の意味(語源由来)
【慣用句】
蜘蛛の子を散らす
【読み方】
くものこをちらす
【意味】
大勢の人があっという間に散って逃げる様子。
蜘蛛の子がいっぺんに広がるみたいに、皆がサッと散らかるんや。何かあった時に、一斉に逃げるみたいな状況を想像するとわかりやすいな。
蜘蛛の子がたくさん入っているふくろをやぶると、蜘蛛の子が四方に散らばって逃げることから。
「蜘蛛の子を散らす」の解説
「蜘蛛の子を散らす」っていう言葉は、ほんとうにクモのお話から来てるんだよ。クモのお母さんは、卵を産むときにそれを蜘蛛の糸でぐるぐる巻きにして守るんだ。これを卵嚢(らんのう)っていうんだよ。それは白いふわふわの繭みたいなものに見えるんだ。
中にはたくさんの卵があって、一度に数十から数百の子グモが生まれるんだよ。これらの子グモたちは卵嚢から出ると、どこか安全な場所を探して四方八方に逃げていく。この様子がまさに「蜘蛛の子を散らす」なんだ。
なので、「蜘蛛の子を散らす」という言葉は、何か予想外の出来事が起きて、たくさんの人があっという間にバラバラに逃げていく、そんな様子を表しているんだよ。人間社会でも、何か困ったことが起きたら、人々がさまざまな方向に散って逃げていくことがあるよね。それと同じ様子を、蜘蛛の子たちが示しているわけさ。
「蜘蛛の子を散らす」の使い方
蜘蛛の子を散らす」の例文
- 敗れた兵が、暗闇の中を蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。
- 銃を発砲する音がしたので、店の中にいた人たちは蜘蛛の子を散らすように逃げた。
- 動物園で虎がおりから脱走して、蜘蛛の子を散らすようにお客さんはように逃げた。
- 警察が駆け付けたので、喧嘩をしていた若者たちは蜘蛛の子を散らすように逃げ去った。
- 「もう暗いから、早く帰りなさい」と先生が校庭に向かって叫ぶと、残っていた生徒が蜘蛛の子を散らすようにいなくなった。
- 群衆は、蜘蛛の子を散らすようにいなくなった。
【注意!】間違った例文
❌「100m走のスタートの合図で、蜘蛛の子を散らすように走り出した。」
「蜘蛛の子を散らす」の文学作品などの用例
教員室には掛図かけずや大きな算盤や書籍や植物標本やいろいろなものが散ばって乱れていた。女教員が一人隅のほうで何かせっせと調物をしていたが、はじめ一寸挨拶したぎりで、言葉も懸けてくれなかった。やがてベルが鳴る、長い廊下を生徒はぞろぞろと整列して来て、「別れ」を遣るとそのまま、蜘蛛の子を散したように広場に散った。今までの静謐とは打って変って、跫音、号令の音、散ばった生徒の騒ぐ音が校内に満ち渡った。(田山花袋の田舎教師より)
例えば、急に大雨が降ってきて遊んでいた人たちがみんな逃げ出す、そんな感じさ。