「秋茄子は嫁に食わすな」の意味(語源由来・類義語・対義語・英語訳)
【ことわざ】
秋茄子は嫁に食わすな
【読み方】
あきなすはよめにくわすな
【意味】
秋にできるなすは美味しいから嫁には食べさせるなという、姑から嫁への意地悪なことば。または、茄子は体を冷やすので嫁には食べさせないほうがよいというお嫁さんを大切に思う言葉。二つの意味がある。
でも、もう一つの意味としては、「茄子は体を冷やすから、または子供ができづらくなるから、嫁のために食べさせない方がいい」って、大切に思う心も含まれてるんやな。これは、同じ言葉でも、どう解釈するかで全く意味が違ってくるってことやな。
【語源由来】
秋茄子はおいしいから嫁に食べさせないという意地悪な意味。秋茄子は身体を冷やすため、または種子が少ないため、子宝に恵まれなくなるため食べさせないという思いやりのことばとする説もある。
【類義語】
・秋魳は嫁に食わすな
・秋鯖は嫁に食わすな
・五月蕨は嫁に食わすな
【対義語】
・秋茄子嫁に食わせよ
【英語訳】
Don’t feed your wife autumn eggplant.
Don’t let your wife have autumn eggplant.
「秋茄子は嫁に食わすな」の解説
「秋茄子は嫁に食わすな」っていう言葉には何種類かの説があって、語源や背後にある思考は昔の人々の暮らしや思いから色々と学べるんだ。
一つ目の説は、「憎らしい嫁にはもったいない」という意味で使われていたっていうのが一般的な解釈なんだ。同じような言葉に、「秋かます嫁に食わすな」、「秋鯖嫁に食わすな」、「五月蕨は嫁に食わすな」なんていうのもあって、これらはみんな、新しく家に来た嫁をちょっと苦しめるような、嫁いびりの言葉だったみたいだよ。
二つ目の説は、「体を冷やすから食べさせるな」や「子供を作るための力をなくすから食べさせるな」という説もあるんだ。これは、嫁に対する姑(しゅうとめ)が、なんだかんだ言って本当は心配していたんじゃないかな、っていう解釈だよ。
そして三つ目は、昔の和歌集『夫木和歌抄』に、「秋なすび わささの粕につきまぜて よめにはくれじ 棚におくとも」という詩があるんだ。これがこのことわざの語源だとも言われているよ。「わささ」は新酒、「よめ」はネズミのことを表していて、「新酒の粕に漬けた秋茄子は、ネズミに食べられないように注意してね」という意味だと解釈されているんだ。なので、もともとの言葉は「秋茄子はネズミに食わすな」だったのかもしれないよ。
つまり、このことわざにはたくさんの解釈があって、それぞれがその時代の人々の生活や思いを反映しているんだね。
「秋茄子は嫁に食わすな」の使い方
「秋茄子は嫁に食わすな」の例文
- 秋茄子は嫁に食わすなというように、おいしいものを食べさせるのはもったいない。
- うちの嫁はとても優しくていい娘だから、秋茄子は嫁に食わすなと体を気遣うように伝えた。
- あれほど意地が悪い嫁には、秋茄子は嫁に食わすなというように、うまいものは食べさせないようにしている。
- 秋茄子は嫁に食わすなといいますが、なすがおいしい季節になりましたね。
「秋茄子は嫁に食わすな」を深掘り
「秋茄子は嫁に食わすな」ということわざは、日本の古い言い伝えの一つです。
この言葉は、一見すると姑が嫁に対して美味しいものを食べさせたくない、という意地悪な意味合いがあるように受け取れます。
というのも、茄子は秋になるとその味がより引き立つため、これを嫁に食べさせたくないという心情を示しているように見えるからです。
しかしながら、この言葉には別の解釈も存在します。秋の茄子は、あくが強くなるともいわれており、特に若い嫁や妊婦にとっては、体に良くない可能性があると考えられています。
この解釈によれば、このことわざは嫁の健康を思う姑の親心から来ているのかもしれません。さらに、秋の茄子には種子が少ないことから、子孫が少なくなるという俗信もあるとされています。
中国の明代の薬学書『本草綱目』にも、茄子を食べすぎると腹痛や下痢が起こりやすく、女性には子宮を傷つける可能性があると記されています。
室町時代の『夫木和歌集』には、「秋なすびわささ (早酒)のかすにつけまぜてよめにはくれじ棚におくとも」という和歌が掲載されており、これがこのことわざの由来ともされています。
この和歌からは、早造りの酒かすに秋の茄子を漬けることが、当時の珍味であったことが伺えます。
「秋茄子は嫁に食わすな」という表現は、他の食材に関する似たようなことわざにも通じるものがあります。
例えば、「山でうまいものオケラにトトキ、嫁に食わすはおしゅうござる」といった言い伝えが山村でよく語られます。オケラやトトキといった山菜は、春の若芽の時期に特に美味しいとされています。このような美味しい食材を嫁に食べさせたくないという心理は、古い家族制度の中に根付いていたようです。
しかし、これに対抗するような言葉も存在します。江戸時代の川柳に「秋なすび姑のるすにばかり食ひ」という言葉があります。
これは、姑がいない隙に美味しい茄子を嫁が食べるという意味で、家庭の人情や家族の微妙な関係を表現していると言えるでしょう。
平安時代の文学作品『枕草子』にも、姑に褒められる婿や姑に思われる嫁という珍しい存在を例えて述べる言葉があり、これにより古代から家族の間の人情が変わらないことが伺えます。
参考文献
植物ことわざ事典 | 足田 輝一
一方で、茄子が体を冷やす効果があるとか、種が少ないから子供ができにくくなるという意味で、嫁を思いやる言葉とも解釈されているんだ。