【ことわざ】
朝のぴっかり姑の笑い
【読み方】
あさのぴっかりしゅうとめのわらい
【意味】
朝のよい天気や姑の笑顔のように、変わりやすく当てにならないことのたとえ。


【英語】
・A gaudy morning bodes a wet afternoon.(派手に明るい朝は、雨の午後を告げる)
【類義語】
・朝日のちゃっかり姑のにっこり(あさひのちゃっかりしゅうとめのにっこり)
「朝のぴっかり姑の笑い」の語源・由来
朝のぴっかり姑の笑いは、中国古典の一場面から生まれた故事成語ではなく、天気の変わりやすさと人間の機嫌の変わりやすさを重ねた、生活の中のことわざです。天候と人間の振る舞いを結びつけ、少しおかしみをこめて言い表すところに特色があります。
「ぴっかり」は、朝に日が明るく照る様子を表します。このことわざでは、朝から太陽が強く照って上天気に見える状態を「朝のぴっかり」ととらえ、その明るさをすぐには信用できないものとして扱っています。
天気予報が今のように整っていなかった時代、人々は空の色、雲の形、風向き、朝夕の光の様子などを見て、その後の天気を読もうとしてきました。こうした言い習わしは、農作業や旅、漁など、天気に左右される暮らしの中で受け継がれてきたものです。
「朝のぴっかり」は、朝の強い日ざしがその日の晴天を保証するとは限らないという経験から生まれた見方です。日本付近では天気が西から東へ移り変わることが多く、朝に東の空が明るく見えても、西から雲や雨のもとが近づけば、のちに天気が崩れることがあります。
ただし、このことわざは科学的な予報そのものではなく、昔の人が日常の経験からつかんだ天気の見方を、印象的な言葉にしたものです。天気の言い習わしには、地域の自然条件によって当たりやすさが変わるものもあるため、ここでも「朝の晴れをうのみにしない」という用心の気持ちが中心になります。
後半の「姑の笑い」は、昔の家庭内の人間関係を背景にした、風刺を含むたとえです。姑がにこにこ笑っていても、その機嫌がいつまで続くか分からないという見立てを、朝の天気の変わりやすさに並べています。
この言い方は、姑という立場の人を実際に悪く決めつけるためのものではありません。古い暮らしの中で、気をつかう相手の機嫌を天気の変化になぞらえ、「よさそうに見えても油断できない」という気分を笑いに変えた表現です。
表記としては、「朝のぴっかり、姑の笑い」のように間に読点を置いて示される形もあります。読点を置くと、「朝のぴっかり」と「姑の笑い」という二つのものを並べ、どちらも変わりやすく当てにならない、という対応関係が分かりやすくなります。
また、似た言い方に「朝日のちゃっかり姑のにっこり」があります。こちらも、朝日の一時的な明るさと姑のにこやかな顔を重ね、どちらも長く続くとは限らないものとして言い表しています。
このように、朝のぴっかり姑の笑いは、天気を読む知恵、人間関係への観察、言葉遊びのような調子が合わさって定着したことわざです。現在では、天気だけでなく、最初だけよく見える計画、まだ確かでない約束、一時的に好調な成績などにも広げて使うことができます。
「朝のぴっかり姑の笑い」の使い方




「朝のぴっかり姑の笑い」の例文
- 朝のぴっかり姑の笑いというから、強い朝日だけを見て洗濯物を外に出したまま出かけるのは心配だ。
- 今朝は空が明るいが、朝のぴっかり姑の笑いで、遠足には雨具も持たせた。
- 新しい企画の初日の売れ行きだけで成功を決めつけるのは、朝のぴっかり姑の笑いというものだ。
- 先方の返事はよさそうだったが、正式な契約前は朝のぴっかり姑の笑いと見て準備を続けた。
- 機嫌よく引き受けてくれたからと安心しすぎるのは、朝のぴっかり姑の笑いで危うい。
- 試合開始前の相手のミスだけで勝てると思うのは、朝のぴっかり姑の笑いに近い。
主な参考文献
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・ジテンオン『故事・ことわざ辞典』。
・気象庁「ことわざ・手作り気象測器のページ」。
・気象庁「天気の言い習わし(ことわざ)について教えてください」。
・The Old Farmer’s Almanac『The Old Farmer’s Weather Proverbs』1996年。























