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【石に口漱ぎ流れに枕す】の意味と使い方や例文!故事は?(類義語・対義語・英語)

石に口漱ぎ流れに枕す

【故事成語】
石に口漱ぎ流れに枕す

【読み方】
いしにくちすすぎながれにまくらす

【意味】
負け惜しみが強く、自分のまちがいや失敗を認めず、無理な理屈をつけて言い逃れること。

ことわざ博士
石に口漱ぎ流れに枕すは、誤りを指摘されても素直に認めず、こじつけて押し通す態度を表す故事成語だよ。
助手ねこ
言い間違い、失敗、判断の誤りなどを、自分に都合よく説明して逃れようとする場面で用いるニャン。

【英語】
・sour grapes(負け惜しみ)

【類義語】
・漱石枕流(そうせきちんりゅう)
・牽強付会(けんきょうふかい)
・我田引水(がでんいんすい)

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「石に口漱ぎ流れに枕す」の故事

故事成語を深掘り

「石に口漱ぎ流れに枕す」は、中国の古い逸話に由来する故事成語です。もとの形は「石に枕し流れに漱ぐ」で、石を枕にして眠り、川の流れで口をすすぐような、自然の中でのびのびと暮らす生活を表す言い方でした。

このもとの言い方は、俗世間から離れ、山林に隠れ住む自由な生活を表します。古い用例としては、『太平記』(14世紀後半成立、南北朝時代)にも「石を枕にし泉に嗽で、幽栖を楽しむは」という形が出てきます。ここでは、静かな場所で世間から離れて暮らすという意味で使われています。

この故事を伝える代表的な古典が、『世説新語(せせつしんご)』(中国・南朝宋、5世紀、劉義慶著)です。この書物は、後漢末から東晋までの人物の言行や逸話を、いくつものテーマに分けて集めたものです。

『世説新語』「排調(はいちょう)」には、孫子荊(そんしけい)が若いころ、隠れて暮らしたいと思い、王武子(おうぶし)に「當枕石漱流」と言うべきところを、誤って「漱石枕流」と言った、とあります。これは、「石に枕し、流れに漱ぐ」と言うはずが、「石に漱ぎ、流れに枕す」と、順序を逆にしてしまったという場面です。

王武子は、流れを枕にできるのか、石で口をすすげるのかと問い返しました。すると孫子荊は、流れを枕にするのは耳を洗うためであり、石で口をすすぐのは歯を磨くためだ、と答えました。誤りを認めず、無理な理屈で言い逃れたところに、この故事の中心があります。

同じ話は、『晋書(しんじょ)』(中国・唐、646年成立、房玄齢・李延寿ら撰)の「孫楚伝」にも伝わります。『晋書』は、晋の歴史を記した正史で、孫楚(そんそ)が若いころ隠居を望み、王済(おうさい)に向かって、本来の「枕石漱流」と言おうとして、「漱石枕流」と誤った形で言った話を載せています。

『世説新語』では「孫子荊」「王武子」と呼ばれ、『晋書』では「孫楚」「王済」として伝わります。子荊は孫楚の字に、武子は王済の字にあたるため、同じ人物関係を、それぞれ呼び方を変えて記していると理解できます。

この故事で大切なのは、「石に漱ぎ、流れに枕す」という言い方そのものが奇妙であることだけではありません。言い間違いを指摘されたあと、孫楚が「耳を洗う」「歯を磨く」と言って、まちがいをまちがいとして認めなかった点です。そのため、この言葉は、ただの言い間違いではなく、負け惜しみや強弁を表す故事成語として定着しました。

後には、同じ故事から「漱石枕流」という四字の形も広く使われました。これは、「石に漱ぎ、流れに枕す」を漢字四字で表した形で、負け惜しみが強く、自分の意見を押し通したり、こじつけをしたりすることを表します。

夏目漱石の号「漱石」も、この故事に結びつくものとして知られています。負けず嫌い、強情、こじつけといった意味を含む故事から取られた名として、日本語の中でも、この言葉の印象を広めました。

現在の「石に口漱ぎ流れに枕す」は、相手に誤りを指摘されても、素直に認めず、もっともらしい理屈で逃れようとする場面に用います。もとの「石に枕し流れに漱ぐ」が自然の中での自由な暮らしを表したのに対し、逆にした「石に口漱ぎ流れに枕す」は、誤りを正当化する無理な言い逃れを表す言葉へと意味が移ったのです。

「石に口漱ぎ流れに枕す」の使い方

健太
算数の答えを一けた写し間違えたのに、ぼくは「先生の字が小さかったから、これはぼくの注意力の問題ではない」と言ってしまったよ。
ともこ
それは、石に口漱ぎ流れに枕すみたいな言い訳になっているよ。写し間違いに気づいたなら、まず直したほうがいいんじゃない?
健太
たしかに、間違いを認めるのが恥ずかしくて、無理に理由をつけていたんだね!
ともこ
次は、すぐに直してから「どこで間違えたか」を考えよう。そのほうが、きっと力になるよ。
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「石に口漱ぎ流れに枕す」の例文

例文
  • 答えを写し間違えたのに問題文のせいにするのは、石に口漱ぎ流れに枕すというもの。
  • 約束の時間に遅れた理由を天気や時計のせいにし続ける彼の態度は、石に口漱ぎ流れに枕すに近い。
  • 資料の数字を確認しなかった失敗を、説明の工夫だと言い張るのは石に口漱ぎ流れに枕すだ。
  • 試合で反則を取られたあと、わざとではないから正しい作戦だったと主張するのは石に口漱ぎ流れに枕すだ。
  • 料理の塩を入れすぎたのに「濃い味が流行している」と言うのは、石に口漱ぎ流れに枕すのような言い逃れだ。
  • 会議で日付を間違えたのに「相手が気づくか試した」と言い出すのは、石に口漱ぎ流れに枕すでしかない。

主な参考文献
・円満字二郎編『故事成語を知る辞典』小学館、2018年。
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・小学館『デジタル大辞泉』小学館。
・公益財団法人日本漢字能力検定協会『漢字ペディア』。
・劉義慶『世説新語』5世紀。
・房玄齢・李延寿ら撰『晋書』646年。
・Merriam-Webster, Merriam-Webster.com Dictionary, Merriam-Webster Incorporated.





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