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【兜を脱ぐ】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・英語)

兜を脱ぐ

【慣用句】
兜を脱ぐ

【読み方】
かぶとをぬぐ

【意味】
相手の力量にかなわないことを認めて、降参する。議論や勝負などで、自分の負けを認めることにもいう。

ことわざ博士
兜を脱ぐは、単に負けるだけでなく、相手の実力や説得力を認めて参ることを表すんだよ。
助手ねこ
競争、議論、技量の比べ合いなどで、相手のほうが上だと認める場面に用いるニャン。

【英語】
・admit defeat(負けを認めて降参する)

【類義語】
・軍門に降る(ぐんもんにくだる)
・シャッポを脱ぐ(しゃっぽをぬぐ)

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「兜を脱ぐ」の語源・由来

慣用句を深掘り

「兜」は、戦場で武士が頭を守るために着けた甲冑(かっちゅう)の一部です。「兜を脱ぐ」は、もともとその兜を頭から外すという具体的な動作を表しました。

戦場で兜を着け、武器を構える姿は、まだ戦う意志があることを示します。反対に、兜を脱ぎ、刀や弓を手放すことは、もはや敵対するつもりがないと相手に示す行為になりました。

中世の軍記物語では、旗を巻く、刀を解く、兜を脱ぐ、手を束ねるなどの行為が、降参の意志を表すものとして描かれています。兜を脱ぐことは、身を守る防具を自ら外し、抵抗をやめたことを目に見える形で示す動作でした。

『平家物語(へいけものがたり)』(鎌倉時代成立、作者未詳)の巻八「鼓判官」には、この関係がはっきりと表れています。木曾義仲(きそよしなか)が後白河法皇と対立した場面で、家臣の今井四郎兼平(いまいしろうかねひら)は、法皇に弓を引くことはできないとして、義仲に降参を勧めます。

その言葉には、「甲をぬぎ弓をはづいて、降人にはえこそまいるまじけれ」という表現が出てきます。兜を脱いで弓を外し、降人(こうにん:降参した人)として従うという行為が、戦いをやめることと直接結び付いています。

この場面では、まだ「兜を脱ぐ」が比喩としてのみ使われているわけではありません。兜と武器を外して身を任せるという、降伏の具体的な姿を表しています。

「兜を脱ぐ」という形は、『文明本節用集(ぶんめいぼんせつようしゅう)』(室町時代中期書写)にも収められています。この書物は、文明六年に当たる1474年の記載を含む、現存する最古級の節用集の一つです。

この段階では、兜を実際に頭から外す意味と、敵に降伏する意志を示す意味とが強く結び付いていました。戦場での動作が、やがて「抵抗をやめて相手に従う」という意味を担うようになったのです。

さらに時代が下ると、実際の戦いだけでなく、議論や考えの対立などにも使われるようになりました。相手の力や意見の正しさを認め、自分の主張を引っ込めることを、武士が兜を脱ぐ姿にたとえたものです。

樋口一葉の『わかれ道』(明治29年、樋口一葉著)には、「五日とたゝずに兜をぬがなければ成らないのであらう」という用例があります。この作品は、明治29年1月4日に『国民之友』第二百七十七号に発表されました。

作中の吉三は、お京が人の妾になるはずはないと言い張っていましたが、その考えが外れたため、威張っていた自分の負けを認めざるを得なくなります。ここでの「兜をぬぐ」は、戦場で降伏することではなく、自分の主張が通らなかったと認める比喩として使われています。

こうして「兜を脱ぐ」は、武士が降伏を示す具体的な動作から、相手の力量や主張にかなわないと認める表現へと広がりました。現在では、勝負に負けた場合だけでなく、優れた知識、技術、発想、粘り強さなどを前に、率直に参ったと認める場面にも用います。

「兜を脱ぐ」の使い方

健太
昨日からずっと考えていた新しい将棋の作戦で、今日こそともこちゃんに勝ってみせるぞ。
ともこ
何回挑戦してくれてもいいよ、私もおじいちゃんと毎日練習して腕を磨いているからね。
健太
そんな、僕がどんなに攻めてもすべて見破られて、もう完全に王手が防げなくなっちゃったよ……。
ともこ
ふふっ、これだけ先を読まれていたら、さすがの健太くんも兜を脱ぐしかないみたいだね!
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「兜を脱ぐ」の例文

例文
  • 何を尋ねても正確に答える彼の豊かな知識には、先生まで兜を脱ぐほどだった。
  • 決勝戦では相手の見事な守備に兜を脱ぐほかなかった。
  • 長年反対していた父も、娘の熱意と努力を知り、ついに兜を脱ぐことになった。
  • 難しい交渉をまとめた若手社員の説得力に、経験豊かな部長も兜を脱いだ
  • 町の職人は、弟子が作り上げた精巧な作品を見て、素直に兜を脱ぐと告げた。
  • どれほど反論しても証拠を示されては、彼も兜を脱ぐしかなかった。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・中田祝夫著『改訂新版 文明本節用集 研究並びに総合索引』勉誠社、1979年。
・『平家物語』鎌倉時代成立。
・樋口一葉『わかれ道』1896年。





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