【ことわざ】
鬼の目にも涙
【読み方】
おにのめにもなみだ
【意味】
ふだん、どんなに思いやりのない人でも、ときには情け深いこともあることのたとえ。
【語源・由来】
ざんこくで、地も涙もないといわれている鬼でも、泣くことがあることから。
「鬼」とは、古代では死者の魂とされ、時代を経て、民話などに出てくる想像上の妖怪と変化していきます。頭に1~2本の角を生やし、虎の皮のパンツをはいていて、怪力というイメージですね。陰陽道では鬼が出入りする方角を鬼門と呼んでいましたが、その方角が「丑寅」である事から、鬼の姿は牛の角と虎のパンツで描かれるようになったとされます。
現代では、冷たくて思いやりのない人間に対して使うこともあります。
現代では、冷たくて思いやりのない人間に対して使うこともあります。
【類義語】
・鬼の血目玉にも涙
・鬼も頼めば人食わず
・鰐の目にも涙
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「鬼の目にも涙」の使い方
うちの学校の野球部、ついに悲願の優勝を果たしたわね!
厳しくて鬼コーチで有名だった監督、優勝が決まった次の瞬間、号泣していたね。
そうね、あれにはちょっと驚いたわ。
あれぞ正しく鬼の目にも涙だと思ったよ。
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「鬼の目にも涙」の例文
- 俺がバイク事故を起こして意識不明で病院に担ぎ込まれた時、父親は急いで病室に駆けつけてくれたらしい。俺の意識が戻った時、いつもはおっかない頑固親父の目に光るものが溢れて、鬼の目にも涙だなと思った。
- ぼくが所属している空手部のコーチは厳しいことで有名だ。でも空手大会でぼくが優勝したときには、泣いて喜んでくれた。鬼の目にも涙だ。
- いつも怒ってばかりいる担任の先生が、卒業式で泣いていた。鬼の目にも涙だ。
- 部下には厳しい課長だが、娘さんの結婚式では大泣きしたらしい。鬼の目にも涙とはこの事だ。
- 怖くて生徒からあまり好かれていなかった先生だけど、卒業式では目に薄っすらと涙を浮かべていて、鬼の目にも涙みたいだと思った。
- 鬼瓦みたいな顔で怒鳴り散らす親父だが、フランダースの犬というアニメを観て号泣していた。鬼の目にも涙と言うが意外過ぎてびっくりした。
【注意!】間違った例文
❌「クラスのガキ大将の健太くんが、体育のとき、転んで泣いていた。鬼の目にも涙だね。」
この使い方は間違い。「鬼の目にも涙」は、いたくて泣くのではなく、心が動かされて泣く場合に使われる。
「鬼の目にも涙」の文学作品などの用例
「井上さん。お父さんがお亡くなりになって、淋しいわね。可哀そうね」と家内が云ったら、井上さんはそのグリグリした眼に涙を溜めて黙っていたと云う話を聞き、私は自分が鬼と云われたから、云うわけではないが、これこそ、小鬼の眼に涙だと思った。(志賀直哉の鬼より)
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「鬼の目にも涙」を英語で言うと?
「鬼の目にも涙」の英語表現をご紹介します。
※英語の声:音読さん
Even the hardest heart can be moved to tears.
- 直訳:最も強い心でさえも、心を動かされて涙を流すこともある。
- 意味:冷酷で無慈悲な人間でも、時には同情や憐れみを感じて涙を流す。
- 用語:tear:涙
Tears from the hardest heart.
- 直訳:最も強い心から流れる涙。
- 意味:冷酷で無慈悲な人間でも、時には同情や憐れみを感じて涙を流す。