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「鬼の目にも涙」の意味(語源由来・類義語)
【ことわざ】
鬼の目にも涙
【読み方】
おにのめにもなみだ
【意味】
ふだん、どんなに思いやりのない人でも、ときには情け深いこともあることのたとえ。
これは、人間って感情を持ってて、それが強さでもあるってことを教えてくれる言葉やな。
ざんこくで、地も涙もないといわれている鬼でも、泣くことがあることから。
現代では、冷たくて思いやりのない人間に対して使うこともあります。
【類義語】
・鬼の血目玉にも涙
・鬼も頼めば人食わず
・鰐の目にも涙
「鬼の目にも涙」の解説
「鬼の目にも涙」という言葉は、元々は江戸時代に使われていたんだ。その時代には、地方を治める大名という高い地位の人たちがいたんだ。でも、大名たちは直接地域の運営や管理をしないで、その代わりに「代官」という役職の人たちが年貢という税金みたいなものを取り立てていたんだよ。
代官は、大名の指示に従って、町の人々から年貢を集めるために、ときどき厳しい方法を使っていたんだ。それは、例えば高い年貢を無理に取り立てたり、ルールを厳しく守らせたりということだったよ。それで、町の人々からはとても恐れられていて、「鬼」のように思われていたんだ。
でも、その一方で、代官たちも完全に冷酷な人々ではなかったんだ。たまには、年貢の取り立てを少し緩めたり、町の人々に優しさを見せたりすることもあったよ。例えば、その年の収穫が悪かったときなどには、普段より少ない年貢を許すこともあったんだ。
そのとき、町の人々は代官の意外な優しさに驚いて、「鬼の目にも涙」と言うようになったんだ。つまり、「普段は怖い人でも、意外と優しい一面を見せることがあるよ」という意味を表しているんだよね。
だから、「鬼の目にも涙」という言葉は、人は見かけだけでは判断できない、という教訓も含んでいるんだよ。
「鬼の目にも涙」の使い方
「鬼の目にも涙」の例文
- 俺がバイク事故を起こして意識不明で病院に担ぎ込まれた時、父親は急いで病室に駆けつけてくれたらしい。俺の意識が戻った時、いつもはおっかない頑固親父の目に光るものが溢れて、鬼の目にも涙だなと思った。
- ぼくが所属している空手部のコーチは厳しいことで有名だ。でも空手大会でぼくが優勝したときには、泣いて喜んでくれた。鬼の目にも涙だ。
- いつも怒ってばかりいる担任の先生が、卒業式で泣いていた。鬼の目にも涙だ。
- 部下には厳しい課長だが、娘さんの結婚式では大泣きしたらしい。鬼の目にも涙とはこの事だ。
- 怖くて生徒からあまり好かれていなかった先生だけど、卒業式では目に薄っすらと涙を浮かべていて、鬼の目にも涙みたいだと思った。
- 鬼瓦みたいな顔で怒鳴り散らす親父だが、フランダースの犬というアニメを観て号泣していた。鬼の目にも涙と言うが意外過ぎてびっくりした。
【注意!】間違った例文
❌「クラスのガキ大将の健太くんが、体育のとき、転んで泣いていた。鬼の目にも涙だね。」
「鬼の目にも涙」の文学作品などの用例
「井上さん。お父さんがお亡くなりになって、淋しいわね。可哀そうね」と家内が云ったら、井上さんはそのグリグリした眼に涙を溜めて黙っていたと云う話を聞き、私は自分が鬼と云われたから、云うわけではないが、これこそ、小鬼の眼に涙だと思った。(志賀直哉の鬼より)
「鬼の目にも涙」を英語で言うと?
「鬼の目にも涙」の英語表現をご紹介します。
※英語の声:音読さん
Even the hardest heart can be moved to tears.
- 直訳:最も強い心でさえも、心を動かされて涙を流すこともある。
- 意味:冷酷で無慈悲な人間でも、時には同情や憐れみを感じて涙を流す。
- 用語:tear:涙
Tears from the hardest heart.
- 直訳:最も強い心から流れる涙。
- 意味:冷酷で無慈悲な人間でも、時には同情や憐れみを感じて涙を流す。