【ことわざ】
多し少なし子三人
【読み方】
おおしすくなしこさんにん
【意味】
子どもの数は三人くらいが、多すぎず少なすぎず、ちょうどよいということ。


【類義語】
・足らず余らず子三人(たらずあまらずこさんにん)
・負わず借らずに子三人(おわずからずにこさんにん)
・三人子持ちは笑うて暮らす(さんにんこもちはわろうてくらす)
「多し少なし子三人」の語源・由来
「多し少なし子三人」は、「多し」と「少なし」という反対の意味をもつ言葉を並べ、そのあとに「子三人」と続けたことわざです。ここでいう「多し少なし」は、子どもが多すぎるわけでも、少なすぎるわけでもないという意味で、三人をほどよい人数とみなしています。
このことわざには、特定の人物や出来事を語る物語はありません。毎日の暮らしの中で、家庭を営むうえでどのくらいの子どもの数がよいかという、庶民の生活感覚から生まれた言い方です。
同じ考えを表す言葉は、一つの決まった形だけで伝わったのではありません。『諺語大辞典(げんごだいじてん)』(1910年・明治時代後期、藤井乙男編)には、「餘ラズ過ギズ子三人」という形が収められ、「子は三人が適度なりとの意」と記されています。
「餘ラズ過ギズ」は、余るほど多くもなく、足りないほど少なくもないという意味です。この形では、子どもの人数について、多すぎず少なすぎないことを直接表しています。現在の「多し少なし子三人」も、反対の言葉を組み合わせながら、同じ内容を短く言い切った表現といえます。
同じ『諺語大辞典』には、「負ハズ借ラズニ子ナラ三人」という形もあります。「負わず」は人から恩や負担を受けないこと、「借らず」は借金をしないことを指し、そのうえで三人の子どもに恵まれた家庭を望ましいものとする言い方です。子どもの人数だけでなく、家計が安定し、人に迷惑をかけずに暮らすことまで含めた家庭像を表しています。
さらに、「三人子持ハ笑ウテ暮ス」という形も収められ、「子は三人が適度なりとの意」と記されています。三人の子どもがいる家庭なら、にぎやかで楽しく暮らせるという発想を表したものです。
このように、「余らず過ぎず子三人」「負わず借らずに子三人」「三人子持ちは笑うて暮らす」など、三人の子どもをほどよい人数とする言い方が、いくつもの形で伝えられてきました。「多し少なし子三人」は、この一群のことわざの中でも、人数の多い・少ないを対照させ、簡潔にまとめた形です。
表記には、「多し少なし子三人」のほかに、「多し少し子三人」とする形もあります。いずれも、三人を多すぎず少なすぎない人数とする意味に違いはありません。
ただし、このことわざが表すのは、昔の暮らしの中で生まれた家庭観の一つです。家族の人数や幸せの形は家庭によって異なるため、現在では、三人を唯一の理想と決める言葉ではなく、かつての人々の生活感覚を伝えることわざとして理解することが大切です。
「多し少なし子三人」の使い方




「多し少なし子三人」の例文
- 祖父は昔の家族観を語る際、多し少なし子三人ということわざを教えてくれた。
- 郷土資料館では、多し少なし子三人が昔の家庭観を表す言葉として紹介されていた。
- 三人目の子どもの誕生を喜び、親族は多し少なし子三人という言葉を口にした。
- 多し少なし子三人には、三人を多すぎず少なすぎない人数とみなす考え方が表れている。
- 授業では、多し少なし子三人と似た形のことわざを並べ、その意味を比べた。
- 家族の形が多様な現代では、多し少なし子三人を昔の価値観を伝える表現として読む必要がある。
主な参考文献
・藤井乙男編『諺語大辞典』有朋堂、1910年。
・鬼頭宏「歴史人口学からみた生と死(十二・最終回)」『幼児の教育』第80巻第12号、日本幼稚園協会、1981年。























