『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』講談社より出版。詳細はコチラ!

【恩甚だしければ則ち怨み生ず】の意味と使い方や例文!故事は?(類義語)

恩甚だしければ則ち怨み生ず

【故事成語】
恩甚だしければ則ち怨み生ず

【読み方】
おんはなはだしければすなわちうらみしょうず

【意味】
人に恩恵を与えすぎると、かえって相手や周囲の人から恨みを受けること。

ことわざ博士
「恩甚だしければ則ち怨み生ず」は、善意や厚遇も度を越せば、相手を苦しめたり反感を招いたりすることを表すよ。
助手ねこ
特定の人だけを過度に助けたり、親切を押しつけたりして、かえって人間関係を悪くする場面に用いるニャン。

【類義語】
・愛多ければ憎しみ至る(あいおおければにくしみいたる)
・情けが仇(なさけがあだ)

【スポンサーリンク】

「恩甚だしければ則ち怨み生ず」の故事

故事成語を深掘り

「恩甚だしければ則ち怨み生ず」は、中国の道家の書物『亢倉子(こうそうし)』の「用道第二」にある「恩甚則怨生」を、日本語として読み下した表現です。原文では、このあとに「愛多則憎至」と続き、「恩が厚すぎれば怨みが生じ、愛情が多すぎれば憎しみに至る」という意味を表しています。

『亢倉子』は、古くは老子の弟子とされる庚桑楚の著作として伝えられました。しかし、現在伝わる本文は、唐代の王士元が、失われた部分をほかの古い書物から補い、九つの篇にまとめたものとされています。書誌上も、唐の王士元が撰した書物として扱われています。

この一節が出てくる「用道第二」は、物事を行うときには、その場に応じた加減を知ることが大切だと説く篇です。「敬甚則不親、親甚則不敬」とあり、相手を敬いすぎれば親しくなれず、親しくしすぎれば敬う心が失われると述べています。

続いて、「親之而疏、疏之而親」とあります。親しく扱ったために、かえって心が離れる場合もあれば、少し距離を置いたために、かえって親しくなる場合もあるという意味です。人の心は単純ではなく、よかれと思った行いが、反対の結果を生むこともあると説いています。

その流れの中に、「恩甚則怨生、愛多則憎至」が置かれています。「恩」は人に与える恵みや厚意、「甚」は程度が激しく、度を越していること、「則」は「そうすれば」「その結果」というつながりを示します。したがって、文章全体では、恩恵が行き過ぎると怨みが生まれるという意味になります。

この言葉は、親切や恩恵そのものを悪いものとして退けているのではありません。相手の気持ちや状況を考えずに助け続ければ、受ける側は重い義務や束縛を覚えることがあります。また、一人だけを特別に厚く扱えば、周囲の人々に、不公平だという思いを生じさせることもあります。

原文は、怨みが生まれる原因を一つに限っていません。受けた恩を重荷に思う場合、恩を与えた人が見返りを求める場合、特別扱いを見た周囲がねたむ場合など、恩恵の行き過ぎによって生じる、さまざまな反発を含む言葉として読むことができます。

「恩甚則怨生」のあとには、速く行うことがよい場合もあれば、ゆっくり行うことがよい場合もあり、まっすぐ進むことがよい場合もあれば、回り道がよい場合もあると続きます。そして、物事にふさわしい方法の違いはごく細かなものであり、それを知らなければならないと説いています。

つまり、この一節で重んじられているのは、何事にも決まった一つの方法があるという考えではなく、相手や場面に応じて適度な加減を選ぶことです。恩を施すことも、量が多ければよいのではなく、相手が本当に必要としている範囲を見極めなければ、善意が反対の結果を招きます。

日本語では、原文の「恩甚則怨生」を「恩甚だしければ則ち怨み生ず」と読み下す形のほか、「恩甚だしければ怨み生ず」や「恩甚しくして怨み生ず」という形も使われます。「則ち」の有無や言い回しに違いはありますが、恩恵が度を越すと、かえって怨みを生むという意味は共通しています。

このように、「恩甚だしければ則ち怨み生ず」は、親切は多ければ多いほどよいとは限らないことを教える言葉です。相手のために何かをするときこそ、自分の満足ではなく、相手の気持ちや必要としていることを考え、ほどよいところでとどめることの大切さを伝えています。

「恩甚だしければ則ち怨み生ず」の使い方

健太
先週の宿題を手伝ってくれたお礼にと思って、陸くんにボクの大切なゲームのソフトを全部あげようとしたんだ。
ともこ
えっ、ノートを見せてくれたお礼にしては、あまりにも豪華すぎるよ!陸くんも困っちゃったんじゃない?
健太
うん、「そんなにすごいものを受け取ったらお返しもできないし、なんだか怖くなって負担だよ」って断られちゃった。
ともこ
まさに恩甚だしければ則ち怨み生ずだね。相手のことを思っても、やりすぎるとかえって迷惑になっちゃうんだよ!
【スポンサーリンク】

「恩甚だしければ則ち怨み生ず」の例文

例文
  • 母親が子どもの身の回りのことをすべて代わって行い、恩甚だしければ則ち怨み生ずで、かえって自立を望む子どもの反発を招いた。
  • 監督が一人の選手だけを特別に厚遇したため、恩甚だしければ則ち怨み生ずのとおり、ほかの選手から不満が出た。
  • 親切のつもりで友人の予定まで決め続ければ、恩甚だしければ則ち怨み生ずという結果になりかねない。
  • 社長が気に入った社員だけに多くの褒美を与え、恩甚だしければ則ち怨み生ずで、職場に深い対立が生まれた。
  • 支援する側が細かな指示まで押しつけたため、恩甚だしければ則ち怨み生ずというように、援助を受けた人の反感を買った。
  • 恩甚だしければ則ち怨み生ずを戒めとして、先生は特定の児童だけを特別扱いせず、全員に公平に接した。

主な参考文献

・王士元撰『亢倉子』藝文印書館、1965年。
・紀昀ほか撰『四庫全書総目提要』1782年。





『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』(講談社)発売中♪

マンガでわかる ことわざ図鑑

◆試験に出ることわざを網羅
ことわざは小学、中学、高校、大学、さらに就職試験の問題になっています。ことわざの試験対策としてもオススメの一冊。

◆マンガで楽しみながらことわざを知る! 憶える!
本書では、マンガで楽しくわかりやすくことわざを解説し、記憶に定着させます。