「釈迦に説法」とは
読み方・意味
- ことわざ:釈迦に説法
- 読み方:しゃかにせっぽう
- 意味:仏教の開祖である釈迦に仏教を説くように、未熟な者がその道の専門家に向かって一人前の口を聞くことのたとえ。
「釈迦に説法(しゃかにせっぽう)」とは、すでにその道に精通している人に対して、わざわざ教え諭すことの愚かさを表すことわざです。
仏教の開祖である釈迦(お釈迦様)に仏教の教えを説くというありえない状況をたとえています。
主に ①謙遜して意見を述べるとき や ②自分の出過ぎた発言を詫びるとき に使われます。
例えば、上司や専門家に意見を述べる際に「釈迦に説法とは思いますが…」と前置きすると、へりくだった印象になります。
「釈迦に説法」の語源・由来
「釈迦に説法」は、仏教に由来することわざです。
- 「釈迦」は、仏教の開祖である「釈迦牟尼(しゃかむに)」のこと。つまり、お釈迦様ご自身を指します。
- 「説法」とは、仏教の教義・教えを人々に説き聞かせること。僧侶が説教する行為です。
このことわざは、仏教の創始者であり、その教えを誰よりも深く理解している釈迦に対して、仏教の教えを説くという、常識的にありえない・おかしな行為をたとえにしています。
つまり、
知り尽くしている相手に対して、それを教えるという愚かで滑稽な行動
を意味するのです。
■なぜ「説法」なのか?
釈迦は「教える側の最高位」である存在です。
その釈迦に対して「説法する=教える」というのは、本来ありえない話であり、それをしてしまうのは、無知・身の程知らず・勘違いの象徴的行為なのです。
昔は「釈迦に説法」ではなく、
- 「釈迦に経(きょう)」
- 「釈迦に心経(しんぎょう)」
- 「釈迦に説経」
という言い方もありましたが、現在では「釈迦に説法」が定着しています。
「釈迦に説法」の使い方
「釈迦に説法」の例文
- 釈迦に説法とは存じますが、あえて補足させていただきます。
- この点については、先生のほうがはるかにお詳しいので、私の説明など釈迦に説法でしょう
- 長年この業界に携わってこられた皆様にお話しするのは、まさに釈迦に説法かもしれませんが……。
- 釈迦に説法かと思いますが、一応確認の意味も込めてご説明いたします。
- 釈迦に説法になるかもしれませんが、この部分だけは再度ご注意いただければと存じます。
- それは大変失礼しました。〇〇さんにそんな説明をするなんて、まさに釈迦に説法でした。
- さっきの発言は、あとから思えば釈迦に説法でしたね。恥ずかしい限りです。
- えっ、あの人、料理の先生だったの!? うわ…さっき私が包丁の持ち方とか語ってたの、完全に釈迦に説法じゃん…。
「釈迦に説法」の類義語・似たことわざ
- 河童に水練
- 猿に木登り
- 釈迦に経
- 孔子に論語
- 孔子に悟道
- 極楽の入り口で念仏を売る
「釈迦に説法」の対義語
「釈迦に説法」の完全な対義語はありませんが、考えようによっては反対の意味を表す表現としてご紹介します。
「釈迦に説法」の注意点
- 相手が専門家や経験者である場合に使う
→ 相手があまり詳しくないのに使うと、皮肉や嫌味に聞こえる。
(例:✕「釈迦に説法だけど、この料理の作り方を教えるね」→ 相手が料理初心者なら不適切) - 自分をへりくだる形で使う
→ 上から目線に聞こえないよう、謙虚な気持ちで使うのが基本。
(例:◯「釈迦に説法とは思いますが、確認のためにお伝えします」) - 自分自身に使うと横柄に聞こえることがある
→ 自分の知識をひけらかすように受け取られることも。
(例:✕「それは釈迦に説法ですよ、私には」→ 相手に不快感を与える可能性あり) - 丁寧な言い換えで印象を和らげると◎
→ 謙遜表現に言い換えると、よりやわらかくスマートな印象になる。
(例:◯「その点については、すでに詳しく存じておりますので、ご安心ください」)
「釈迦に説法」の英語表現
Don’t teach your grandmother to suck eggs.
直訳:おばあさんに卵の吸い方を教えるな。
意味:目上の人や経験豊富な人に、わざわざ当たり前のことを教えるのは愚かだという意味のことわざ。相手の知識や経験を軽視したような言動は、かえって失礼になることを戒めています。
例文:You don’t need to tell him how to do his job—don’t teach your grandmother to suck eggs.
(彼に仕事のやり方なんて教える必要ないよ。経験豊富なんだから、おばあさんに卵の吸い方を教えるようなもんだ。)