「烏有に帰す」の意味(語源由来)
【慣用句】
烏有に帰す
【読み方】
うゆうにきす
【意味】
何もかもなくなってしまうこと。火事で家が全焼した時などによく使われることば。
特に、火事で家が丸焼けになるなんてことを指すんやな。まるで何もかもが消えてしまう、そんなすっからかんな状態を表してるんやね。
【語源由来】
「烏有」は「烏んぞ有らんや」と読み、「何かあるだろうか(何もない)」という意味。「帰す」は、そのような結果になること。中国の「史記」にあることば。
「烏有に帰す」の解説
「烏有に帰す」という言葉は、何も残らないほど全部なくなってしまう状態を指すんだよ。例えば、火事で家が全部焼けてしまったときなんかに使うよ。
この「烏有」っていう言葉の起源は、中国の古い歴史書、『史記』の中の一篇、司馬相如の伝にある話に由来しているんだ。
この話の中に出てくる司馬相如は、詩人でね、「子虚の賦」という作品を書いたんだ。その作品は、天子(つまり皇帝)に対して、節約の大切さを説いている話なんだよ。
その作品には、「子虚」、「烏有先生」、「無是公」という3人の架空の人物が登場するんだけど、それぞれ「嘘つき」、「何もない人」、「実在しない人」を意味しているんだ。
特に、「烏有先生」っていう名前の人物が、「何もない人」っていう意味を持っていて、それが「烏有」っていう言葉の語源とされているんだ。
だから、「烏有に帰す」っていう表現は、「何もない状態になる」、つまりすべてがなくなってしまう、という意味になるんだよ。
「烏有に帰す」の使い方
「烏有に帰す」の例文
- 彼が、長い年月をかけてせこせことためた財産は、彼の屋敷が全焼したことであっけなく烏有に帰すこととなったのだ。
- 祖父の祖父が買い集めたという、世界的に価値が認められている絵画は、戦争中の爆撃によって、烏有に帰したそうだ。
- この町のシンボルだったお城は、落雷による火災で烏有に帰したと、町の歴史に記されている。
- その大空襲で、東京の半分以上は烏有に帰したと言われている。
- その貴重な仏像は、先日の大震災による火災で烏有に帰したそうだ。
「烏有に帰す」の文学作品などの用例
準備された沢山の小間絵は不幸にして戦災を受け悉く烏有に帰しました。そのため芹沢銈介君の手を煩わして、すべてを描き改めて貰わねばなりませんでした。(柳宗悦の手仕事の日本より)
特に、火災などで全てが焼けてしまう、つまり全く何も残らない状態を指して使われることが多いんだ。