【急がば回れ】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

「急がば回れ」の漫画

【ことわざ】
急がば回れ

【読み方】
いそがばまわれ

【意味】
急いでいるときほど、危険な近道やあわただしい方法を選ばず、遠回りでも安全で確実な方法をとるほうが、結局は早く目的を達するというたとえ。

ことわざ博士
急がば回れは、速さだけを求めるとかえって失敗しやすいという考えを表すよ。
助手ねこ
急いで課題を終えたいとき、道順を選ぶとき、大事な仕事を進めるときなど、確実さを優先する場面で用いるニャン。

【英語】
・Make haste slowly.(ゆっくり急げ)

【類義語】
・急いては事をし損ずる(せいてはことをしそんずる)

【対義語】
・善は急げ(ぜんはいそげ)

「急がば回れ」の語源・由来

ことわざを深掘り

「急がば回れ」は、近道に見える道が、必ずしもいちばん早い道とは限らないという考えを表すことわざです。表面上は「急ぐなら回り道をせよ」という矛盾した言い方ですが、そこには、急ぐときほど安全で確実な方法を選ぶべきだという教えが込められています。

このことわざと深く結びつく古い歌として、「もののふのやばせの舟ははやくともいそかはまはれせたの長はし」という形の歌があります。『雲玉和歌抄(うんぎょくわかしょう)』(1514年・室町時代)には、この歌が、平安時代後期の歌人・源俊頼の歌として出てきます。

歌の意味は、「矢橋(やばせ)の舟は速いけれど、急ぐなら瀬田(せた)の長橋へ回りなさい」というものです。ここでいう矢橋は、現在の滋賀県草津市にあった渡し船の地であり、瀬田の長橋は、現在の滋賀県大津市にある瀬田唐橋(せたのからはし)に結びつく橋の呼び名です。

当時、琵琶湖を船で渡れば、陸路をたどるより近く、早く進めるように思われました。しかし、湖上の船は風や天候に左右され、出発や到着が思うようにいかないことがありました。そこで、遠回りに見えても、瀬田唐橋を渡る道のほうが着実で、結果として目的地へ早く着くことがあるという旅の知恵が、この表現に重なりました。

江戸時代前期の咄本(はなしぼん)『醒睡笑(せいすいしょう)』(1623年成立、1628年献呈、安楽庵策伝著)にも、この言葉と歌が出てきます。そこでは、「いそがば廻れ」という言い方を、物事にはよく考える心が必要だという意味で受け止め、宗長が詠んだ歌として紹介しています。

ただし、この古歌から初めてことわざが生まれたとだけ考えることには、慎重であるべきです。十六世紀にはすでに広く知られていた古いことわざであり、歌の中に、当時よく知られていた「急がば回れ」という言い方が詠み込まれたものと考えられています。

古い用例では、表記に「いそかはまはれ」「いそがば廻れ」などの形が出てきます。現代では「急がば回れ」と書くのが一般的で、「急ぐなら回る」という短い形の中に、危険な近道を避け、遠くても確かな道を選ぶという意味がまとめられています。

このことわざは、もとは琵琶湖周辺の道と船の選び方に結びつく、具体的な旅の知恵を背景にもつ表現です。そこから意味が広がり、現在では、勉強や仕事、計画、問題解決などにおいて、あせって手近な方法に飛びつくより、手順を守って確実に進むほうがよいという教えとして使われています。

「急がば回れ」の使い方

健太
明日の算数テストに早く備えたくて、答えだけ丸暗記しようと思っているんだ。
ともこ
答えだけ覚えると、少し問題が変わったときに解けなくなるよ。時間がかかっても、途中の考え方を確認したほうが確実だと思う。
健太
たしかに、昨日も暗記した形と違って解き直しになった。急がば回れで、今日は例題から順にやってみるよ!
ともこ
そのほうが本番であわてないね!遠回りに見えても、きっと点数につながるよ。

「急がば回れ」の例文

急がば回れ
  • 急いで資料を作るときほど、最初に内容を整理するほうがよく、急がば回れと言える。
  • 近道の山道を通ろうとしたが、雨で危険だったため、急がば回れで安全な大通りを選んだ。
  • 計算問題を早く終わらせようとして途中式を省くより、急がば回れで一つずつ確かめるほうが正確だ。
  • 文化祭の準備では、急がば回れの考えで、飾りを作る前に役割分担を決めた。
  • 仕事の引き継ぎを急ぐときこそ、急がば回れで手順書をきちんと作る必要がある。
  • 新しい道具を使う前に説明書を読むのは手間に見えるが、急がば回れで失敗を防げる。

主な参考文献

・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・瀬戸賢一・投野由紀夫編『プログレッシブ英和中辞典 第5版』小学館、2012年。
・草津宿街道交流館編『急がば回れ』草津宿街道交流館、2005年。
・『雲玉和歌抄』1514年。
・安楽庵策伝『醒睡笑』1623年成立、1628年献呈。




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