目次
「雀百まで踊り忘れず」とは
読み方・意味
- ことわざ:雀百まで踊り忘れず
- 読み方:すずめひゃくまでおどりわすれず
- 意味:雀が死ぬまで飛び跳ねる癖が抜けないように、幼いころに身につけた習慣は、年を取っても変わらないことのたとえ。
「雀(すずめ)は百歳になっても、飛びはねるような“踊るクセ”を忘れない」ということから、
人は幼いころや若いころに身についた習慣・癖・性格は、年をとってもなかなか変わらない
という意味のことわざです。
現代では、良い意味でも悪い意味でも使われ、特に「子どもの頃の性格や癖がずっと残る」ということを表現する際によく用いられます。
「雀百まで踊り忘れず」の語源・由来
■ 語源は「雀」の習性から
雀は、チュンチュンと鳴きながら小さく飛び跳ねて移動するのが特徴です。その可愛らしい動きを「踊っている」と見なして、
「歳をとってもその動きが変わらない=習性がずっと続く」という点からことわざが生まれました。
かつては「踊り」という言葉の連想から、このことわざは道楽者や浮気者に対して使われることが多くありました。
しかし近現代では、若いころに身についた習慣や癖全般に対して広く使われるようになっています。
■ 出典・初出
江戸時代初期の俳諧撰集『毛吹草(けふきぐさ)』(松江重頼 編)などに登場し、古くから口承されていたことわざと考えられています。
また、「いろはかるた」(特に上方いろはかるた)でも「す:雀百まで踊り忘れず」として親しまれ、子どもにも伝えられてきました。
「雀百まで踊り忘れず」の使い方
「雀百まで踊り忘れず」の例文
- 子どもの頃からの早起きの習慣は、大人になっても変わらない。まさに雀百まで踊り忘れずだ。
- 若い頃からおしゃべり好きだった人は、年をとっても変わらずに話し続けている。雀百まで踊り忘れずということだろう。
- 一度身についた悪い癖は、なかなか直らない。雀百まで踊り忘れずとはこのことだ。
- 若い頃に覚えた趣味は、年を取ってもずっと続けている。雀百まで踊り忘れずがぴったり当てはまる。
- 子どもの頃に始めたピアノを、今でも毎日欠かさず弾いている。まさに雀百まで踊り忘れずだ。
文学作品などの用例
一年たつと、武田さんは南方へ行った。そして間もなく、武田さんがジャワで鰐に食われて死んだという噂をきいた。
まさかと私は思った。武田麟太郎が鰐を食ったという噂なら信じられるが、鰐に食われたとは到底考えられないと思った。
「こりゃもしかしたら、武麟さんが自分で飛ばしたデマじゃないかな」
そう私は友人に言った。
「武麟さんがジャワで飛ばした『武田麟太郎鰐に食われて急逝す』というデマが、大阪まで伝わって来たというのは痛快だね」
雀百までおどりを忘れずだと私は笑った。(織田作之助『四月馬鹿』)
「雀百まで踊り忘れず」の類義語・似たことわざ
- 頭禿げても浮気はやまぬ
- 狐は毛皮を変えても性質は変わらぬ
- 三つ子の魂百まで
「雀百まで踊り忘れず」の対義語
「雀百まで踊り忘れず」の完全な対義語はありませんが、考えようによっては反対の意味を表す表現としてご紹介します。
※意図的に習慣や性格を変えることができる/変化は成長の証という価値観に立つ言葉
「雀百まで踊り忘れず」の注意点
- 幼いころからの習慣やクセを表すときに使う
→ 長年変わらない行動や癖をほめたり、おどけて言ったりするときにピッタリ。
例:「子どものころから几帳面で、今でもきっちりしてるね。まさに雀百まで踊り忘れずだよ」 - 性格そのものに使う場合は注意
→ 「三つ子の魂百まで」が性格に関することわざなので、混同しないようにしましょう。
✕ 例:「小さいころからわがままだったよね。雀百まで踊り忘れずだね」
→ この場合は「三つ子の魂百まで」の方が正しい使い方! - 良い意味にも悪い意味にも使えるが、文脈に注意
→ 元々は“道楽”や“浮気癖”などをからかう意味があったため、悪い意味で使うときは慎重に。
例:「若いころから飲み歩いてたけど、今も変わらないなぁ。雀百まで踊り忘れずだね」
→ 軽い冗談で使うならOK。でも相手をバカにして聞こえないように注意! - 一時的な行動には使わない
→ 単なる“その場限りのクセ”や“最近のマイブーム”には使わないようにしよう。
✕ 例:「昨日からずっと口笛ふいてる。雀百まで踊り忘れずだね」
→ まだ“クセ”として定着していないので不適切。 - あたたかい気持ちやユーモアを込めて使おう
→ 「かわいいクセだね」「変わらないね」というなつかしさや親しみを込めると、感じが良くなるよ!
例:「子どものころからイスの上で正座しちゃうんだ。雀百まで踊り忘れず、だね」
「雀百まで踊り忘れず」の英語表現
A sparrow doesn’t forget how to dance…
直訳:スズメは踊り方を忘れない。
意味:幼いころに身につけた癖や習慣は、年を取っても変わらないという意味のことわざ。
日本語の「雀百まで踊り忘れず」に相当します。
例文:
Even when he grew old, he still tapped his feet to music. A sparrow doesn’t forget how to dance.
(年をとっても、彼は音楽に合わせてつい足でリズムをとっていた。スズメは踊り方を忘れないんだね。)