『世説新語』(せせつしんご)は、中国南北朝時代の南朝宋の臨川王劉義慶によって編纂された逸話集です。
もとは10巻で構成されていましたが、現存しているのは3巻です。この作品は、後漢末期から東晋にかけての著名人の逸話や言動を集めたもので、36の篇に分類されています。
劉義慶は文芸を好み、多くの文学の士とともにさまざまな書物を編纂しましたが、『世説新語』もその一つです。この書は、小説集として収められており、史実とは異なる逸話も含まれています。しかし、当時の人物の言動や思想、さらには世相を理解する上で非常に貴重な資料となっています。
後漢末期からの人物評論や魏晋期の貴族社交界での評価、さらには「清談」と称される哲学的談論が当時の貴族サロンで流行していた背景があります。
特に、老荘思想を基盤とする「竹林の七賢」のような哲学的談論が注目されていました。
『世説新語』の成立から1世紀も経たないうちに、南朝梁の劉孝標が注釈を付けました。
この注釈は、単なる説明や補足にとどまらず、誤りの訂正や散逸した書物からの引用も含まれており、六朝時代の名注として高く評価されています。
要するに、『世説新語』は、中国の古代文学の中でも特に価値のある作品として知られ、後の時代にもその影響と評価は大きいものとなっています。