「背に腹は代えられぬ」の意味(語源由来・類義語)
【ことわざ】
背に腹は代えられぬ
「背に腹は代えられない」「背中に腹は替えられぬ」ともいう。「代える」は「替える」とも書く。
【読み方】
せにはらはかえられぬ
【意味】
さし迫った苦痛を回避するためには、ほかのことを犠牲にしてもしかたない。大きなことをするためには、小さな犠牲には構っていられない、小さなことはどうでもいいというたとえ。
切迫した状況では大切なものを守るために、どうしてもなにかを犠牲にしなければならない、という意味だよ。不本意でもほかに選択肢がないときに使われるんだ。
つまり、大事なものを守るには、仕方なくなにかをあきらめるしかないってことニャ。でも、なんで「背」と「腹」を比喩にするんだニャ?
よい質問だね。人は攻撃されると本能的に背を丸めて腹をかばうんだ。腹は内臓があるから傷つくと命に関わるけど、背中は背骨や肋骨で守られていて少しの傷なら耐えられるからね。
ニャルほど! だから背中を犠牲にしてでも腹を守るってことニャ。腹は命を守るための象徴でもあるってことかニャ?
そうだね。それと「腹」は食べることを象徴していていて、「背」は姿勢や誇りを象徴していることも関係しているんじゃないかな。
確かに、姿勢や誇り(=「背」)は大事だけど、食べること(=「腹」)の方が生きていく上で大事だもんニャ!
【語源・由来】
五臓六腑のおさまっている腹は、背を犠牲にしても守らなければならないことから。また、内蔵の入った大切な腹は背中とは交換することができないということ。「江戸いろはかるた」の「せ」より。
【類義語】
・負うた子より抱いた子
・苦しい時は鼻をも削ぐ
・背より腹
・時の用には鼻をも削ぐ
「背に腹は代えられぬ」の使い方
こんなにカードゲームを集めてしまったけれど、お小遣いが足りなくなってしまったんだ。
まあ、大変。次のお小遣いでお母さんに誕生日プレゼントを買うと言っていたけれど、どうするの?
仕方ないから、カードを売りに行ってくるよ。
背に腹は代えられぬものね。
【スポンサーリンク】
「背に腹は代えられぬ」の例文
- こんなに在庫を抱えてしまっては大変だ。背に腹は代えられぬからバーゲンセールでたたき売りするしかない。
- このまま借金が増えてしまえば、倒産してしまうかもしれない。背に腹は代えられぬのだからここは工場を縮小して借金を清算しよう。
- 背に腹は代えられぬというように、大切なことのためには、ほかをぎせいにしてもやむを得ない。
- ここでライバルの君に助けてもらうなんて、とても嫌なことだけれど、背に腹は代えられだからこの際助けてもらうしかない。
- 恋人を奪った相手に情けをかけられるなんて悔しいけれど、けがをしてしまって歩けない。ここは背に腹は代えられないから、手を貸してもらって病院へ行こう。
- リストラはしたくなかったけれど、会社を守るために背に腹は代えられぬ。君には退職してもらおう。
- 彼は、 内心ではこの男をはなはだしく嫌っていたのだが、背に腹は代えられぬと思い、男を頼ることにした。
- 昔の馴染みと顔を合わせかねないのが厄介だったが、背に腹は代えられない、あの町に行くしかない。
- 迷惑をかけたくないけれど、いまは、背に腹は代えられないから きっと、おばあちゃんもわかって泊めてくれるだろう。
- 帰り道のコースからは少し外れてしまうが、機材を濡らすわけにはいかない、背に腹は代えられないので傘を買いに行こう。
- この川の水の安全性を考えると不安だが、このままだと熱中症で倒れるだろうから背に腹は代えられないので掌に水を受けて飲む。
「背に腹は代えられぬ」を英語で言うと?
「背に腹は代えられぬ」の英語表現をご紹介します。
※英語の声:音読さん
Better the purse starve than the body.
- 直訳:胃が空になるよりも、財布が空になるほうがよい。
- 意味:大事なことのために他のことを犠牲にするのはやむを得ない。
- 用語:purse:財布 / starve:飢える、餓死する、渇望する
Needs must when the devil drives.
- 直訳:悪魔が運転するときは必要だ。
- 意味:やむを得ない事情がある場合は、いやでもせざるを得ない。
これは、15世紀のイギリスで生まれた言葉で、シェイクスピアの戯曲「終わり良ければすべて良し」にも登場し、「必要にかられてしたくないことでもやらなければいけない」という意味を持つ。時折、「Needs must.」のみで使われることもある。
Necessity has no law.
- 直訳:必要性には法律がない。
- 意味:切羽詰まった状況で、法律違反を犯すことも起こり得る。
この言葉は、第一次世界大戦でドイツがベルギー侵略時、首相が侵略を正当化する際に使用した。「Necessity knows no law.」とも言われ、「追い込まれた状況では、法律さえ破る必要がある」というニュアンスを持つ。