目次
「溺れる者は藁をも掴む」とは
読み方・意味
- ことわざ:溺れる者は藁をも掴む
- 読み方:おぼれるものはわらをもつかむ
- 意味:人が危機に陥ったとき、どんなに頼りないものでも、すがろうとすること。
「溺れる者は藁をも掴む」ということわざは、切羽詰まった状況にある者は、どんな物にでもすがりついて救いを求めようとすることのたとえです。
主に、追い詰められた人が冷静な判断を失い、頼りにならないものに望みを託してしまう場面で使われます。
「溺れる者は藁をも掴む」の語源・由来
「溺れる者は藁をも掴む」ということわざは、西洋のことわざに由来すると考えられています。
英語では 「A drowning man will catch at a straw.」という表現があり、ヨーロッパの他の言語にも類似のことわざが存在します。
このことわざは、明治時代に日本に紹介されましたが、当初は「水に溺れんとするときは蘆の葉にもすがらんとす」と訳され、直訳ではなく日本語の感覚に沿った表現が試みられました。
比喩としての「溺れる」という表現は、それ以前から日本語にあり、特に酒や女に「溺れる」といった用法がすでに存在していました。
そのため、このことわざが西洋から導入された際も、日本人にとって理解しやすい表現として受け入れられる素地があったと考えられます。
明治30年代には、徳富蘆花などの新聞小説にたびたび登場し、一般にも広まるようになりました。
さらに、明治20年代には海水浴が流行し、それまで武術として扱われていた水泳が一般に普及するようになったことで、実際に溺れた人が何かにすがる様子が身近な光景となり、ことわざとしての理解が一層進んだと考えられます。
「溺れる者は藁をも掴む」の使い方
「溺れる者は藁をも掴む」の例文
- ボス戦で残りHPがほとんどないのに、最後の手段として、ほとんど効果のないアイテムを使ってしまった。「溺れる者は藁をも掴む」ってこのことか…。
- 宿題を忘れた日宿題を家に忘れてしまい、何とか先生に許してもらおうと、「実は家の犬が食べちゃって…」なんて苦しい言い訳をした。完全に「溺れる者は藁をも掴む」状態だった。
- お金がなくて困っていた友達が、「これで一発逆転だ!」と言って、ほとんど持っているお金を宝くじにつぎ込んでいた。まさに「溺れる者は藁をも掴む」って感じだね。
- おばあちゃんが、「このベルトを巻くだけで痩せるってテレビで言ってた!」と嬉しそうに話していた。それって「溺れる者は藁をも掴む」じゃない?
- 試験当日の朝、何も準備していなかった友達が、「このペンを使うと合格できるらしい!」と言いながら、怪しげなお守り付きのペンを握りしめていた。「溺れる者は藁をも掴む」ってこういうことなんだな。
文学作品などの用例
武蔵は都甲太兵衛の「いつ殺されてもいい」覚悟を剣法の極意だと言っているが、彼自身の剣法はそういう悟道の上へ築かれたものではなかった。晩年の著『五輪書』がつまらないのも、このギャップがあるからで、彼の剣法は悟道の上にはなく、個性の上にあるのに、悟道的な統一で剣法を論じているからである。
武蔵の剣法というものは、敵の気おくれを利用するばかりでなく、自分自身の気おくれまで利用して、逆に之を武器に用いる剣法である。溺れる者藁もつかむ、というさもしい弱点を逆に武器にまで高めて、之を利用して勝つ剣法なのだ。(坂口安吾『青春論』)
「溺れる者は藁をも掴む」の類義語・似たことわざ
「溺れる者は藁をも掴む」の対義語
「溺れる者は藁をも掴む」の注意点
- 切羽詰まった状況で使う
→ 追い詰められた人が、わらにもすがるような気持ちで頼りにならないものに頼る場面に適する。
(例:✕「ちょっとだけ不安だから、念のためにお守りを買った。溺れる者は藁をも掴むってね」→ まだ余裕がある状況には不適切) - 頼りにならないものにすがる場面で使う
→ しっかりした対策を取っている場合には適さない。
(例:✕「試験前にたくさん勉強したけど、不安だから最後にノートを見直した。溺れる者は藁をも掴む?」→ 効果のある行動なので不適切) - 少し皮肉っぽく聞こえることがある
→ 追い詰められている人に対して使うと、冷たい印象を与えることがある。
(例:✕「君、準備しなかったのに占いに頼るんだね。溺れる者は藁をも掴むってやつ?」→ 相手をバカにしているように聞こえるので注意が必要)
「溺れる者は藁をも掴む」の英語表現
A drowning man will clutch at a straw.
直訳:溺れている人は藁をつかもうとする。
意味:追い詰められた人は、頼りにならないものにでもすがろうとすることのたとえ。絶望的な状況で、少しの希望にでもすがりつこうとする心理を表すことわざ。
例文:Even though he knew the investment was risky, he put all his money into it. A drowning man will clutch at a straw.
(彼はその投資が危険だと分かっていたが、全財産をつぎ込んだ。溺れる者は藁をもつかむものだ。)