『説苑』は、中国古代の歴史故事集で、前漢末の学者劉向(りゅうきょう)によって編纂されました。
全20巻から成り立っており、古代の説話、寓話、逸話などを集めたもので、それらの中に教訓的な議論が織り込まれています。
本書は儒教的な理念に基づき、歴史や政治を解釈しており、それによって儒教が当時広まっていたことを示唆しています。
初めは50編存在していたものの、多くが散逸してしまいました。宋時代になって、曾鞏(そうきょう)によってほぼ元の形に復元され、現在はその20巻が主な資料として知られています。
『説苑』は、天子を戒める逸話を採録しており、特に時の成帝を諫める目的で上奏されました。しかし、劉向自身が「『説苑雑事』を校勘し『新苑』として編纂した」との記述もあり、彼が真の撰者ではなく、むしろ校訂者や編者であった可能性が指摘されています。
現在に伝わるテキストは、曾鞏によって再編された20巻本で、この版に彼の序文が付されています。