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「馬の耳に念仏」の意味(語源由来・類義語)
【ことわざ】
馬の耳に念仏
【読み方】
うまのみみにねんぶつ
【意味】
何か注意されたり意見を言われたりしても、ぜんぜん聞く耳をもたず、効き目がないこと。
馬にありがたいお経を聞かせても、馬にはそれが何を言ってるのかわからへんのと一緒やな。言葉を伝えるときは、相手がそれを理解できるかどうかも大事やってことを教えてくれてる言葉やで。
【語源由来】
どんなにありがたい念仏を馬に聞かせても、まるで通じないことから。
【類義語】
・犬に念仏猫に経
・豚に念仏猫に経
・犬に論語
・兎に祭文
・牛に経文
・馬に経文
・馬耳東風
・牛に説法馬に銭
・牛に対して琴を弾ず
・牛に麝香
・馬の耳に風
・馬の目に銭
・蛙の面に水
・猫に石仏
・猫に胡桃をあずける
・猫に小判
・犬に小判
・豚に真珠
「馬の耳に念仏」の解説
「馬の耳に念仏」ということわざと似た意味で、「馬耳東風」っていうことわざがあるんだけど、実はこの「馬耳東風」が元になって、「馬の耳に念仏」っていうことわざができたんだよ。
「馬耳東風」は、人がアドバイスや意見を言っても、全く耳を貸さないっていう意味なんだ。中国の有名な詩人、李白の詩から来ていて、「東風は馬耳を射るがごとき」という部分が元になっているんだよ。
この「東風は馬耳を射るがごとき」っていう部分は、どんなに良い詩を読んでも、それが理解できない人は認めようとしないっていう意味が込められているんだ。
ここでの「馬耳」は、まさに「馬の耳」のことで、「東風」は「東から吹く春の風」のことなんだ。だから、「東風は馬耳を射るがごとき」っていうのは、「馬の耳に風が吹いているだけ」っていうように、話を全く聞かない、という意味になるんだよね。
この「馬耳東風」っていう言葉が日本に伝わると、「何を言っても馬の耳に風」っていう言い方がされるようになって、それが「馬の耳に風」ということわざになったんだよ。そしてそのうちに「風」が「念仏」に変わって、「馬の耳に念仏」っていうことわざができたとされているんだよ。
「馬の耳に念仏」の使い方
「馬の耳に念仏」の例文
- 弟はお母さんから宿題を早くやるように言われても、馬の耳に念仏で、いつも遊んでばかりいる。
- 彼は先生から授業中におしゃべりをしないように注意されても、馬の耳に念仏で、すぐにまたおしゃべりを始める。
- 兄は遊びばかりで勉強に興味がなく、親の言うことは馬の耳に念仏だ。
- プロジェクトリーダーのアドバイスも馬の耳に念仏で、メンバーは自分のやり方を変えようとしないため、効率が上がらない。
- 部長からの注意が馬の耳に念仏で、営業マンはクレーム対応の仕方を改善せず、顧客満足度が低下してしまった。
- 先生が勉強の大切さをいくら説いても、遊ぶことに夢中な健太くんには、馬の耳に念仏だ。
- 自由奔放な姉は両親から耳にたこができるほど注意されても馬の耳に念仏で、いつでも好き勝手にやっている。
- 弟はゲームが大好きで、母にどんなに注意をされてもやめない。馬の耳に念仏だ。
- 田舎者の子供に都会の事情を言って聞かせてもどうせ馬の耳に念仏だろうと諦めているのか、何も注意されなかった。
- あいつにいくら言っても馬の耳に念仏だから無駄だよ、諦めな。
【注意!】間違った例文
❌「健太くんは、人から悪口を言われても、馬の耳に念仏で笑っている。」
「馬の耳に念仏」の文学作品などの用例
「そうして、帰ってくるかと思うと、私の言うことなんか馬の耳に念仏で、そうやって大の字なりの高鼾だ……よし!今日は一つ、泰軒先生に申しあげて、じっくり意見をしてもらいましょう」と、たちあがったお兼婆さん、「いま、泰軒先生を呼んでくるから、逃げかくれするんじゃないよ」(林不忘の丹下左膳より)
「馬の耳に念仏」を英語で言うと?
「馬の耳に念仏」の英語表現をご紹介します。
※英語の声:音読さん
A nod is as good as a wink to a blind horse.
- 直訳:目の見えない馬に頷いても目くばせをしても、同じことだ。
In one ear and out the other.
- 直訳:片方の耳に入ってもう片方の耳から出ていく。
- 意味:人の話を聞いてもすぐに忘れる。全く印象に残っていない。
preach to deaf ears
- 直訳:難聴の耳に説教する
- 意味:どれだけ話しかけても全く聞いていない様子
- 用語:preach:説教する、説く / deaf:難聴の、難聴者
talk to the wall
- 直訳:壁に話しかける
- 意味:どれだけ話しかけても全く聞いていない様子
つまり、意味のある話を聞く能力がない人には、有意義なアドバイスも無駄になることを表しているんだ。