「尾生の信」の意味(出典・語源由来)
【ことわざ】
尾生の信
【読み方】
びせいのしん
【意味】
固く約束を守ること。また、ばか正直で、融通のきかないたとえ。
時には、柔軟性がもっともらしい対応を要求されることもあるから、一筋縄ではいかんこともあるねんて。
【出典】
「史記」蘇秦伝
【語源・由来】
中国の春秋時代、魯の尾生という男が、橋の下で女と会う約束をして待っているうちに、大雨となって増水したが、そのまま待ちつづけておぼれ死んだという故事から。
「尾生の信」の解説
「尾生の信」ということわざはね、昔の中国にいた尾生という人が、女の人と橋の下で会う約束をして、大雨が降って川の水がどんどん増えても、約束を守るために待ち続けた結果、おぼれてしまったという話から来ているんだよ。
この話から、「尾生の信」とは、どんなに大変な状況になっても、約束を絶対に守るという意味があるんだね。でも、同時に、状況に応じて柔軟に対応できない、少し頑固で固すぎることを示すときにも使われるよ。
たとえば、友達と遊ぶ約束をしていて、その日にすごく悪天候になったとしても、約束を守るために無理をして外出するような場合、それは「尾生の信」のような行動と言えるよ。それは立派なことかもしれないけれど、時には安全を考えて計画を変えるほうが賢い選択かもしれないね。
「尾生の信」の使い方
「尾生の信」の例文
- あの人は、まさに尾生の信のような人だから、早くも遅くもなく、時間通りに来るよ。
- 彼は、尾生の信という言葉通りの人だから、安心してお金を貸せるんだ。
- 彼女は、尾生の信という言葉のように正直者だから、彼女が担当であれば喜んで契約するよ。
- あの子は尾生の信という言葉の通りの性格だから、心が顔に出てしまうし刑事には向かないんじゃないかな。
- 君は、尾生の信のように馬鹿正直だから、海外へ行くなら、もう少し人を疑うことを知りなさい。
まとめ
「荘子」「盜跖(トウセキ)篇」の中で、孔子と大泥棒の盜跖に対話をさせ、その中で、盜跖の口から尾生の話を語らせて、更に「こんな奴は、自分の名目(約束は絶対に守ること)にこだわって命を軽んじ、人間の本性に立ち返って、寿命を全うしようとしない者だ」と言わせている。信義に厚いとするのか、愚とするのか、意見が分かれる言葉である。
固く約束を守る姿勢と、それが行き過ぎると融通が利かなくなる、いわゆる「ばか正直」な振る舞いの象徴とされているんだ。。