【故事成語】
言うは易く行うは難し
【読み方】
いうはやすくおこなうはかたし
【意味】
口で言うのはたやすいが、実際にそのとおりに行うのはむずかしいということ。立派なことを言っても、実行がともなわなければ意味がないという戒め。


【英語】
・Easier said than done(言うのは簡単だが、実行は難しい)
・It’s one thing to say it, another to do it(言うことと実際にすることは別だ)
・Saying is easy, doing is hard(言うのは易しいが、行うのは難しい)
【類義語】
・論より証拠(ろんよりしょうこ)
・口では大阪の城も建つ(くちではおおさかのしろもたつ)
【対義語】
・有言実行(ゆうげんじっこう)
・言行一致(げんこういっち)
「言うは易く行うは難し」の故事
この故事成語のもとになった言葉は、中国の歴史書『後漢書(こうかんじょ)』の「馬援伝」に出てきます。そこには、今の日本語の「言うは易く行うは難し」にあたる「言之者易、行之者難」という文が書かれています。
この言葉を語ったのは、後漢の人物である馬援(ばえん)です。馬援は武人としても政治に関わる人としても知られ、そのことばは、単なる思いつきではなく、人の生き方を見すえた教えとして伝わっています。
この文は、馬援が兄の子である厳と敦にあてた手紙の中に出てきます。若い身内に向けて、どう学び、どうふるまうべきかを、ていねいに言い聞かせる流れの中で使われた言葉です。
馬援は、昔の立派な人の道を学ぼうとすること自体は大切だと考えていました。けれども、昔の正しい道を知ったつもりになって、今生きている人たちをむやみに悪く言うだけではいけない、とも考えていたのです。
そこで出てくるのが、「言之者易、行之者難」という言葉です。つまり、正しいことや立派なことを口で言うのはたやすいが、それを自分で実際に行うのは難しい、という意味になります。
この言葉の大事なところは、ただ口数が多い人を笑うだけで終わらない点にあります。人はだれでも、理想を語るときには強くなれますが、毎日の努力、忍耐、くり返しの実行となると、急に難しさが増してくるからです。
たとえば、勉強を毎日続ける、約束を守る、早起きをする、人に親切にする、といったことは、言葉にするだけならすぐできます。けれども、雨の日も気分ののらない日も続けるとなると、強い意志と行動が必要になります。
この事情は、昔も今も変わりません。だからこそ、馬援の言葉は、当時の手紙の一節にとどまらず、だれにでも通じる教えとして受け取られ、短く分かりやすい形で言い表されるようになりました。
日本語で「言うは易く行うは難し」と言うときも、ただ相手を責めるためだけに使うとは限りません。むしろ、自分もまた言うだけで終わっていないかをふり返る、自分へのいましめとして使うことも多い言い方です。
また、この故事成語は、理想を語ることそのものを否定しているわけでもありません。目標を口にすることは出発点として大切ですが、そこから一歩でも実行に移してこそ、言葉に重みが生まれるという教えなのです。
こうして見ると、この故事成語のもとにあるのは、手紙の中の短い一文でありながら、とても深い人間観察です。口にすることと行うことの差を忘れず、まずは自分の行いを整えようという心が、「言うは易く行うは難し」という形で今まで残ってきたのです。
「言うは易く行うは難し」の使い方




「言うは易く行うは難し」の例文
- 毎朝走ると決めても三日でやめてしまえば、言うは易く行うは難しである。
- テスト勉強を計画どおり進めると言ったのに遊びを優先したなら、言うは易く行うは難しというほかない。
- 会議で改革案を立派に述べても実際の準備が進まなければ、言うは易く行うは難しで終わる。
- 家の手伝いを毎日すると約束して続かなかった姿に、言うは易く行うは難しという言葉が重なる。
- 地域の清掃に協力すると口では言いながら当日に来なかったなら、言うは易く行うは難しの例である。
- 自分の目標を語ったあとで努力が止まったとき、言うは易く行うは難しを思い出して立て直したい。























