【ことわざ】
言うた損より言わぬ損が少ない
【読み方】
いうたそんよりいわぬそんがすくない
【意味】
軽々しく口に出して損をするより、言わずにいて損をするほうがまだ少ないということ。余計なことは言わないほうがよいという戒め。


【英語】
・Better left unsaid(言わないほうがよい)
・Silence costs less than careless words(軽はずみな言葉より黙るほうがまし)
・If in doubt, say nothing(迷うなら言わない)
【類義語】
・言わぬが花(いわぬがはな)
・口は禍の門(くちはわざわいのもん)
・雉も鳴かずば撃たれまい(きじもなかずばうたれまい)
【対義語】
・言うは一時の恥、言わぬは末代の恥(いうはいっときのはじ、いわぬはまつだいのはじ)
・言わぬは腹ふくるる業(いわぬははらふくるるわざ)
「言うた損より言わぬ損が少ない」の語源・由来
このことわざは、何かを言うことと、言わずにおくこととを比べて、どちらの不利益が小さいかを考えた言い方です。まず目につくのは、言えばすっきりするかどうかではなく、言ったあとにどんな損が出るかを見ているところです。
「言うた」は、かたい文章の言い方ではなく、ふだんの会話に近いくだけた形です。そのため、このことわざは、学者のことばというより、人と人とのやり取りの中で身についた生活の知恵として受け取りやすい表現になっています。
また、「損」という、とても分かりやすい言葉を二度重ねているのも特徴です。言って損をするか、言わずに損をするかをそのまま並べるので、聞いた人はすぐに意味をつかむことができます。
ここで大切なのは、このことわざが、いつでも黙っていればよいと言っているのではないことです。相手を助ける忠告や、必要な報告まで止めるのではなく、余計なひと言や、その場の感情まかせの言葉をいましめているのです。
人は腹が立ったときや、相手に言い返したくなったときほど、あとで消せない言葉を口にしがちです。いったん出た言葉は取り消しにくく、けんか、気まずさ、信用の低下など、思った以上に大きな損につながることがあります。
それに比べると、言わずにおいたために少し物足りなかったり、気持ちが残ったりする損は、まだ小さくてすむことがあります。そうした日々の経験が、このことわざの形にまとまってきたと考えると、意味がよく通ります。
このことわざが今でもよく使われるのは、家族どうし、友だちどうし、職場など、関係をこわしたくない場面がたくさんあるからです。正しいことでも、言う時と、言い方をまちがえると、相手にはただのきつい言葉に聞こえてしまいます。
似た考え方のことわざに、言わぬが花や、口は禍の門があります。けれども、言うた損より言わぬ損が少ないは、よけいなことを言ったあとの実際の不利益に目を向けているところに、いっそう暮らしの知恵らしさがあります。
反対に、言わないことで困る場面もあります。そのため、このことわざは、何でも飲みこめという命令ではなく、今ここで言うべきかを落ち着いて考えよ、という慎重さの教えとして受け取るのが自然です。
つまり、言うた損より言わぬ損が少ないとは、ことばは一度出すと戻せないから、むやみに口にしないほうがよいという戒めです。とっさのひと言で大きな損をしないために、まず黙る知恵を教えてくれることわざなのです。
「言うた損より言わぬ損が少ない」の使い方




「言うた損より言わぬ損が少ない」の例文
- 会議の前に皮肉を言い返しそうになったが、言うた損より言わぬ損が少ないと思って口をつぐんだ。
- 家族の夕食の席で余計な文句が出かかったので、言うた損より言わぬ損が少ないと考えて思い直した。
- 友だちの失敗をその場でからかうのは、言うた損より言わぬ損が少ないという教えに反する。
- お祭りの準備でいら立っていても、言うた損より言わぬ損が少ないと思えば、強いことばは飲み込みやすい。
- 仕事で相手を責める一言を急いで送るより、言うた損より言わぬ損が少ないと考えて文面を消した。
- 言うた損より言わぬ損が少ないということわざは、感情まかせの一言を慎む知恵を表している。























