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【掛かるも引くも折による】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・英語)

掛かるも引くも折による

【ことわざ】
掛かるも引くも折による

【読み方】
かかるもひくもおりによる

【意味】
物事を始めるにも退くにも、ふさわしい時機を見きわめることが大切だということ。

ことわざ博士
掛かるも引くも折によるは、攻めることと退くことを対にして、進退の判断は時機によって決まるという考えを表すんだよ。
助手ねこ
勝負、交渉、仕事、学習などで、進むべきか引くべきかを慎重に判断する場面で用いるニャン。

【英語】
・Timing is everything.(時機がすべてを左右する)

【類義語】
・懸かるも引くも時による(かかるもひくもときによる)
・駆くるも引くも折による(かくるもひくもおりによる)

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「掛かるも引くも折による」の語源・由来

ことわざを深掘り

「掛かるも引くも折による」は、もとは戦いの進退を考える言い方と結びついています。ここでいう「掛かる」は、相手に攻めかかることを指し、「引く」は退くことを指します。

「折」は、物を折る意味だけでなく、「その時」「機会」という意味でも使われる言葉です。そのため、このことわざの「折による」は、その場にふさわしい時機によって決まる、という意味になります。

古い表現として重要なのは、『平家物語』(鎌倉時代前期成立か、作者未詳)巻第九「二度之懸」に出てくる一節です。『平家物語』は、平家の栄華と没落、源平の戦いを語る軍記物語です。

「二度之懸」では、梶原景時が、敵陣に取り残された子の景季を助けるため、ふたたび敵中へ駆け入ります。父子で敵を退けたあと、景時は「弓矢とりはかくるもひくも折にこそよれ」と言い、景季を連れて引き上げます。

この一節は、武士はただ勇んで攻めるだけでは足りず、攻める時と退く時を見きわめなければならない、という考えを表しています。命がかかる戦場では、進む勇気だけでなく、退く判断もまた大切だったのです。

「駆くるも引くも折による」という形は、この戦いの場面に近い言い方です。「駆くる」は、馬を走らせること、また勢いよく進むことに関わる表現で、戦場で敵へ向かう動きとよく合います。

後に、「駆くる」が、より広い意味に受け取りやすい「掛かる」や「懸かる」の形で用いられるようになりました。「掛かる」には多くの意味がありますが、このことわざでは、物理的に掛かるのではなく、相手に向かって攻めかかる意味で働いています。

また、「引く」は、物を手もとへ寄せる意味のほか、「身を引く」のように、関わりから退く意味でも広く使われます。このことわざでは、攻め続けるのをやめ、いったん退く判断を表します。

したがって、このことわざは、戦いの言葉を土台にしながら、現在では日常の判断にも広く使われます。始める時機、続ける時機、やめる時機を見誤らないことが、物事をうまく進めるために大切だという教えです。

ただし、「掛かるも引くも折による」は、消極的に逃げることをすすめる言葉ではありません。攻めるべき時には進み、退くべき時には退くという、時機を読む落ち着いた判断を重んじることわざです。

「掛かるも引くも折による」の使い方

健太
(放課後の将棋大会で)ぼくの飛車を前に出すか、いったん守りに戻すか迷っているんだ。
ともこ
相手の王さまの近くは守りが固いね。今すぐ攻めると、逆に大事な駒を取られそうだよ。
健太
掛かるも引くも折によるだね。ここは無理に攻めず、歩を進めて様子を見るよ。
ともこ
いい判断だと思う!次に相手の守りがゆるんだら、一気に攻められそうだね。
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「掛かるも引くも折による」の例文

例文
  • 掛かるも引くも折によると考え、社長は新商品の発売を一か月遅らせた。
  • 試合終盤は掛かるも引くも折によるため、監督は攻める選手と守る選手を入れ替えた。
  • 友人との話し合いでは、掛かるも引くも折によるを忘れず、強く言いすぎる前に言葉を選んだ。
  • 商談では掛かるも引くも折によるので、条件が整うまで結論を急がなかった。
  • 受験勉強でも掛かるも引くも折によるで、難問にこだわりすぎず、先に解ける問題へ進んだ。
  • 掛かるも引くも折によるというように、計画を進めるには勢いだけでなく、退く時機を見きわめる力も必要だ。

主な参考文献
・現代言語研究会著『日本語を使いさばく 故事ことわざの辞典』あすとろ出版、2007年。
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・小川環樹・西田太一郎・赤塚忠・阿辻哲次・釜谷武志・木津祐子編『角川新字源 改訂新版』KADOKAWA、2017年。
・『平家物語』鎌倉時代前期成立か。





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