【ことわざ】
垣堅くして犬入らず
【読み方】
かきかたくしていぬいらず
【意味】
家庭内が健全であれば、外からそれを乱す者が入り込むことはないというたとえ。


【類義語】
・修身斉家(しゅうしんせいか)
「垣堅くして犬入らず」の語源・由来
「垣堅くして犬入らず」は、家や庭を囲う垣がしっかりしていれば、外から犬が入り込めないという具体的な情景から生まれたことわざです。その情景を家庭に重ね、内側がよく整っていれば、外から乱すものが入り込むすきはない、という意味を表します。
「垣」は、家や庭などの区画を限るための囲いや仕切りを指します。竹や木で作られることが多いものを指すほか、人と人との間を隔てるもののたとえにも使われます。
「垣」という言葉は古くから使われています。『古事記』(712年・奈良時代)上には「亦垣を作り廻し、その垣に八門を作り」とあり、周囲を囲うために垣をめぐらす場面で使われています。
また、『源氏物語』(1001〜1014年ごろ成立、平安時代中期、紫式部作)「須磨」にも、「かきのさまよりはじめて、めづらかに見給ふ」という用例が出てきます。ここでも「かき」は、家のありさまや敷地の囲いを示す語として働いています。
漢字の「垣」は、土に関わる字で、「かき・かきね・かこい」を意味します。字の成り立ちとしても、土塀、さらに外囲いを表す字として説明されます。
このことわざの「堅く」は、物がしっかりしていて、たやすく破られない様子を表します。垣が弱ければ犬はすき間から入りますが、垣が堅ければ、外から入り込もうとするものを防ぐことができます。
ここでいう「犬」は、実際の犬だけでなく、家庭を外から乱すもののたとえとして受け取るのが大切です。外からの誘い、悪い評判、よくない人間関係などが入り込むのは、内側にすきがある場合だ、という考え方につながっています。
このことわざでは、垣そのものの強さよりも、家庭の内側がよく整っていることに重みがあります。家族が互いに信頼し、生活の筋道がきちんとしていれば、外から乱そうとする者が近づいても、簡単には入り込めないという教えです。
「垣」は、ものを隔てるだけでなく、内側を守る役目も持っています。そのため、ことわざの中の垣は、家のまわりの囲いであると同時に、家庭の信頼、約束、節度を表すたとえとして働いています。
似た考え方に「修身斉家」があります。これは、自分の身を修め、家庭をととのえることを表し、家を整えることが社会の安定にもつながるという考えを含みます。
ただし、「垣堅くして犬入らず」は、単に用心深くするという意味だけではありません。家の中の関係や態度がしっかりしているからこそ、外からの乱れを防げる、という内側の健全さを重んじることわざです。
「垣堅くして犬入らず」の使い方




「垣堅くして犬入らず」の例文
- 家族が日ごろからよく話し合っていたため、垣堅くして犬入らずで、外からのうわさに振り回されなかった。
- 店の会計の仕組みが整っていたので、垣堅くして犬入らずのとおり、不正の入り込む余地がなかった。
- 学級のルールを全員で守っていたため、垣堅くして犬入らずで、外からの身勝手な提案に流されなかった。
- 親族の間で信頼関係が築かれていたので、垣堅くして犬入らずというように、他人の悪口で仲が乱れなかった。
- 部活動の連絡方法を明確にした結果、垣堅くして犬入らずで、誤った情報が広まりにくくなった。
- 家庭が落ち着いていれば、垣堅くして犬入らずで、外からのよくない誘いにも動じにくい。
主な参考文献
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2006年。
・松村明監修『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・小川環樹・西田太一郎・赤塚忠・阿辻哲次・釜谷武志・木津祐子編『角川新字源 改訂新版』KADOKAWA、2017年。
・平凡社編『改訂新版 世界大百科事典』平凡社、2007年。























