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【愛は憎しみの始めなり】の意味と使い方や例文!故事は?(類義語・対義語・英語)

愛は憎しみの始めなり

【故事成語】
愛は憎しみの始めなり

【読み方】
あいはにくしみのはじめなり

【意味】
愛情は、度を越したり相手への期待が強くなりすぎたりすると、かえって憎しみのもとになるという戒め。愛情にも節度やつり合いが必要だということ。

ことわざ博士
愛は憎しみの始めなりは、愛する心そのものを悪いとする表現ではなく、相手を自分の思いどおりにしたい気持ちへの戒めだよ。
助手ねこ
恋愛、家族、友人関係などで、強い思い入れが失望や恨みに変わる場面に用いるニャン。

【類義語】
・可愛さ余って憎さが百倍(かわいさあまってにくさがひゃくばい)
・可愛可愛は憎いの裏(かわいかわいはにくいのうら)

【対義語】
・憎い憎いは可愛の裏(にくいにくいはかわいのうら)

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「愛は憎しみの始めなり」の故事

故事成語を深掘り

「愛は憎しみの始めなり」は、中国古典『管子(かんし)』の一節にもとづく言い方です。もとの形は「愛者憎之始也」という漢文で、「愛は憎しみの始まりである」という意味に読めます。

『管子』は、中国古代の政治論の書物です。春秋時代、斉(せい)の名政治家である管仲(かんちゅう)の著作と伝えられてきましたが、実際には戦国時代末から漢代にかけて、複数の論文がまとめられたものとされています。

管仲は、斉の桓公(かんこう)を助け、国を富ませ、軍を強くし、桓公を春秋時代の有力な覇者へ導いた人物です。『管子』はその名に結びつけられていますが、後の時代に編まれた部分が多いと考えられています。

この言葉が出てくるのは、『管子』の「樞言」という篇です。そこには「衆人之用其心也,愛者憎之始也,德者怨之本也。唯賢者不然」とあり、一般の人が心を用いるとき、愛は憎しみの始まりとなり、徳は怨みのもととなるが、賢い人はそうではない、という流れで述べられています。

ここでいう「愛」は、現在の恋愛だけを指す狭い意味ではありません。親しい相手を大切に思う心、かわいがる心、相手に強く心を寄せる気持ちを広く含むものとして読むことができます。

『管子』の同じ部分では、親に仕える場合も、妻子がそろって暮らしが満ちると孝が衰え、君主に仕える場合も、家が豊かになり、位や俸禄が満ちると忠が衰える、と続きます。これは、人の心が満足や期待によって変わりやすいことを述べる文脈です。

「愛者憎之始也」と「德者怨之本也」が並んでいる点も大切です。深い愛情や善意であっても、そこに「これだけ思っているのだから、相手も応えてくれるはずだ」という期待が強く入りこむと、思いどおりにならないときに憎しみや怨みに変わりやすくなります。

そのため、この故事成語は「愛してはいけない」という意味ではありません。むしろ、愛情をもつときほど、自分の思い入れや期待が相手を苦しめていないか、また自分自身を苦しめていないかを省みる言葉です。

日本語では、『管子』の前半を受けて「愛は憎しみの始めなり」と言うようになりました。また、「愛は憎悪の始め」という形も使われ、「憎しみ」と「憎悪」は、いずれも人をにくむ強い感情を表す言葉として通じます。

似た発想の言葉に「可愛さ余って憎さが百倍」があります。これは、かわいいと思う心が強いだけに、いったん憎いとなると、その感情も特別に強くなることを表します。

一方で、「憎い憎いは可愛の裏」は、口では憎いと言っていても、実は愛情の裏返しであるという意味です。こちらは憎しみから愛情を読み取る発想なので、「愛は憎しみの始めなり」とは向きが反対になります。

現在の使い方では、強すぎる愛情、過度な期待、独りよがりな思い込みが、相手への不満や憎しみに変わる危うさを戒める言葉として用いられます。愛情は大切なものですが、相手をしばる力にならないよう、節度をもって保つことが、この故事成語の中心にある教えです。

「愛は憎しみの始めなり」の使い方

健太
翔太くんに何度もノートを貸したのに、今日は別の友達と遊びに行ったんだ。なんだか腹が立つよ。
ともこ
大切に思うほど、相手にも同じだけ返してほしくなることがあるよね?
健太
それって、愛は憎しみの始めなりということかな。親切にしたからって、相手をしばるのはよくないね。
ともこ
うん! 明日は翔太くんの気持ちも聞いて、いつもどおり話してみよう。
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「愛は憎しみの始めなり」の例文

例文
  • 愛は憎しみの始めなりというように、強すぎる期待は相手への不満に変わりやすい。
  • 母は、子を思う気持ちが行きすぎると愛は憎しみの始めなりになりかねないと自分を戒めた。
  • 親友にすべてを分かってほしいと求めすぎると、愛は憎しみの始めなりの形で関係がこじれることがある。
  • 恋人を大切にする気持ちも、相手を束縛すれば愛は憎しみの始めなりとなる。
  • 会社の後輩を思って厳しくしすぎた結果、愛は憎しみの始めなりを思わせるすれ違いが生まれた。
  • 愛は憎しみの始めなりを忘れず、相手に見返りを求めすぎない態度を心がけたい。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『デジタル大辞泉』小学館。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・『管子』。





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