【ことわざ】
犬一代に狸一匹
【読み方】
いぬいちだいにたぬきいっぴき
【意味】
めったにめぐりあわないことや、珍しいこと、特に大きな好機のたとえ。


【英語】
・once-in-a-lifetime opportunity(一生に一度の機会)
・the opportunity of a lifetime(一生で最も大きいほどの好機)
【類義語】
・千載一遇(せんざいいちぐう)
・好機逸すべからず(こうきいっすべからず)
【対義語】
・日常茶飯事(にちじょうさはんじ)
「犬一代に狸一匹」の語源・由来
「犬一代に狸一匹」は、猟犬(りょうけん)が一生のうちに、狸(たぬき)のような大きな獲物(えもの)を捕らえることは一度あるかないかだ、という見立てから生まれたことわざです。ここでいう「一代」は、その犬の一生を指し、「狸一匹」は、その一生の中でようやく得られるほどの大きな獲物を表しています。
このことわざでは、犬そのものの強さよりも、「いくら獲物を追う犬でも、大きな獲物を得る機会はめったにない」という点が大切です。狸は昔から人里近くにもすむ身近な野生動物であり、体長や体重の面でも、小鳥や小動物とは違う、犬にとって手ごたえのある相手として受け取られました。
「犬」と「狸」を組み合わせた表現は、日常の暮らしや狩りの感覚から生まれたものです。猟に使われる犬が、いつも獲物を追っているように見えても、めざましい成果を上げる機会はそう何度もありません。そのため、このことわざは、努力すればいつでも大きな成功が得られるという意味ではなく、まれな好機に出会うことそのものの珍しさを表します。
もとの考えは「犬が狸を一匹捕る」という具体的な場面ですが、意味は人間の暮らしに移っていきました。人の一生の中でも、人生を大きく変えるような出会い、仕事、発表の場、試合、商売の機会などは、そう何度も訪れません。そこから、「犬一代に狸一匹」は、めったにない大きなチャンスを逃してはならない、という含みをもつ表現として使われるようになりました。
似た発想には、「千載一遇」のように、長い年月の中でもまれにしかめぐりあえない好機をいう表現があります。ただし、「千載一遇」が大きく改まった言い方であるのに対し、「犬一代に狸一匹」は、動物の行動をもとにした、生活感のあるたとえです。身近な犬の姿を通して、幸運や好機の少なさを、少し親しみやすく言い表しているところに特色があります。
このことわざは、幸運をただ待てばよいという教えではありません。めったにない機会だからこそ、目の前に来たときには気づき、十分に準備して生かすことが大切だ、という戒めとして読むことができます。小さな偶然のように見える出来事が、実は一生に一度ほどの好機である場合もある、という考えにつながることわざです。
「犬一代に狸一匹」の使い方




「犬一代に狸一匹」の例文
- 全国大会に出られる機会は、犬一代に狸一匹のようなものだ。
- 新しい店を出す場所として駅前の角地が空いたのは、犬一代に狸一匹の好機だった。
- 有名な研究者から直接助言をもらえるなど、犬一代に狸一匹のめぐり合わせだ。
- 彼は犬一代に狸一匹の機会を逃さないよう、面接の準備を何度もやり直した。
- 家族にとって、その土地を買える話は犬一代に狸一匹といえるほど珍しいものだった。
- 留学の推薦枠が一つ空いたと聞き、姉は犬一代に狸一匹のチャンスだと考えた。
主な参考文献
・公益財団法人日本漢字能力検定協会編『漢検 漢字辞典 第二版』日本漢字能力検定協会、2014年。
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・Merriam-Webster, Incorporated『Merriam-Webster Dictionary』。























