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【盂方なれば水方なり】の意味と使い方や例文!故事は?(類義語・英語)

盂方なれば水方なり

【故事成語】
盂方なれば水方なり

【読み方】
うほうなればみずほうなり

【意味】
上に立つ者のあり方しだいで、下にいる者や集団の風俗・行動もよくも悪くも変わるというたとえ。器が四角なら中の水も四角になる、という見立てにもとづく。

ことわざ博士
「盂」は、水や食物を入れる鉢のような器を指し、「方」は四角い形を表すよ。
助手ねこ
君主と民、リーダーと周囲の人々、先生や上級生と下級生など、上に立つ者の影響を述べる場面で用いるニャン。

【英語】
・A ruler is like a vessel; the people are like water(君主は器、民は水のようなもの)
・If the vessel is square, the water becomes square(器が四角なら水も四角になる)

【類義語】
・水は方円の器に随う(みずはほうえんのうつわにしたがう)
・上を学ぶ下(かみをまなぶしも)

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「盂方なれば水方なり」の故事

故事成語を深掘り

「盂方なれば水方なり」は、中国古典に見える「器」と「水」のたとえから生まれた故事成語です。「盂」は鉢のような器で、「盂方」は四角い鉢を表し、その器に入った水も器の形に従うという意味を持っています。

この言葉の背景には、上に立つ人の姿勢が、下にいる人々の行いに強く影響するという政治思想があります。水そのものには決まった形がなく、入れられた器の形に従うため、民のあり方を君主のあり方に結び付けて説く比喩となりました。

古い形は、『荀子』(じゅんし・中国戦国時代、荀況の思想を伝える書物)の「君道」に出てきます。『荀子』は、中国戦国時代の思想家である荀子に関わる思想書で、礼や政治のあり方を論じた書物です。

「君道」には、国を治めるには何をすべきかという問いに対して、まず君主自身の身を修めることが大切だと述べる流れがあります。その中で、「君者槃也,民者水也,槃圓而水圓。君者盂也,盂方而水方。」という一節が出てきます。

これは、君主は皿や鉢のようなもので、民は水のようなものだという意味です。皿が丸ければ水も丸くなり、鉢が四角ければ水も四角になる。つまり、上に立つ者の姿が下の者の姿を形づくるという考えを表しています。

同じ比喩は、『韓非子』(かんぴし・中国戦国時代末、韓非に帰される法家思想の書物)の「外儲説左上」にも出てきます。『韓非子』は、戦国時代末の法家である韓非に帰される論文集で、厳しい法による政治を特色とします。

『韓非子』では、孔子の言葉として「為人君者猶盂也,民猶水也,盂方水方,盂圜水圜。」とあります。君主は盂のようなもので、民は水のようなものであり、盂が四角なら水も四角く、盂が丸ければ水も丸くなる、という内容です。

『荀子』では、君主が自分を正しく整えることの大切さを説く文脈で、この比喩が用いられています。一方、『韓非子』では、君主と民の関係を説くたとえとして引かれ、上に立つ者の行いが下の者に及ぶことを示しています。

この表現は、のちに「盂方水方」という四字の形でも用いられるようになりました。中国語の成語としても、水が方形の器に盛られれば方形になることから、下位の者が上位の者を手本にするという意味で説明されます。

日本語では、漢文の「盂方水方」を訓読する形で、「盂方なれば水方なり」と言い表します。「水は方円の器に随う」が、交友や環境によって人が変わるという広い意味で使われるのに対し、「盂方なれば水方なり」は、特に上に立つ者の影響が下へ及ぶという意味合いがはっきりしています。

したがって、この故事成語は、単に「人は環境に左右される」というだけでなく、上に立つ人のふるまいには周囲を形づくる力がある、という戒めを含んでいます。よい手本を示せば周囲も整い、悪い手本を示せば周囲も乱れやすい、という教えにつながっています。

「盂方なれば水方なり」の使い方

健太
委員長が時間を守らないから、掃除当番のみんなも少しずつ遅れて来るようになったね。
ともこ
うん。盂方なれば水方なりで、上に立つ人の行動って、思ったよりみんなにうつるんだね。
健太
じゃあ、まずぼくたちが五分前に集まって、ほうきとぞうきんを出しておこうか?
ともこ
いいね!よい手本を見せたら、クラスの空気も少しずつ変わるかもしれないね。
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「盂方なれば水方なり」の例文

例文
  • 部長があいさつを大切にするようになってから、部員全体が明るくなり、盂方なれば水方なりを実感した。
  • 店長が仕事場をきれいに保つ姿勢を示すと、従業員も自然に片づけをするようになり、盂方なれば水方なりとなった。
  • 先生が時間を守ることを徹底したため、クラス全体の行動も整い、盂方なれば水方なりという言葉がよく当てはまる。
  • 兄が毎日読書をするようになると、弟も本を開くようになり、家庭でも盂方なれば水方なりの力が表れた。
  • リーダーがいい加減な態度を取れば、周囲も気を抜きやすくなるため、盂方なれば水方なりを忘れてはならない。
  • 校長先生が地域へのあいさつを続けたことで、生徒たちにも礼儀が広がり、盂方なれば水方なりの例となった。

主な参考文献
・白川静『字通 普及版』平凡社、2014年。
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編集委員、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・藤井専英著『新釈漢文大系5 荀子 上』明治書院、1966年。
・竹内照夫著『新釈漢文大系12 韓非子 下』明治書院、1964年。





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