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【陰徳は末代の宝】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

陰徳は末代の宝

【ことわざ】
陰徳は末代の宝

【読み方】
いんとくはまつだいのたから

【意味】
人に知られないところでよい行いをする者には、その報いが子孫の代にまで及ぶということ。

ことわざ博士
陰徳は、人に知られない善行や、ひそかに施す恩徳を指しているんだよ。
助手ねこ
末代は遠い後の世、宝はかけがえのない大切なものを表し、善行が後の代まで価値をもつ場面で用いるニャン。

【英語】
・Good deeds are rewarded(善い行いは報われる)

【類義語】
・陰徳あれば陽報あり(いんとくあればようほうあり)
・陰徳陽報(いんとくようほう)
・積善の家には必ず余慶あり(せきぜんのいえにはかならずよけいあり)
・情けは人の為ならず(なさけはひとのためならず)

【対義語】
・悪因悪果(あくいんあっか)
・積不善の家には必ず余殃あり(せきふぜんのいえにはかならずよおうあり)

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「陰徳は末代の宝」の語源・由来

ことわざを深掘り

「陰徳は末代の宝」は、人に知られない善行を「末代」、つまり遠い後の世にまで伝わる宝として受けとめることわざです。「陰徳」は人に知られない善行、「末代」は後世や将来、「宝」は特に貴重で大切なものを表します。

このことわざの根にあるのは、中国古典の「陰徳陽報」の思想です。『淮南子(えなんじ)』(前漢、紀元前2世紀、劉安編)は、前漢時代の哲学書で、二十一編から成る書物です。

『淮南子』の「人間訓(じんかんくん)」には、「夫有陰德者,必有陽報,有陰行者,必有昭名」とあります。これは、人に知られない徳をもつ者には、必ずはっきりとしたよい報いがあり、人に知られない行いをする者には、必ず明らかな名誉がある、という意味です。

この一節の前では、聖王が徳を広め、恵みを施すのは、人々から返礼を求めるためではないという考えが示されています。高い山に雲が起こり、深い水に蛟竜が生じるように、深い徳を積めば、それにふさわしい福が帰ってくるというたとえで説かれています。

同じ考えは、前漢の劉向が編んだ『説苑(ぜいえん)』にも出てきます。『説苑』は、君主を戒めるための先人の故事や伝説を集めた二十巻の書物です。

『説苑』の「貴徳」には、『淮南子』とよく似た形で「夫有陰德者必有陽報,有隱行者必有昭名」とあります。そのあとには、禹が治水を行い、契が人の道を教え、后稷が農耕を教えたため、その子孫にまで大きな栄えが及んだ例が挙げられています。

さらに『説苑』の「復恩」には、邴吉がまだ位につく前の宣帝を助けた話があります。邴吉はその功を自分から語りませんでしたが、のちに宣帝が即位し、その陰徳が明らかになって、邴吉は封じられました。

その場面では、「有陰德者必饗其樂以及其子孫」とあります。これは、陰徳のある者は必ずその喜びを受け、さらにその子孫にまで及ぶ、という意味です。ここには、人に知られない善行の報いが本人だけでなく子孫へも及ぶという考えが、はっきりと示されています。

また、『説苑』の「復恩」には、楚荘王が臣下の過ちを人前であばかずに許した話もあります。のちにその臣下は戦で命がけの働きをし、末尾には「此有陰德者必有陽報也」と記されています。

日本でも、「陰徳」という言葉は古くから使われてきました。『本朝文粋(ほんちょうもんずい)』(康平年間成立か・平安時代中期、藤原明衡撰)には「陰徳」の用例があり、のちの『太平記(たいへいき)』(1370年代ごろ成立、南北朝時代)にも、隠れた功績が表に現れる意味で用いられています。

「陽報」という言葉も、日本では近世以前から用いられています。『慶長見聞集(けいちょうけんもんしゅう)』(1614年・江戸時代前期、三浦浄心著)には、楚の孫叔敖が両頭の蛇を見て殺し埋めた行いを陰徳とし、その後に令尹となったことを陽報にかなうものとする記述があります。

鎌倉時代には、日蓮の『四条金吾殿御返事』にも「陰徳あれば陽報あり」という形が出てきます。四条金吾が人に理解されにくい中でも信念をもって行動し、その後に事態が好転する文脈で、この言い方が用いられています。

「陰徳は末代の宝」は、こうした「陰徳」と「陽報」の考えを、日本語のことわざとして、さらに子孫や後世へ広げた言い方です。人に見せるための善行ではなく、静かに積んだ徳こそが、財産以上に長く残る価値をもつという教えを表しています。

「陰徳は末代の宝」の使い方

健太
放課後の図書室で、ぼくのおじいちゃんが昔、誰にも言わずに本を寄付していたって聞いたんだ。
ともこ
それで図書館の人が、健太くんの家のことを今でも大切に覚えていてくれたの?
健太
うん。職場体験の相談をしたら、とても親切に受け入れてくれたんだ。
ともこ
陰徳は末代の宝だね。人に言わない善行も、家族に大切なものを残すんだね!
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「陰徳は末代の宝」の例文

例文
  • 祖父が長年続けた匿名の寄付によって地域の人々に信頼され、陰徳は末代の宝となった。
  • 人に知られず橋の修理費を出した先祖の善行が語り継がれ、陰徳は末代の宝だと感じられた。
  • 母が近所の一人暮らしの高齢者を静かに助けてきたことは、陰徳は末代の宝という言葉にふさわしい。
  • 会社の創業者が名を出さず奨学金を支えていたため、子孫の代まで尊敬され、陰徳は末代の宝となった。
  • 家族が代々、困った人をそっと支えてきた姿を見て、陰徳は末代の宝という教えを思い出した。
  • 父の目立たない善行が後に多くの人の助けとなって返り、陰徳は末代の宝だと実感した。

主な参考文献
・小学館国語辞典編集部編『デジタル大辞泉』小学館。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・飯間浩明編『四字熟語を知る辞典』小学館、2018年。
・劉安編『淮南子』前漢、紀元前2世紀。
・劉向編『説苑』前漢。
・日蓮『四条金吾殿御返事』1279年。





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