【ことわざ】
金儲けと死に病に易い事なし
【読み方】
かねもうけとしにやまいにやすいことなし
【意味】
金を儲けることと、命の助かる見込みのない病に対処することは、どちらも容易ではなく、並大抵の苦労ではないということ。


【類義語】
・銭儲けと死に病に徒はない(ぜにもうけとしにやまいにあだはない)
「金儲けと死に病に易い事なし」の語源・由来
「金儲け」は、金銭上の利益を得ることです。「死に病」は、命の助かる見込みがない病気を指し、「死病」ともいいます。
後半の「易い事なし」に使われている「易い」は、「行うのがやさしい」「たやすい」という意味です。したがって、この部分は、「簡単なことではない」という強い否定を表しています。
文全体では、「金を儲けること」と「死に病に対処すること」を並べ、そのどちらにも容易な道はないと述べています。二つの重い事柄を一息に並べることで、金儲けを軽く考えてはならないという教えを、印象深く伝えています。
このことわざには、特定の人物や出来事を語る物語は伴いません。商売や仕事を通して利益を得るには、時間や労力を費やし、失敗や損失にも耐えなければならないという経験則を、強い比較によって表したものです。
ただし、金儲けと病気の苦しさが、すべての点で同じだという意味ではありません。死に関わるほど重い病を引き合いに出すことによって、金を得る仕事も、決して生易しいものではないと強調しています。
少なくとも1982年には、この表現がことわざ資料に収められていました。2009年の金銭に関することわざ研究にも、「金儲けと死に病いに易いことなし」という、現在の形とほぼ同じ言い方が掲げられています。
そこでは、「病い」と送り仮名を付けた表記が用いられていますが、「病」と書く現在の見出し形との間に意味の違いはありません。「事」を「こと」と書く場合もあり、表記が変わっても、金儲けの難しさを説く内容は共通しています。
また、「銭儲けと死に病に徒はない」という異なる形も伝わっています。この形は、「銭儲けと死に病は徒でない」ともいい、金儲けと不治の病への対処は並大抵のことではない、という意味を表します。
この別形の「徒」は「あだ」と読み、むなしいことや役に立たないこと、軽々しく扱うことなどに関わる言葉です。ここでは、金儲けと死に病は、いい加減な気持ちで向き合えるものではないという意味を強めています。
「金儲け」が「銭儲け」に、「易い事なし」が「徒はない」に変わっても、教えの芯は同じです。いずれも、金を得ることには厳しい苦労が伴い、安易な見通しや中途半端な取り組みでは成し遂げにくいことを表しています。
このように、「金儲けと死に病に易い事なし」は、楽をして利益を得られるという考えを戒めることわざです。仕事や商売には、努力だけでなく、判断、忍耐、責任も必要であるという、暮らしの中から生まれた厳しい教えを伝えています。
「金儲けと死に病に易い事なし」の使い方




「金儲けと死に病に易い事なし」の例文
- 店を始めた叔父は、仕入れや宣伝に苦労し、金儲けと死に病に易い事なしと実感した。
- 父は、働けばすぐ大金が手に入ると思う弟に、金儲けと死に病に易い事なしと戒めた。
- 農作物を育てて売るまでの手間を知り、金儲けと死に病に易い事なしという言葉が身にしみた。
- 新しい会社は注文を得るまで何度も工夫を重ね、金儲けと死に病に易い事なしを地で行った。
- 金儲けと死に病に易い事なしとはいうものの、利益のために人の信頼を失ってはならない。
- 地道な仕事を長く続けた祖母の話は、金儲けと死に病に易い事なしという教えをよく表している。
主な参考文献
・尚学図書編『故事・俗信ことわざ大辞典』小学館、1982年。
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・銭清「『金銭』に関する諺対照比較研究2」『ニダバ』第38号、西日本言語学会、2009年。























