【故事成語】
偕老同穴
【読み方】
かいろうどうけつ
【意味】
夫婦が仲むつまじく、契りが固いこと。生きてはともに老い、死後は同じ墓に葬られるという意味からいう。


【英語】
・pledge to live faithfully together till death.(死ぬまで誠実に連れそうと誓う)
【類義語】
・比翼連理(ひよくれんり)
【対義語】
・同床異夢(どうしょういむ)
「偕老同穴」の故事
『詩経(しきょう)』は、西周初期から春秋中期ごろまでの詩を伝える中国古代の詩歌集で、三百五篇を収めます。偕老同穴は、その中の「邶風(はいふう)・撃鼓(げきこ)」に出る「偕老」と、「王風(おうふう)・大車(たいしゃ)」に出る「同穴」を合わせて生まれた表現です。
「撃鼓」には、「死生契闊、與子成說。執子之手、與子偕老。」とあります。生きることも死ぬことも、離ればなれになる苦しみも含めて誓いを結び、相手の手を取って、ともに老いようとする言葉です。
この「偕老」は、もともと明るい祝いの言葉としてだけ出てくるのではありません。戦いに出た者が故郷の妻を思う流れの中で、果たしたくても果たしにくい誓いとして語られ、夫婦の結びつきの深さと、離別のつらさを同時に含んでいます。
一方、「大車」には、「穀則異室、死則同穴。謂予不信、有如皦日。」とあります。生きている間は同じ部屋で暮らせなくても、死んだら同じ墓穴に入りたいと、白く輝く太陽にかけて誓う場面です。
このように、もとになった二つの詩は、平穏な結婚生活そのものをそのまま祝う言葉ではありません。離別や妨げの中で、それでも相手と結ばれていたいという願いを言い表した句から、後に「ともに老い、同じ墓に入るほど契りが固い」という意味が取り出されました。
日本語では、現代の読みは「かいろうどうけつ」ですが、古くは「かいろうとうけつ」ともいったことが伝わります。四字の形の古い用例としては、鎌倉時代初めごろの『言泉集(ごんせんしゅう)』(1190〜1199年ごろ)に出てくる「偕老同穴之契」があります。
この用例では、夫婦の変わらない契りを表す言葉として使われています。さらに近代以降にも、夏目漱石『吾輩は猫である』(1905〜1906年)などに「偕老同穴を契った」という形が出てきます。
こうして偕老同穴は、「生きてはともに老い、死しては同じ穴に入る」という具体的な誓いから、夫婦の仲むつまじさと契りの固さを表す故事成語として受け継がれてきました。現在は古風で改まった響きをもつため、日常会話よりも、祝辞や文章の中で用いると落ち着いた重みが出ます。
「偕老同穴」の使い方




「偕老同穴」の例文
- 二人は偕老同穴の契りを結び、長い歳月を支え合って歩んだ。
- 祖父母は苦労も喜びも分け合い、まさに偕老同穴の夫婦として家族に慕われた。
- 結婚式の祝辞で、新郎新婦に偕老同穴の幸せを願う言葉が贈られた。
- 相手を思いやる心がなければ、偕老同穴の誓いは形だけになってしまう。
- 長年連れそった両親の姿から、子どもたちは偕老同穴の重みを学んだ。
- 偕老同穴という言葉には、生涯をともにする深い約束の意味が込められている。
主な参考文献
・松村明監修、小学館『大辞泉』編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・飯間浩明編『四字熟語を知る辞典』小学館、2018年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・近藤いね子・高野フミ編『小学館プログレッシブ和英中辞典 第4版』小学館、2011年。
・『詩経』。























