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【韓盧を馳せて蹇兎を逐う】の意味と使い方や例文!故事は?(類義語・対義語・英語)

韓盧を馳せて蹇兎を逐う

【故事成語】
韓盧を馳せて蹇兎を逐う

【読み方】
かんろをはせてけんとをおう

【意味】
強い者が弱い者に戦いをいどむことのたとえ。名犬に、足が不自由な兎を追わせるほど、力の差が大きい勝負をいう。

ことわざ博士
韓盧は中国の韓の国にいたという名犬、蹇兎は足が不自由で速く走れない兎を指すんだよ。
助手ねこ
力のある側が、力の弱い相手に本気で向かうような、不公平な争いや勝負に用いるニャン。

【英語】
・use a sledgehammer to crack a nut.(小さな問題に必要以上の大きな力を使う)

【類義語】
・弱肉強食(じゃくにくきょうしょく)
・鶏を割くにいずくんぞ牛刀を用いん(にわとりをさくにいずくんぞぎゅうとうをもちいん)

【対義語】
・柔能く剛を制す(じゅうよくごうをせいす)

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「韓盧を馳せて蹇兎を逐う」の故事

故事成語を深掘り

「韓盧を馳せて蹇兎を逐う」は、中国の古典『戦国策(せんごくさく)』「秦策」に見える言葉にもとづく故事成語です。『戦国策』は、戦国時代の遊説の士や縦横家の言葉を国ごとに集めた書物で、前漢の劉向が古い史料を整理し、『戦国策』と名づけたと伝わります。

もとの文には、「以秦卒之勇,車騎之多,以當諸侯,譬若馳韓盧而逐蹇兔也」とあります。これは、秦の兵士の勇ましさと車騎の多さで諸侯に当たるなら、韓盧を走らせて蹇兎を追うようなものだ、という意味です。

「韓盧」は、春秋戦国時代の韓の国にいたという名犬の名です。「盧」は黒い犬を指す字としても使われ、韓盧は、すぐれた猟犬の代表のように扱われました。

「蹇」は、足が自由に動かないことを表す字です。そのため「蹇兎」は、足が不自由で速く走れない兎を意味します。すぐれた猟犬と、逃げる力の弱い兎を並べることで、勝負にならないほどの力の差を表しています。

この言葉が置かれている場面では、范雎が秦の昭王に、秦の国力を生かして天下を取る道を説いています。秦は守りやすい土地、勇ましい兵士、多くの車騎を備えているのに、その力を十分に用いていない、と范雎は考えました。

そこで范雎は、秦が諸侯に向かう力の差を、名犬が足の不自由な兎を追う姿にたとえました。このたとえは、秦の強さを強調する言葉であると同時に、強い側と弱い側の差があまりに大きいことを、読者にすぐ分からせる表現でもあります。

同じ内容は、前漢の司馬遷が著した中国最初の正史『史記(しき)』にも伝わっています。『史記』は、黄帝から前漢の武帝までを扱う紀伝体の史書で、十二本紀、十表、八書、三十世家、七十列伝から成ります。

『史記』巻七十九「范睢蔡澤列伝」では、「譬若施韓盧而搏蹇兔也」とあり、『戦国策』の「馳韓盧而逐蹇兔」と少し字が異なります。「逐う」は追うこと、「搏つ」は打ち取ることに近く、どちらも強い猟犬が弱い兎を相手にするたとえとしてつながっています。

後の中国の啓蒙書『幼学瓊林(ようがくけいりん)』巻四「鳥獸」には、「走韓盧而搏蹇兔,喻言敵之易摧」とあります。これは、韓盧を走らせて蹇兎を打つとは、敵がたやすく打ち破られることをたとえる、という意味です。

このように、古い文献では、強国が弱い相手を容易に打ち破ることを説明する比喩として用いられました。日本語では、「韓盧を馳せて蹇兎を逐う」という読み下しの形で、強い者が弱い者に戦いをいどむことをいう表現として定着しています。

現在では、力の差が大きすぎる勝負や、強い立場の者が弱い相手に強く出る場面を批判的に述べるときに使われます。単に「強い」とほめる言葉ではなく、相手との力の釣り合いを考えない行いへの戒めとして読むと、意味が分かりやすくなります。

「韓盧を馳せて蹇兎を逐う」の使い方

健太
昼休みのドッジボールで、六年生の強いチームが、始めたばかりの三年生チームに本気で勝負を申し込んでいたよ。
ともこ
それは力の差が大きすぎるね。三年生は、まだ投げ方もよく練習していないんでしょう?
健太
先生が、韓盧を馳せて蹇兎を逐うような勝負はよくないって言って、学年を混ぜたチームに変えたんだ!
ともこ
そのほうが楽しくできるね。強い人は、弱い相手をただ負かすより、みんなが上手になるように考えたいね。
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「韓盧を馳せて蹇兎を逐う」の例文

例文
  • 全国大会の優勝校が、初めて試合に出る小さなチームを相手に全力で攻め続けるのは、韓盧を馳せて蹇兎を逐うようなものだ。
  • 大企業が小さな商店に圧力をかけて客を奪うやり方は、韓盧を馳せて蹇兎を逐うに近い。
  • 経験豊かな選手が初心者に容赦なく勝負を挑む姿は、韓盧を馳せて蹇兎を逐うと言われても仕方がない。
  • 強い立場の者が、反論できない相手を言い負かして喜ぶのは、韓盧を馳せて蹇兎を逐うようで品がない。
  • 大きな組織が小さな団体を相手に過剰な対抗策を取れば、韓盧を馳せて蹇兎を逐うとの批判を受ける。
  • 子ども相手の遊びに大人が本気で勝ちにいくのは、韓盧を馳せて蹇兎を逐うというものだ。

主な参考文献

・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・円満字二郎編『故事成語を知る辞典』小学館、2018年。
・劉向編『戦国策』。
・司馬遷『史記』前漢。
・程登吉『幼学瓊林』明代。
・中華民国教育部『重編國語辭典修訂本』第六版。
・公益財団法人日本漢字能力検定協会『漢字ペディア』。





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