【ことわざ】
旨い事は二度考えよ
【読み方】
うまいことはにどかんがえよ
【意味】
あまりにも都合のよい話には、危険や裏がひそんでいることがあるので、すぐに飛びつかず、よく考えてから行動せよという戒め。


【英語】
・Look before you leap(行動する前によく考えよ)
【類義語】
・跳ぶ前に見よ(とぶまえにみよ)
・石橋を叩いて渡る(いしばしをたたいてわたる)
・念には念を入れよ(ねんにはねんをいれよ)
【対義語】
・危ない橋を渡る(あぶないはしをわたる)
「旨い事は二度考えよ」の語源・由来
「旨い事は二度考えよ」は、「うまい」と見える話ほど、いったん立ち止まって考え直すべきだという生活上の戒めから生まれたことわざです。ここでいう「旨い事」は、おいしい食べ物のことではなく、自分にとって都合がよく、得になりそうに見える話を指します。
「旨い」は、古くは「うまし」と結びつく言葉で、味のよさだけでなく、好ましいことや、よいことを表す広い意味を持ってきました。現代でも「旨い話」という言い方では、物事が都合よく運ぶこと、好ましい条件に見えること、という意味で使われます。
このことわざは、その「旨い話」をすぐに信じてしまう心の弱さを戒めています。あまりにも条件のよい話は、表に見える利益だけでなく、見えにくい危険や不利な条件を含むことがあるためです。
「二度考えよ」の「二度」は、単に回数を数えるだけでなく、一度聞いてよいと思っても、もう一度落ち着いて考え直せ、という慎重さを表しています。すぐに決めず、相手の意図や条件、あとで困る点がないかを見直す態度が、この言葉の要になります。
昭和初期の『現代語新辞典』(1930年・昭和5年、新井正三郎著)には、「うまい事は二度考へよ」という旧仮名遣いの形が出てきます。表記は現在の「旨い事は二度考えよ」と少し異なりますが、意味の骨組みは、うまく見える話に不用意に乗るなという戒めです。
近代以降のことわざ辞典類では、「あまりにも都合のよい話には危険が潜んでいたり、裏があったりする」と説明する形で定着しています。「まゆつば物」という言い方を添え、疑ってかかるべき話として扱うものもあります。
同じ発想は、「跳ぶ前に見よ」や「石橋を叩いて渡る」とも通じます。「跳ぶ前に見よ」は、行動する前に結果をよく考える教えであり、「石橋を叩いて渡る」は、堅そうに見える石橋でも安全を確かめてから渡るという慎重さのたとえです。
ただし、「旨い事は二度考えよ」は、どんな場合にも疑い深くなれという意味ではありません。特に、思いがけない儲け話、簡単に成功できるという誘い、条件がよすぎる提案などに対して、心を落ち着けて判断せよという意味で使います。
このことわざは、昔からの生活の知恵を、短く覚えやすい形にしたものです。利益だけを見て急ぐのではなく、危険や裏側まで考えてから動くことが、失敗を避ける大切な力になると教えています。
「旨い事は二度考えよ」の使い方




「旨い事は二度考えよ」の例文
- 知らない人から高額な賞品が当たったと連絡が来たので、旨い事は二度考えよと思い、すぐには返事をしなかった。
- 楽に大金が入るという広告を見た父は、旨い事は二度考えよと家族に話した。
- 友人から条件のよすぎるアルバイトを紹介されたが、旨い事は二度考えよで、仕事内容を詳しく確認した。
- 無料だと言われた契約に細かい条件が付いていたため、旨い事は二度考えよという言葉を思い出した。
- 急いで申し込めば得をすると言われても、旨い事は二度考えよの姿勢で落ち着いて判断するべきだ。
- 新しい投資話を聞いた兄は、旨い事は二度考えよと考え、専門家にも相談した。
主な参考文献
・現代言語研究会『日本語を使いさばく 故事ことわざの辞典』あすとろ出版、2007年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・小学館『デジタル大辞泉』小学館。
・新井正三郎『現代語新辞典』自治館、1930年。























