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【鼎の沸くが如し】の意味と使い方や例文!故事は?(類義語・対義語・英語)

鼎の沸くが如し

【故事成語】
鼎の沸くが如し

【読み方】
かなえのわくがごとし

【意味】
鼎の中の湯が沸き返るように、物事が混乱して騒がしいさま。多くの人が騒ぎ立て、収まりがつかない状態のたとえ。

ことわざ博士
鼎の沸くが如しは、ただにぎやかなだけでなく、混乱してまとまりがなくなる様子を表すんだよ。
助手ねこ
会議、集会、事件の現場などで、人々の声や意見が入り乱れて騒然とする場面に用いるニャン。

【英語】
・in an uproar.(大騒ぎになって)
・in tumult.(混乱と騒ぎの中で)

【類義語】
・鼎沸(ていふつ)
・上を下へ(うえをしたへ)
・蜂の巣をつついたよう(はちのすをつついたよう)

【対義語】
・静寂(せいじゃく)
・鎮静(ちんせい)

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「鼎の沸くが如し」の故事

故事成語を深掘り

「鼎の沸くが如し」は、中国古典に見える「鼎沸」という表現をもとにした故事成語です。「鼎」は、古代中国で食物を煮るために用いた器で、「鼎沸」は鼎の湯が沸き立つように、声や議論、世の中が激しく乱れることを表します。

この表現の古い背景には、『漢書(かんじょ)』(後漢、1世紀、班固撰)の「霍光伝(かくこうでん)」があります。そこには「今群下鼎沸,社稷將傾」とあり、臣下たちが沸き返るように騒ぎ、国家がまさに傾こうとしているという切迫した場面で使われています。

この場面は、前漢の政治家である霍光が、行いの乱れた昌邑王を皇帝の位から退けるかどうかをめぐって、朝廷の重臣たちを集めたときのことです。群臣は驚いて言葉を失い、田延年が剣に手をかけて発言し、国の危機を前にためらってはならないと迫りました。

ここでの「鼎沸」は、ただ声が大きいという意味にとどまりません。国の根本である社稷(しゃしょく:国家)が危うくなるほど、人々の心や政治の場が乱れ、決断を迫られている状態を表しています。

また、三国時代から西晋のころに生きた左思の「蜀都賦(しょくとふ)」にも、「諠譁鼎沸」という表現が出てきます。これは、蜀の都である成都の市場や町のにぎわいを描く文脈で、人や車が入り乱れ、声が宇宙に響くほどやかましい様子を述べたものです。

「蜀都賦」は、のちに中国南朝梁の昭明太子蕭統が編んだ『文選(もんぜん)』(6世紀前半成立)にも収められました。『文選』を通じて、「鼎沸」は政治の混乱だけでなく、都市の人声や物音の激しいにぎわいを表す言葉としても読まれていきました。

このように、「鼎沸」は二つの方向へ意味を広げました。一つは『漢書』に見えるような、世の中や政治が乱れて不安定になる意味であり、もう一つは「蜀都賦」に見えるような、大勢の人の声や物音が激しくわき起こる意味です。

日本語の「鼎の沸くが如し」は、この「鼎沸」を、分かりやすく「鼎の中の湯が沸き返るようだ」という比喩の形にした表現です。鼎の湯がぐらぐらと煮え立つ様子を、人々の声や意見が入り乱れる様子に重ねています。

日本語での古い用例としては、江戸時代末期の滑稽本『七偏人』(1857〜1863年)に、「四辺のこん雑は宛然鼎の沸がごとし」とあります。周囲の混雑が、まるで鼎の中の湯が沸き返るようだという文脈で使われています。

関連する短い形の「鼎沸」は、日本でも早くから用いられました。たとえば『蔭凉軒日録(いんりょうけんにちろく)』文明17年(1485年)の記録には「歌吹鼎沸」とあり、歌や楽器の音が盛んにわき起こる様子を表しています。

現在の「鼎の沸くが如し」は、会議で意見がぶつかり合う場面、事件の知らせで人々が騒ぎ立てる場面、集会や群衆が混乱する場面などに使われます。もとの「鼎沸」がもっていた、湯が煮え立つような音と動きの比喩が、今もこの言葉の中心にあります。

「鼎の沸くが如し」の使い方

健太
学級会で遠足の行き先を決めていたら、山がいい人と水族館がいい人で言い合いになったんだ。
ともこ
それは大変だったね。みんなが一度に話したら、何を決めたいのか分からなくなるよ!
健太
本当に鼎の沸くが如しだったよ。先生が順番に意見を言うようにして、やっと静かになったんだ。
ともこ
次は黒板に意見を書いてから話し合うとよさそうだね!
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「鼎の沸くが如し」の例文

例文
  • 会議は反対意見が次々に出て、鼎の沸くが如しの騒ぎとなった。
  • 突然の発表に会場は鼎の沸くが如しとなり、司会者の声も聞こえなかった。
  • 試合終了間際の判定をめぐって、観客席は鼎の沸くが如しの状態になった。
  • 商店街に有名な俳優が現れ、通りは鼎の沸くが如しのにぎわいを見せた。
  • 委員会では予算の使い道をめぐり、鼎の沸くが如しの議論が続いた。
  • 避難訓練の放送を本当の警報と勘違いし、教室は一時、鼎の沸くが如しとなった。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『デジタル大辞泉』小学館。
・白川静『字通』平凡社、1996年。
・班固『漢書』1世紀。
・左思『蜀都賦』西晋。
・蕭統編『文選』6世紀前半。
・Cambridge University Press『Cambridge Dictionary』Cambridge University Press.
・Merriam-Webster『Merriam-Webster.com Dictionary』Merriam-Webster.





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