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【鏡明らかなれば則ち塵垢止まらず】の意味と使い方や例文!故事は?(類義語・対義語・英語)

鏡明らかなれば則ち塵垢止まらず

【故事成語】
鏡明らかなれば則ち塵垢止まらず

【読み方】
かがみあきらかなればすなわちじんこうとどまらず

【意味】
心が清らかで澄んでいれば、欲や邪念に乱されないこと。磨かれた鏡に、ちりやあかがとどまらないことをたとえにした言葉。

ことわざ博士
鏡明らかなれば則ち塵垢止まらずは、心をよく整えた人には、よこしまな思いや世俗のよごれが残らないという考えを表すんだよ。
助手ねこ
自分の心を清く保ち、誘惑や偏見に流されない態度を述べる場面に用いるニャン。

【英語】
・a pure heart.(清らかな心)

【類義語】
・明鏡止水(めいきょうしすい)
・虚心坦懐(きょしんたんかい)

【対義語】
・邪念(じゃねん)
・私利私欲(しりしよく)

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「鏡明らかなれば則ち塵垢止まらず」の故事

故事成語を深掘り

「鏡明らかなれば則ち塵垢止まらず」は、中国古典『荘子(そうじ)』「徳充符(とくじゅうふ)」に出てくる「鑑明則塵垢不止」という一節にもとづきます。『荘子』は、中国の戦国時代の思想書で、荘周(そうしゅう)とその後学の著作とされ、現行本は内篇・外篇・雑篇の三十三篇から成ります。

原典では、現在よく使われる「鏡」ではなく「鑑」の字が使われています。「鑑」は、古くは鏡を意味する字で、ここでは人の心のあり方を映すたとえとして働いています。

この言葉が出てくる場面には、申徒嘉(しんとか)と鄭(てい)の子産(しさん)が登場します。申徒嘉は足を失った人として描かれ、子産と同じく伯昏无人(はくこんぶじん)を師として学んでいました。

子産は政治上の地位をもつ人物で、申徒嘉に対して、自分が先に出るなら申徒嘉は残り、申徒嘉が先に出るなら自分は残るように、と言います。これは、同じ席にいることをいやがるような態度であり、相手を外見や身分で見下す心が表れています。

それに対して、申徒嘉は「先生の門に、あなたのように地位をふりかざす人がいるのか」と問い返します。そして、「鑑明則塵垢不止,止則不明也。久與賢人處則無過」と述べます。

この一節は、「鏡が明るく澄んでいれば、ちりやあかはとどまらない。もしとどまるなら、その鏡は明るくない。長く賢人とともにいれば、過ちはなくなる」という意味です。塵垢(じんこう)は、文字どおりにはちりとあかを指し、さらに心を汚すものや、世俗のわずらわしいもののたとえにもなります。

申徒嘉は、この言葉を使って、子産の心に残る偏見やおごりを静かに指摘しています。立派な師のもとで学んでいるのに、まだ人を外見や地位で分けて見るなら、その心は十分に磨かれていない、という意味をこめています。

この場面のあと、申徒嘉は、自分が師と十九年交わってきたが、師は自分が足を失った者であることを気にしたことがない、と語ります。さらに、二人は心の内側で交わっているはずなのに、子産は外形ばかりを求めているのではないか、と子産の見方を改めさせます。

つまり、この故事で大切なのは、鏡そのものではなく、鏡にたとえられた心の澄み方です。心が澄んでいれば、偏見・私欲・おごりのようなよごれはそこに残らず、反対にそれらが残るなら、心の鏡はまだ曇っているということになります。

後に、この「明るい鏡」のたとえは、澄みきった心を表す言葉として受け継がれました。近い発想をもつ「明鏡止水」も『荘子』「徳充符」にもとづく言葉で、曇りのない鏡と静かな水を用いて、わだかまりのない静かな心を表します。

「鏡明らかなれば則ち塵垢止まらず」は、原文の「鑑明則塵垢不止」を日本語として読み下した形です。表記は「鑑」から、意味の分かりやすい「鏡」へ移って説明されることがありますが、どちらも、澄んだ心にはよごれがとどまらないという考えを伝えています。

現在では、欲に流されない清らかな心、偏見やおごりを寄せつけない態度を表す故事成語として用いられます。外から入ってくる誘惑や人を見下す気持ちに勝つためには、まず自分の心を磨くことが大切だと教える言葉です。

「鏡明らかなれば則ち塵垢止まらず」の使い方

健太
学級委員の話し合いで、人気のある友だちだけを係に入れようと言ったら、先生に注意されたよ。
ともこ
それは少し偏っていたかもね。鏡明らかなれば則ち塵垢止まらずっていうし、公平な心でみんなの力を見たほうがいいよ!
健太
たしかに、仲のよさだけで決めたら、まじめに準備している人を見落としてしまうね。
ともこ
うん。次の休み時間に、係をしたい理由を全員から聞いて、もう一度考え直そう。
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「鏡明らかなれば則ち塵垢止まらず」の例文

例文
  • 部長は私利私欲に流されず、鏡明らかなれば則ち塵垢止まらずの心で人事を決めた。
  • 裁判官には、鏡明らかなれば則ち塵垢止まらずという言葉にふさわしい公平な心が求められる。
  • 友人の悪口に同調しなかった彼女の態度は、鏡明らかなれば則ち塵垢止まらずを思わせた。
  • 寄付金を預かった代表は、鏡明らかなれば則ち塵垢止まらずの思いで、一円まで正確に記録した。
  • 受験の不安で人をねたみそうになったとき、鏡明らかなれば則ち塵垢止まらずという言葉を思い出した。
  • 指導者が鏡明らかなれば則ち塵垢止まらずの心を失えば、組織には不公平や疑いが生まれる。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・円満字二郎編『故事成語を知る辞典』小学館、2018年。
・飯間浩明編『四字熟語を知る辞典』小学館、2018年。
・小学館国語辞典編集部編『デジタル大辞泉』小学館。
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・『荘子』。
・Merriam-Webster, Merriam-Webster.com Dictionary.





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