【ことわざ】
金が金を儲ける
【読み方】
かねがかねをもうける
【意味】
金銭をためたり増やしたりするには、才能や努力よりも、もとになる金銭そのものが大きく働くということ。金があれば、その金を元手にしてさらに金が増えやすいという意味。


【英語】
・Money makes money.(金が金を生む)
【類義語】
・金が子を生む(かねがこをうむ)
・金が金を溜める(かねがかねをためる)
「金が金を儲ける」の語源・由来
「金が金を儲ける」は、金銭を、単なる持ち物ではなく、さらに利益を生む元手として見る考えから生まれたことわざです。ここでいう「金」は金属としての金ではなく、貨幣・金銭を指します。
このことわざの芯にあるのは、商売や事業では、はじめに使える金銭が多いほど次の利益を得やすいという見方です。「資本」は商売や事業をするのに必要な基金、つまり元手を意味するため、「金が金を儲ける」の「金」は、資本に近い働きをしているといえます。
古い用例として重要なのが、江戸時代前期の浮世草子(うきよぞうし)『日本永代蔵』(1688年・江戸時代前期、井原西鶴作)に出てくる表現です。この作品は、諸都市の町人の成功や失敗を描いた短編小説集で、全編を通じて金銭にまつわる喜びや悲しみを扱っています。
『日本永代蔵』は、各巻五章、六巻三十章から成り、町人たちの暮らしぶりを軽妙な筆で描いた作品です。金銭を主題とする作品として重要で、成功した町人だけでなく、貧しくなっていく人びとの姿も取り上げています。
その『日本永代蔵』巻二には、「日本のかしこき人の寄合、銭三文、あだにはもうけさせず。只銀(カネ)がかねをためる世の中といへり」という一節があります。これは、賢い人が集まっても、わずかな銭でさえ簡単には儲けさせない、ただ金が金をためる世の中だ、という趣旨の言葉です。
この古い形では、「儲ける」ではなく「ためる」が使われています。また、原文では「銀(カネ)」と記され、金銀を含む金銭全体を「かね」と読ませる表記になっています。
のちに、この言い方は「金が金を儲ける」と「金が金を溜める」の両方の形で受け継がれました。「儲ける」は利益を得ること、「溜める」は金銭をたくわえることに重きがありますが、どちらも、金銭そのものが次の金銭を生み出すという考えを表します。
同じ発想をもつことわざに「金が子を生む」があります。これは、金銭に利子がついてだんだん増えていくことを表し、元の金から利子が生じる様子を、親から子が生まれることにたとえた言い方です。
「金が金を儲ける」は、「金が子を生む」よりも、資本の力そのものに目を向けた言い方です。元手がある人ほど商売や投資の機会を得やすく、さらに金を増やしやすいという世の中のしくみを、短く鋭く言い表しています。
現在では、商売・投資・貯蓄などで、すでにある金が新しい利益を生む場面に使われます。ただし、このことわざは、努力がまったく不要だという意味ではなく、金銭を増やすうえで元手の大きさが強く影響することを述べた言葉です。
「金が金を儲ける」の使い方




「金が金を儲ける」の例文
- 金が金を儲けるというように、大きな資本を持つ会社ほど新しい事業を始めやすい。
- 祖父は、商売では金が金を儲ける面があるから、元手をむだにしてはいけないと話した。
- 金が金を儲ける仕組みを知ると、貯蓄や投資の大切さが分かる。
- 資金に余裕のある店は広告も出せるため、金が金を儲ける結果になりやすい。
- 金が金を儲けるとはいえ、元手の使い方を誤れば損をすることもある。
- 小さな商店が大きな会社と競争するとき、金が金を儲ける現実に苦しむことがある。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2006年。
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・井原西鶴『日本永代蔵』1688年。
・Josef Essberger『EnglishClub: Sayings/Money』EnglishClub.com.























