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【麒麟児】の意味と使い方や例文!故事は?(類義語・対義語・英語)

麒麟児

【故事成語】
麒麟児

【読み方】
きりんじ

【意味】
才知や技芸が特にすぐれ、将来の活躍を期待される年若い者。

ことわざ博士
麒麟児は、幼いうちから人並み外れた才能を示す子どもや若者を指すんだよ。
助手ねこ
学問、芸術、スポーツなどで、将来を大いに期待される人物をたたえる場面で用いるニャン。

【英語】
・a child prodigy.(幼いうちから並外れた才能を示す子ども)

【類義語】
・神童(しんどう)
・天才児(てんさいじ)
・鳳雛(ほうすう)
・寧馨児(ねいけいじ)

【対義語】
・凡才(ぼんさい)

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「麒麟児」の故事

故事成語を深掘り

「麒麟児」は、文字どおりには「麒麟の子」という意味です。ここでいう麒麟(きりん)は、動物園で見られる首の長い動物ではなく、古代中国で信じられていた想像上の聖なる動物を指します。聖人が現れ、徳のある政治が行われる時に姿を現す瑞獣(ずいじゅう:めでたいしるしとなる動物)と考えられ、生き物や草を傷つけない仁徳の象徴でもありました。

すぐれた子どもを麒麟にたとえる古い故事は、南朝の文人、徐陵(じょりょう)にまつわるものです。唐の姚思廉が編んだ『陳書(ちんじょ)』(636年成立)巻二十六「徐陵伝」には、徐陵がまだ数歳のころ、家族に高僧の宝誌(ほうし)のもとへ連れて行かれたとあります。宝誌は徐陵の頭をなで、「天上石麒麟也」、すなわち「天上の石麒麟である」と言いました。

この逸話は、李延寿が編んだ『南史(なんし)』(唐、高宗の時代成立)巻六十二「徐陵伝」にも受け継がれました。後には、「天上石麟」や「天上麒麟」という形で、他人の子どもの並外れた賢さや才能をほめる言い方となりました。

現在の「麒麟児」という形を広めたのは、唐の詩人、杜甫(712~770)です。杜甫は複数の詩で「麒麟児」を用い、すぐれた素質をもつ子どもや若者をたたえました。

『徐卿二子歌(じょけいにしのうた)』では、徐卿という人物の九歳と五歳の息子をほめ、「孔子釋氏親抱送、並是天上麒麟兒」と詠んでいます。孔子と釈迦が自ら抱いて送り届けた、二人とも天上の麒麟の子である、という意味です。大きい子については、目が澄み、精神は秋の水のようで、骨は玉のようだとし、小さい子については、五歳ながら勢いに満ち、居合わせた客が皆振り返ったと続けています。

杜甫は『和江陵宋大少府暮春雨後同諸公及舍弟宴書齋』でも、「渥窪汗血種、天上麒麟兒」と詠みました。名馬の血を引くような生まれであり、天上の麒麟児であると、若い人物のすぐれた素質をたたえています。

さらに、『奉送魏六丈佑少府之交廣』では、成長して貧しい境遇にある人物についても、「衆中見毛骨、猶是麒麟兒」と詠んでいます。人々の中にいても、生まれ持った骨格や器量に非凡さが表れ、今なお麒麟児である、という意味です。この用例では、幼い子どもだけでなく、将来を期待される若い人物にも「麒麟児」が用いられています。

日本語における古い実例には、江戸時代後期の中島棕隠による『水流雲在楼詩集(すいりゅううんざいろうししゅう)』(1853年序刊)の「題新宮涼庭西遊日記後」があり、「麒麟児」の表記が使われています。中国の詩文で才能ある人物をたたえた表現が、日本でも漢詩や文章を通じて受け入れられたことが分かります。

このように、「麒麟児」は、めでたく尊い麒麟、その麒麟にたとえられた徐陵の故事、そして杜甫の詩を背景とする言葉です。現在では、幼いころから特別な才能を示し、将来の大きな活躍を期待される子どもや若者を、敬意を込めてたたえる表現として用います。

「麒麟児」の使い方

健太
将棋クラブに入ったばかりの1年生が、今日の対局で上級生を全員負かしちゃったんだって!
ともこ
えっ、それは本当?まだ入ったばかりなのに、そんなに強いなんて信じられないな。
健太
本当だよ、みんなあの子のことを将棋界の麒麟児だって大騒ぎしているんだ。
ともこ
まさに将来が楽しみな天才少年だね、私も一度対局してみたいな!
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「麒麟児」の例文

例文
  • 十歳で国際コンクールに入賞した少年は、音楽界の麒麟児として注目を集めた。
  • 若い棋士は次々と強豪を破り、将棋界の麒麟児と呼ばれるようになった。
  • その投手は高校一年生ながら速球を投げ、球界の麒麟児として将来を期待された。
  • 難しい数学の問題を次々と解く少女は、学問の世界に現れた麒麟児だ。
  • 入社直後から画期的な技術を生み出した青年は、開発部門の麒麟児として知られている。
  • 伝統の技法に新しい表現を取り入れた若者は、工芸界の麒麟児と称賛された。

主な参考文献

・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000~2002年。
・円満字二郎編『故事成語を知る辞典』小学館、2018年。
・姚思廉『陳書』636年。
・李延寿『南史』唐代。
・杜甫『徐卿二子歌』唐代。
・杜甫『和江陵宋大少府暮春雨後同諸公及舍弟宴書齋』唐代。
・杜甫『奉送魏六丈佑少府之交廣』唐代。
・中島棕隠『水流雲在楼詩集』1853年。





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