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【麒麟の躓き】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

麒麟の躓き

【ことわざ】
麒麟の躓き

【読み方】
きりんのつまずき

【意味】
どれほど優れた人でも、ときには思いがけない失敗や間違いをすることのたとえ。

ことわざ博士
「麒麟」は、このことわざでは一日に千里を走るといわれる名馬を指すよ。
助手ねこ
高い能力をもつ人が、珍しく失敗した場面で用いるニャン。

【英語】
・Even Homer sometimes nods.(どれほど優れた人でも、ときには誤る)

【類義語】
・弘法にも筆の誤り(こうぼうにもふでのあやまり)
・猿も木から落ちる(さるもきからおちる)
・千慮の一失(せんりょのいっしつ)

【対義語】
・愚者も千慮に一得あり(ぐしゃもせんりょにいっとくあり)

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「麒麟の躓き」の語源・由来

ことわざを深掘り

「麒麟の躓き」の「麒麟」は、首の長い動物のキリンではなく、中国の伝説に登場する一角の霊獣を直接指すものでもありません。このことわざでは、一日に千里を走るといわれるほど足の速い名馬を表しています。名馬を意味する場合には「騏驎」と書くことがあり、「騏驎の躓き」という表記も用いられます。

この名馬の表現と深く関わる言葉に、「騏驥(きき)」があります。「騏驥」は、中国の古典以来、足の速い優れた馬を表し、後には、才能や徳の優れた人物のたとえにも使われました。どれほど速く走る馬でも、足もとの小さな石やくぼみによって、思いがけずつまずくことがあります。その姿を、優れた人物が犯すまれな失敗に重ねたのが、このことわざのもととなる考え方です。

日本では、このことわざが現れる以前から、「騏驥」という言葉が漢詩文に使われていました。『本朝文粋(ほんちょうもんずい)』(1060年ごろ成立・平安時代後期、藤原明衡編)には、大江匡衡の文章として、騏驥が病めば駑馬(どば:歩みの遅い馬)に先を越されるという趣旨の一節が収められています。この段階では、現在のことわざそのものではありませんが、騏驥を並外れて優れた馬の代表とする見方が、日本の文章にも早くから取り入れられていたことが分かります。

現在の意味に直接つながる古い用例は、『十訓抄(じっきんしょう)』(1252年・鎌倉時代中期)第一に出てきます。『十訓抄』は、十の教えに沿って和漢の説話や言葉を集めた教訓説話集です。編者については、六波羅二臈左衛門入道などを当てる説がありますが、確定していません。

第一の冒頭では、人の上に立つ者が、一度の過ちだけを理由に人を厳しく罰したり、その人物のすべてを否定したりしてはならないと説いています。その中に、「麒驥といふ賢き獣も、をのづから一躓の謬りなきにあらず」とあります。優れた馬である騏驥にも、一度ぐらいはつまずくという誤りがある、という意味です。続いて、人間もその道理を離れることはできないと述べています。

この古い用例では、単に「名人も失敗する」と述べるだけでなく、一度の失敗によって、その人の能力や価値をすべて否定してはならないという教えに結び付けています。名馬が一度つまずいても、名馬であることに変わりはないように、優れた人物も、一つの失敗だけで優れた人物ではなくなるわけではありません。

古い「騏驥にも躓きあり」と、現在使われる「騏驎の躓き」や「麒麟の躓き」は、いずれも名馬のつまずきを人の失敗に重ねた表現です。「にも躓きあり」という文章の形から、「躓き」を中心とする短い形へまとめられていますが、意味の芯は変わっていません。どれほど優れた人も完全ではなく、ときには間違えるという、人間の弱さへの理解を表すことわざとして定着しています。

「麒麟の躓き」の使い方

健太
昨日の算数大会で、いつも満点の山本さんが計算を一つ間違えたんだって!
ともこ
珍しいね。でも、どんなに算数が得意でも間違えることはあるよ。
健太
まさに麒麟の躓きだね。山本さんも、答えを見直せばよかったって笑っていたよ。
ともこ
一度の失敗で実力がなくなるわけじゃないものね。次はきっと、いつもの力を出せるよ。
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「麒麟の躓き」の例文

例文
  • 名人と呼ばれる棋士にも読み違いがあり、麒麟の躓きと評された。
  • ベテランの先生が黒板の計算を誤ったのは、まさに麒麟の躓きだった。
  • 優勝候補の選手が予選で反則を取られたのは、麒麟の躓きというほかない。
  • 長年無事故だった運転手の小さな確認漏れは、麒麟の躓きとして職場の教訓になった。
  • 人気料理人が塩を入れ忘れた一皿は、麒麟の躓きとして客の話題になった。
  • 実績豊かな会社が基本的な入力ミスで発注を誤ったのは、麒麟の躓きだった。

主な参考文献

・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・公益財団法人日本漢字能力検定協会編『漢検 漢字辞典 第二版』日本漢字能力検定協会、2014年。
・永積安明校訂『十訓抄』岩波書店、1957年。
・Cambridge University Press & Assessment, 『Cambridge Dictionary.』





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