『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』講談社より出版。詳細はコチラ!

【愚者の百行より知者の居眠り】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・英語)

愚者の百行より知者の居眠り

【ことわざ】
愚者の百行より知者の居眠り

【読み方】
ぐしゃのひゃっこうよりちしゃのいねむり

【意味】
愚かな者の数多くの行いも、知恵のある者の居眠りにさえ及ばないというたとえ。転じて、つまらないものが数多くあるより、優れたものが少しある方がよいこと。

ことわざ博士
愚者の百行より知者の居眠りは、量の多さよりも内容の質を重んじる考えを、極端な対比によって表したことわざだよ。
助手ねこ
出来のよくない案や作品を数多くそろえるより、少数でも優れたものを選ぶべき場面に用いるニャン。

【英語】
・Quality over quantity.(量より質)

【類義語】
・雀の千声鶴の一声(すずめのせんこえつるのひとこえ)
・千人の諾諾は一士の諤諤に如かず(せんにんのだくだくはいっしのがくがくにしかず)

【スポンサーリンク】

「愚者の百行より知者の居眠り」の語源・由来

ことわざを深掘り

「愚者の百行より知者の居眠り」は、愚かな者が数多く行動しても、知恵のある者の居眠りにさえ及ばないという、思い切った対比から成ることわざです。行動した回数や作り出した物の数ではなく、その内容や質にこそ価値があることを説いています。

「百行(ひゃっこう)」は、文字どおり百回の行動という意味ではありません。「あらゆる行い」を指す言葉であり、「百」もここでは、数の百だけでなく、多くのものや、もろもろのものを表しています。

「百行」という言葉そのものは古く、『源平盛衰記』(14世紀前半ごろ成立)に、「孝養は百行の最長」という用例があります。親に孝行することは、あらゆる行いの中で最も大切だという文脈であり、「百行」が、人のさまざまな行いをまとめて指す言葉として使われています。

ただし、この古い用例が、そのまま「愚者の百行より知者の居眠り」の直接の由来になったという意味ではありません。このことわざでは、古くから「あらゆる行い」を意味した「百行」を用い、価値の乏しい行動をいくら重ねても、優れた知恵にはかなわないという考えを表しています。

「知者(ちしゃ)」は、知恵に優れ、物事の道理をわきまえた人のことです。その反対側に「愚者」を置くことで、考えの浅い者が重ねる多くの行動と、道理を知る者がもつ力との違いを、はっきりと示しています。

表記には、入力された「知者」のほかに、「智者」を用いた「愚者の百行より智者の居眠り」もあります。「知者」と「智者」は、いずれも「ちしゃ」と読み、知恵の優れた人を表すため、表記が異なっても、ことわざの意味は変わりません。

「居眠り」は、ここでは、知者が眠りながら実際に何かを成し遂げるという意味ではありません。何もしていないように思える状態をあえて置き、それにさえ愚者の数多くの行いが及ばないとすることで、数ばかり多くても、質が伴わなければ価値は高まらないという教えを強く印象づけています。

同じ発想をもつ「雀の千声鶴の一声」は、雀の多くの声よりも、鶴の優れた一声の方がまさると説くことわざです。『玉塵抄(ぎょくじんしょう)』(1563年・室町時代後期)には、「すずめの千声よりつるの一声」という古い用例があり、数の多さと一つの優れたものとを対比する考えが、早くからことわざとして表されていました。

「愚者の百行より知者の居眠り」も、もとは人の行いや能力を比べる形ですが、現在では、案、作品、商品、意見などを評価する場面にも用います。出来のよくないものを数だけ増やすよりも、少数でも十分に練られたものを重んじるという意味へ、使い方が広がっています。

ただし、「愚者」という言葉は、人を低く評価する強い表現です。特定の人を見下すためではなく、数をそろえることだけに満足せず、一つ一つの内容を高める大切さを説く言葉として用いるのがよいでしょう。

このように、「愚者の百行より知者の居眠り」は、多く行えば必ず価値が生まれるわけではなく、知恵を働かせて質を高めることが大切だと教えることわざです。

「愚者の百行より知者の居眠り」の使い方

健太
読書週間の標語を二十個も考えたけれど、急いで作ったから、どれも言いたいことがぼんやりしているんだ。
ともこ
何個も数を増やすより、時間をかけて作った一案の方が、心に残るかもしれないよ。
健太
愚者の百行より知者の居眠りということか!たくさん出せば、それだけでよいわけではないんだね。
ともこ
うん。誰かを愚者と呼ぶのではなく、量より質が大切だと考えて、三案にしぼって磨こう。
【スポンサーリンク】

「愚者の百行より知者の居眠り」の例文

例文
  • 急いで書いた記事を十本並べるより、推敲した一本の方が読者の心に届くのは、愚者の百行より知者の居眠りのたとえどおりだ。
  • 安い道具を次々に買っては壊していた父は、愚者の百行より知者の居眠りと考え、丈夫な一品を選び直した。
  • 根拠の乏しい案ばかりが増えた会議で、部長は愚者の百行より知者の居眠りだと、専門家の一案を詳しく検討した。
  • 文化祭の展示は数を競うより完成度を高めようと、委員長は愚者の百行より知者の居眠りということわざを引いた。
  • 似た企画書を何十枚も提出するより、問題を解決する一案を練るべき場面には、愚者の百行より知者の居眠りが当てはまる。
  • 情報は多ければ正しいとは限らず、信頼できる一つの報告を重んじる場面にも、愚者の百行より知者の居眠りという考えが通じる。

主な参考文献

・現代言語研究会著『日本語を使いさばく故事ことわざの辞典』あすとろ出版、2007年。
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2006年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。





『〈試験に出る〉マンガでわかる すごいことわざ図鑑』(講談社)発売中♪

マンガでわかる ことわざ図鑑

◆試験に出ることわざを網羅
ことわざは小学、中学、高校、大学、さらに就職試験の問題になっています。ことわざの試験対策としてもオススメの一冊。

◆マンガで楽しみながらことわざを知る! 憶える!
本書では、マンガで楽しくわかりやすくことわざを解説し、記憶に定着させます。