【鍬を担げた乞食は来ない】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・英語)

鍬を担げた乞食は来ない

【ことわざ】
鍬を担げた乞食は来ない

【読み方】
くわをかたげたこじきはこない

【意味】
まじめに働く者は、物乞いをするほど生活に困ることはないというたとえ。

ことわざ博士
鍬を担げた乞食は来ないは、働く意思と手段を持つ者は、自らの力で暮らしを支えられるという勤労の教えを表すんだよ。
助手ねこ
こつこつ働くことの大切さを説く場面や、仕事を続ける人を励ます場面で用いるニャン。

【英語】
・Work hard and you will never be poor.(懸命に働けば、貧しくならない)

【類義語】
・稼ぐに追いつく貧乏なし(かせぐにおいつくびんぼうなし)

「鍬を担げた乞食は来ない」の語源・由来

ことわざを深掘り

「鍬を担げた乞食は来ない」は、鍬を肩に載せて田畑へ働きに行く人と、家々を訪ねて物を求める人とを対照させたことわざです。鍬を持って働こうとする者が、物乞いとしてやって来ることはないという日常の風景から、まじめに働けば暮らしを支えていけるという教えを表しています。

「鍬」は、平たい鉄の刃に柄を付け、田畑を掘り起こしたり、土をならしたりする農具です。『古事記(こじき)』(712年・奈良時代)の歌謡には「木久波(クハ)持ち」とあり、農作業に欠かせない道具の名として、古くから日本語で使われてきました。

このことわざの「担げた」は、「かたげた」と読みます。「担げる(かたげる)」は、「肩」を動詞にした言葉で、物を肩に載せて運ぶことを意味します。したがって、「担げた」は「かつぐことができた」という可能の意味ではなく、「かたげる」の過去形で、「肩に載せた」「担いだ」という意味です。

『玉塵抄(ぎょくじんしょう)』(1563年・室町時代後期)には、「すきをかたけて」とあります。これは、鋤(すき)を肩に載せて歩く場面であり、「かたげる」が農具を肩に担ぐ具体的な動作に使われていたことを示しています。ことわざの「鍬を担げた」という言い方にも、この古い動詞の形が残っています。

「乞食」は、このことわざでは「こじき」と読み、家々を回って食べ物や金品を求める人を指します。「こじき」という呼び名は、もともと、仏教の修行僧が食物を乞い歩く托鉢(たくはつ)を表した「乞食(こつじき)」から転じたとされています。ここでは、宗教上の修行ではなく、物を求めて暮らす人という意味で用いられています。

このように、「鍬」は働くための道具と意思を表し、「乞食」は人から物を受け取って暮らす状態を表します。その二つを一人の姿に重ねた「鍬を担いだ乞食」は、ことわざの考え方では成り立ちにくい姿です。「そのような者は来ない」と言い切ることで、働く者は自分の生活を自分で支えられるという教えを、目に浮かぶような形で表しています。

よく似たことわざに「稼ぐに追いつく貧乏なし」があります。これは、一生懸命に働いていれば、楽な暮らしはできなくても、何とか食べていけるという意味です。「鍬を担げた乞食は来ない」も、必ず豊かになれると約束する言葉ではなく、地道に働き続けることが暮らしを支えるという、つつましい勤労の教えを伝えています。

現在の言葉に置き換えれば、「鍬を担いだ乞食は来ない」と表すこともできます。しかし、ことわざでは、肩に載せて運ぶという古い言い方である「かたげる」を用いた「担げた」の形が受け継がれています。農具を肩に担いで仕事場へ向かう姿を通して、働く意欲と日々の努力の大切さを説いた表現です。

「鍬を担げた乞食は来ない」の使い方

ともこ
夏休みにおじいちゃんの畑を手伝って、新しい絵の具を買うお金を少しずつためるんだ。
健太
朝の草取りや水やりは大変そうだけど、毎日続けられそう?
ともこ
うん。鍬を担げた乞食は来ないというし、自分で働いて必要な分をためるよ!
健太
それなら畑も助かるし、絵の具にも少しずつ近づけるね。

「鍬を担げた乞食は来ない」の例文

例文
  • 祖父は鍬を担げた乞食は来ないを信条に、毎朝畑へ出て働いた。
  • 父は仕事探しに迷う兄へ、鍬を担げた乞食は来ないと励ました。
  • 鍬を担げた乞食は来ないという教えどおり、彼女は小さな仕事にも真面目に取り組んだ。
  • 店主は鍬を担げた乞食は来ないを胸に、客の少ない日も店を開け続けた。
  • 村の古老は、鍬を担げた乞食は来ないという言葉で、若者に働く大切さを伝えた。
  • 鍬を担げた乞食は来ないと考えた彼は、家計を支えるために毎日こつこつ働いた。

主な参考文献

・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修、小学館国語辞典編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・現代言語研究会著『日本語を使いさばく 故事ことわざの辞典』あすとろ出版、2007年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・『プログレッシブ和英中辞典 第4版』小学館、2011年。
・『古事記』712年。
・『玉塵抄』1563年。




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