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【朝腹に茶漬け】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

朝腹に茶漬け

【ことわざ】
朝腹に茶漬け

【読み方】
あさはらにちゃづけ

【意味】
非常にたやすく、少しも負担にならずにできることのたとえ。朝飯前。

ことわざ博士
朝腹に茶漬けは、朝食前の空腹でも茶漬けなら容易に食べられるという実感から生まれた言い方なんだよ。
助手ねこ
技量や経験が十分で、ふつうなら手間のかかることを軽くこなす場面に用いるニャン。

【英語】
・a piece of cake(とても簡単にできる)
・as easy as pie(非常に簡単)

【類義語】
・朝飯前(あさめしまえ)
・お茶の子さいさい(おちゃのこさいさい)
・朝腹の茶の子(あさはらのちゃのこ)

【対義語】
・骨が折れる(ほねがおれる)
・難中の難(なんちゅうのなん)

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「朝腹に茶漬け」の語源・由来

ことわざを深掘り

朝腹に茶漬けは、中国の古い故事から出た故事成語ではなく、日本の日常の食事感覚から生まれたことわざです。「朝腹」は朝食前の空腹を表し、その時間に食べる軽い物や、そこから転じて物事が容易なことを表す言い方にも広がりました。

このことわざの中心には、朝の空腹時に茶漬けを食べるという、身近で分かりやすい場面があります。茶漬けは飯に茶湯を注いだもので、江戸時代には簡素な食事の意味でも用いられ、手早く食べられる食事として受け止められていました。

朝食前の空腹に茶漬けを口にすれば、重い食事のように構えず、さらりと食べられます。その「苦にならない」「すぐに入る」という感覚が、やがて「仕事や物事が非常にたやすい」という意味に移りました。

近い考え方をもつ言葉に、「茶の子」があります。茶の子は、茶を飲む時に添える菓子や果物、また朝飯前にとる簡単な食事を表し、そこから「容易にできること」「たやすいさま」という意味にも使われるようになりました。

「朝茶子(あさちゃのこ)」も、この流れを考えるうえで大切な言葉です。朝茶を飲む前に食べる物を指す一方で、「朝腹の茶の子」の略として、たやすいことのたとえにもなりました。

古い用例では、『日葡辞書』(1603〜1604年・安土桃山時代末期から江戸時代初期)に、朝、茶を飲む前に食べる滋養の少ない物としての朝茶子が出てきます。さらに『浅井三代記』(1689年・元禄2年・江戸時代前期)には、たやすいことのたとえとしての朝茶子が出てきます。

「朝腹に茶漬け」そのものは、『譬喩尽(たとえづくし)』(1786年・天明6年ごろ、江戸時代後期、松葉軒東井編)に見える形として伝わっています。この段階で、朝の空腹と軽い食べ物を結びつけた表現が、ことわざとしてまとめられるほど広まっていたことが分かります。

同じ「朝腹」を用いた関連表現には、「朝腹の丸薬」「朝腹の茶粥」「朝腹の茶の子」などがあります。これらは、朝の空腹を満たすには軽すぎる物、または容易に口にできる物を手がかりにして、物事の軽さやたやすさを表す言い方としてまとまっています。

江戸時代末期の歌舞伎『与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)』(1853年・嘉永6年、三世瀬川如皐作)にも、「こんな事は、朝腹茶漬」という形の用例が出てきます。芝居のせりふの中で使われていることから、難しいことではない、軽く引き受けられるという意味が、話し言葉としても通じる表現だったことがうかがえます。

のちには、より広く知られる「朝飯前」や「お茶の子さいさい」と同じ方向の意味をもつ言葉として理解されるようになりました。どれも、食事の前や軽い食べ物をもとにして、「苦労しないでできること」を表す点でつながっています。

現在の「朝腹に茶漬け」は、日常会話でよく使う言葉というより、少し古風で味わいのあることわざです。それでも、経験を積んだ人が難しそうな作業を軽くこなす場面を表すには、もとの食事の感覚と今の意味が自然につながる表現です。

「朝腹に茶漬け」の使い方

健太
(放課後の図書室で)分類番号どおりに百冊の本を戻す係になったんだ。どの棚に置けばいいのか、ぼくは少し心配だよ。
ともこ
図書委員のわたしなら、背表紙の番号を見ればすぐ分かるから朝腹に茶漬けよ!
健太
ほんとう? 国語の本と歴史の本だけでも、ぼくなら何度も棚を見直しそうだよ。
ともこ
まず左の数字を見て、大きな分類から探せば大丈夫。いっしょにやれば、閉館前にきれいに戻せるよ。
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「朝腹に茶漬け」の例文

例文
  • 毎日練習している暗算なら、この程度の計算は朝腹に茶漬けだ。
  • 父は古い自転車のパンク修理に慣れていて、チューブ交換も朝腹に茶漬けだった。
  • 合唱部の友人にとって、発声練習の指揮をとることは朝腹に茶漬けだった。
  • 長年会計を担当してきた人には、領収書を月ごとに整理する作業など朝腹に茶漬けだ。
  • 料理好きの姉は、急に五人分の卵焼きを頼まれても朝腹に茶漬けとばかりに作り始めた。
  • 地元の道を知り尽くした運転手には、駅から会場までの近道を案内するのは朝腹に茶漬けだった。

主な参考文献
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・松葉軒東井編『譬喩尽並古語名数』写本。
・松葉軒東井編、宗政五十緒校訂『たとへづくし 譬喩尽』同朋舎出版、1979〜1981年。
・Cambridge University Press『Cambridge Dictionary』。
・HarperCollins Publishers『Collins English Dictionary』。





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