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【火事あとの火の用心】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

火事あとの火の用心

【ことわざ】
火事あとの火の用心

【読み方】
かじあとのひのようじん

【意味】
手を打つべき時機を逃し、事が起こってから用心しても間に合わず、役に立たないことのたとえ。

ことわざ博士
火事あとの火の用心は、災いや失敗を防ぐための対策を、被害が出たあとで始める遅さを戒めることわざだよ。
助手ねこ
問題が起こる前には備えず、取り返しがつかなくなってから慌てて対策を講じる場面に用いるニャン。

【英語】
・shut the stable door after the horse has bolted.(悪い事が起きたあとで、手遅れの予防策を講じる)

【類義語】
・盗人を捕らえて縄を綯う(ぬすびとをとらえてなわをなう)
・後の祭り(あとのまつり)

【対義語】
・転ばぬ先の杖(ころばぬさきのつえ)

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「火事あとの火の用心」の語源・由来

ことわざを深掘り

「火の用心」は、火元に注意し、火災を起こさないよう気を付けることです。また、夜回りをする人が町を歩きながら、防火を呼び掛ける言葉としても使われてきました。

火災を防ぐための用心は、当然ながら、火事が起こる前に行わなければなりません。家や家財が焼けてしまったあとで火元を確かめ始めても、すでに生じた被害を防ぐことはできません。

この前後関係をわざと逆にしたのが、「火事あとの火の用心」という表現です。本来は事前に行うべき「火の用心」を「火事あと」に置くことで、対策の遅さと間の抜けた様子を、ひと目で分かる形にしています。

もとになった「火の用心」という言い方は古く、『望一後千句(もういちのちのせんく)』(1652年・江戸時代前期、望一著)に、「御用心火の用心と夕ま暮」とあります。夕暮れに防火を呼び掛ける声と、つながれた犬の騒がしい鳴き声とを取り合わせた句です。

この用例では、「火の用心」が、火災の発生を未然に防ぐための呼び掛けとして使われています。したがって、「火事あと」という言葉を前に加えると、本来の目的とは正反対になり、手遅れであることがいっそう鮮明になります。

「火の用心」は、徳川家康の家臣であった本多重次が、戦場から妻へ送ったと伝わる「一筆啓上 火の用心 お仙泣かすな 馬肥やせ」という簡潔な手紙でも知られています。留守中の家で火を出さないよう、前もって注意を促す言葉として用いられています。

このように、火災への用心は、被害が生じる前にこそ意味をもつものです。「火事あとの火の用心」は、その常識を裏返し、肝心な時機を逃してから動き始める愚かさを戒める表現として成り立ちました。

同じ発想を表す古いことわざに、「盗人を捕らえて縄を綯う」があります。盗人を捕らえたあとで、縛るための縄を作り始めるという意味で、『毛吹草(けふきぐさ)』(1638年・江戸時代前期、松江重頼編)にも、類する形が載っています。

ただし、「盗人を捕らえて縄を綯う」が、準備を怠り、必要になってから慌てて用意する様子を広く表すのに対し、「火事あとの火の用心」は、予防すべき災いがすでに起きたという点を強く表します。後から対策を始めても、起きてしまった損害には間に合わないという戒めです。

表現には、「火事後の火の用心」や「火事の後の火の用心」という形もあります。また、「焼けた後の火の用心」も、同じ意味の異形として使われています。

『清算期にある日本の外交』(昭和7年、稲原勝治著)には、「火事後の『火の用心』」という章題があります。ここでは、実際の火災ではなく、外交上の問題が生じたあとで遅れて対応することを批判する比喩として用いられており、昭和初期には、社会や政治についても使える表現となっていました。

現在も、事故のあとで安全規則を作る、情報を失ってから保存の仕組みを整える、病気が広がってから予防策を始めるなど、対策が遅すぎる場面に使います。失敗を悔やむだけでなく、「必要な備えは事が起こる前に行うべきだ」と教えるところに、このことわざの要点があります。

「火事あとの火の用心」の使い方

健太
理科の観察写真が、タブレットの故障で全部消えてしまったよ。保存用のコピーを作っていなかったんだ……。
ともこ
写真が消えたあとで自動保存を設定しても、今回の記録については火事あとの火の用心だね。
健太
本当だね。観察を始める前に、別の場所にも保存しておけばよかったよ。
ともこ
次の観察では、撮った写真をその日のうちに二か所へ保存しよう!
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「火事あとの火の用心」の例文

例文
  • 大切な資料を失ってから保存規則を作るのでは、火事あとの火の用心だ。
  • 事故が起きたあとで設備の点検を始めても、火事あとの火の用心との批判は免れない。
  • 試験が終わってから学習計画を立てるのは、まさに火事あとの火の用心である。
  • 商品への苦情が相次いでから品質管理を厳しくするのでは、火事あとの火の用心になりかねない。
  • 空き巣に入られたあとで初めて鍵を取り替えた父は、火事あとの火の用心だったと反省した。
  • 感染が広がりきってから予防策を講じるようでは、火事あとの火の用心と言われても仕方がない。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・望一『望一後千句』1652年。
・松江重頼編『毛吹草』1638年。
・稲原勝治『清算期にある日本の外交』大乗社東京支部、1932年。





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