【ことわざ】
乾き田に水
【読み方】
かわきだにみず
【意味】
困り果てている人や行き詰まった状況に、ちょうどよい助けが差し伸べられること。


【英語】
・a godsend.(思いがけず必要な時に来るありがたい助け)
【類義語】
・干天の慈雨(かんてんのじう)
・地獄で仏(じごくでほとけ)
・渡りに船(わたりにふね)
【対義語】
・焼け石に水(やけいしにみず)
「乾き田に水」の語源・由来
「乾き田に水」は、日照りや水不足で乾いた田に、水が行き渡る様子から生まれたことわざです。田は、稲などを栽培する土地で、日本ではふつう、水を引いて水稲を育てる水田を指します。
田にとって水は、ただ地面をぬらすだけのものではありません。水田では、あぜで囲った田に水をたたえ、水口から水を入れ、余った水を排水口から出すしくみが整えられてきました。
稲作では、稲の育つ時期に合わせて田の水の量を変えます。穂が出はじめ、花が咲くころには水が特に必要になるため、田に多くの水をためます。
そのため、日照りが続いて田の水がかれることは、農作物にとって大きな危機でした。「日焼田(ひやけだ)」という言葉もあり、これは日照り続きで水がかれて乾ききった田、または水の便が悪くて枯渇した田を指します。
「日焼田」は、『日葡辞書』(1603〜1604年刊)にも出てくる古い言葉です。さらに俳諧集『猿蓑』(1691年・江戸時代前期、向井去来・野沢凡兆編)には、「日焼田や時時つらく鳴く蛙」という句が収められ、乾いた田のつらさが季節の景として詠まれています。
このような農の実感を背景にすると、乾いた田に水が来ることは、単なる水やりではありません。作物が枯れかけているところへ、命をつなぐものが届く出来事として受け止められます。
「乾き」は、水分がなくなって乾燥すること、また、雨が降らずに日が照りつけることを表します。この言葉の具体的な意味が、「乾き田に水」の前半にある切迫した状況を支えています。
一方、「水」は後半で救いを表します。水田の水は、稲の生育に合わせて管理され、時期によっては深くためる必要があるため、水が来ることは田を立て直す大きな助けになります。
このことわざは、そこから人の暮らしにも広がりました。ひどく困っている人に、必要な助けや支援がちょうど届くことを、乾いた田に水が来る喜びにたとえるようになったのです。
近い発想をもつ言葉に「干天の慈雨」があります。これは、日照り続きに降る待望の雨から、困難なときに救いに恵まれることを表します。
ただし、「乾き田に水」は、雨そのものよりも、乾いた田へ水が届く場面を前面に出す言い方です。そのため、困っているところへ具体的な助けが届き、状況がやっと潤うという印象をもちます。
現在では、金銭的な援助、時間の助け、必要な情報、励ましなど、さまざまな支援について使われます。大切なのは、助けが単にありがたいだけでなく、困り切っているところへちょうど届くという点です。
「乾き田に水」の使い方




「乾き田に水」の例文
- 資金に困っていた商店への融資は、まさに乾き田に水だった。
- 発表の資料が足りなかったところへ友人が写真を貸してくれ、乾き田に水の思いがした。
- 人手不足の職場に経験者が加わり、乾き田に水の助けとなった。
- 長く悩んでいた問題に先生が助言をくれて、乾き田に水のように道が開けた。
- 災害後に届いた物資は、避難所の人々にとって乾き田に水だった。
- 部活動の遠征費が足りない中で寄付が集まり、乾き田に水となった。
主な参考文献
・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・小学館『日本大百科全書』小学館。
・北村孝一編『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・農林水産省『田んぼの水管理について教えてください。』
・Cambridge University Press『Cambridge Dictionary.』























