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【朝飯前のお茶漬け】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

朝飯前のお茶漬け

【ことわざ】
朝飯前のお茶漬け

【読み方】
あさめしまえのおちゃづけ

【意味】
ものごとが、たいへん簡単にできることのたとえ。朝食前のわずかな時間や、空腹のときでもできるほどたやすいことを表す。

ことわざ博士
朝飯前のお茶漬けは、「朝飯前」をさらに強めた、軽く片づく仕事や作業を表すことわざだよ。
助手ねこ
数が多くても手順をよく知っていて、苦労なくすぐ終えられる場面で用いるニャン。

【英語】
・a piece of cake(とても簡単にできる)
・as easy as pie(とても簡単)

【類義語】
・朝飯前(あさめしまえ)
・朝腹に茶漬け(あさはらにちゃづけ)
・お茶の子(おちゃのこ)
・朝駆けの駄賃(あさがけのだちん)

【対義語】
・骨が折れる(ほねがおれる)
・一筋縄ではいかない(ひとすじなわではいかない)

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「朝飯前のお茶漬け」の語源・由来

ことわざを深掘り

このことわざは、中国古典の人物や事件から生まれた故事成語ではなく、日本語の生活感覚から生まれたことわざです。「朝飯前」という言い方に、さらさらと食べやすい「お茶漬け」を添えて、簡単さをさらに印象づけた表現です。

中心になる「朝飯前」は、もともと「朝食をとる前」という時間を表す言葉です。そこから、朝食前のわずかな時間でもできること、または空腹の状態でもできるほどたやすいこと、という意味へ広がりました。

江戸時代には、「朝飯前」がたやすい仕事を表す言い方として使われるようになっていました。たとえば『花暦八笑人(はなごよみはっしょうじん)』(1820〜1849年刊、滝亭鯉丈ほか作)には、端役ほどのものは「朝飯前の仕事」だという趣旨の用例が出てきます。

一方、「茶漬け」は、飯に茶湯を注いだ食べ物です。茶湯を用いる茶漬けは室町時代以降に広まり、江戸時代には簡素な食事の意味にも用いられ、簡単な食事を出す茶漬け屋もありました。

この「朝の空腹」と「茶漬け」の結びつきは、「朝腹に茶漬け」という近い表現にもよく表れています。『譬喩尽(たとえづくし)』(1786年・天明6年序、江戸時代後期、松葉軒東井編)には、この表現が「はなはだ容易なこと」を表すものとして収められています。

さらに、歌舞伎『与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)』(1853年・嘉永6年初演)にも、「朝腹茶漬」という形の用例が出てきます。空腹の朝に茶漬けがすっと入るように、少しも手間取らずにできることを表す感覚が、江戸時代の言葉の中にすでに生きていました。

また、「茶の子」や「朝茶子(あさちゃのこ)」という言葉も、この系統を考えるうえで大切です。『日葡辞書』(1603〜1604年)には、朝に茶を飲む前に食べる、滋養の少ないものを指す語として「朝茶子」が出てきます。

「茶の子」は、茶を飲むときに添える菓子や果物を表すほか、朝飯前の仕事のときにとる簡単な食事や間食を表す意味も持ちました。さらに、腹にたまらず気軽に食べられるものという感覚から、容易にできることを表す意味にも広がりました。

この流れの中で、「お茶の子」も、茶菓子が腹にたまらないところから、たやすくできることを表す言い方になりました。「朝飯前のお茶漬け」は、この「朝飯前」と「茶漬け」「お茶の子」に通じる、食べ物の軽さを使ったたとえの仲間といえます。

「朝飯前のお茶漬け」は、ただ「朝に茶漬けを食べる」という意味ではありません。朝食前の空腹時に茶漬けがさらさらと食べられることをもとに、「たいした苦労もなく、すぐに片づく」という意味を強めて表すことわざです。

現在の使い方では、得意な作業、慣れている仕事、手順が分かっている処理などを軽くこなせる場面に合います。反対に、本当に難しい問題や、時間も労力も大きくかかる事柄には合いません。

つまり、このことわざの由来には、朝食前の時間の短さ、空腹でも食べやすい茶漬けの軽さ、そして江戸時代からの「朝腹」「茶の子」に関わる言い方が重なっています。そこから、今の「非常に簡単にできること」という意味へ自然につながっています。

「朝飯前のお茶漬け」の使い方

健太
図書委員の本のラベルを百枚分、分類番号順に並べ替えるんだ。ぼく、途中でぐちゃぐちゃになりそうだよ!
ともこ
去年も同じ作業をしたから、分類番号を十の位で分ければすぐ終わるよ。わたしにとっては朝飯前のお茶漬けだよ。
健太
本当に五分で棚ごとの山に分かれた。数が多いだけで、手順を知っているとこんなに簡単なんだね。
ともこ
うん。残りは二人でラベルを貼ろう。次は健太くんも一人でできるようになるよ。
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「朝飯前のお茶漬け」の例文

例文
  • 長年そろばんを習っている兄にとって、三桁の足し算を十問解くくらい朝飯前のお茶漬けだ。
  • 母は毎年作っているので、運動会用の弁当を四人分作ることなど朝飯前のお茶漬けだ。
  • 地図作りが得意な友人には、遠足の道順を分かりやすくまとめる作業は朝飯前のお茶漬けだった。
  • ベテランの職人にとって、ゆがんだ棚板をまっすぐ削り直すことは朝飯前のお茶漬けだ。
  • 何度も司会を務めてきた先輩には、町内会の進行表を整えることなど朝飯前のお茶漬けだった。
  • 暗号の規則をすぐ見抜いた彼女にとって、残りの問題を解くのは朝飯前のお茶漬けだった。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修『デジタル大辞泉』小学館。
・現代言語研究会著『日本語を使いさばく 故事ことわざの辞典』あすとろ出版、2007年。
・小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館。
・Cambridge University Press『Cambridge Advanced Learner’s Dictionary & Thesaurus』Cambridge University Press。





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