【ことわざ】
一髪、二化粧、三衣装
【読み方】
いちかみ、にけしょう、さんいしょう
【意味】
女性を美しく見せるものは、第一に髪かたち、第二に化粧、第三に衣装であるということ。


【英語】
・Hair, makeup, and clothes are the three things that make a woman beautiful(髪、化粧、衣装が人を美しく見せる三つのもの)
【類義語】
・女は髪形(おんなはかみかたち)
・女は衣装髪かたち(おんなはいしょうかみかたち)
【対義語】
・見目より心(みめよりこころ)
・人は見目よりただ心(ひとはみめよりただこころ)
「一髪、二化粧、三衣装」の語源・由来
「一髪、二化粧、三衣装」は、中国古典の故事に由来するものではなく、日本で女性の美しさや身だしなみをめぐって伝えられてきたことわざです。「一」「二」「三」と順序立てて並べる形によって、髪、化粧、衣装のうち、どれを最も重く見るかを分かりやすく示しています。
ここでいう「髪」は、単に髪の毛そのものだけではなく、髪の結い方や、整えた様子までを含みます。「髪形」は、髪の結い方、髪がた、髪を結った様子を表す言葉であり、身だしなみの見え方と深く結びついてきました。
髪を女性の美しさと結びつける考えは、かなり古くから言葉の中に表れています。『好色一代女』(1686年・江戸時代前期、井原西鶴作)には、「女は髪かしら、姿のうはもりといへり」という形が出てきます。これは、女性は髪かたちをよくすることで、美しさがいっそう増すという考えを示す古い用例です。
この古い言い方では、髪が「姿のうはもり」、つまり姿をさらに引き立てるものとして扱われています。現代の「一髪、二化粧、三衣装」も、髪を第一に置く点で、この考えとよくつながります。髪は顔や服の一部分ではなく、全体の印象を大きく左右するものとしてとらえられてきたのです。
「二化粧」は、顔や肌の見え方を整えることを指します。ただし、このことわざでは、化粧が第一ではなく、髪の次に置かれています。化粧そのものを軽く見るのではなく、顔を美しく見せる前に、髪かたちが全体の印象を形づくるという順序で考えているところに特徴があります。
「三衣装」は、衣服による装いを指します。衣装も、人を美しく見せる大切な要素ですが、このことわざでは三番目に置かれます。つまり、立派な服を着るだけではなく、髪と化粧も整っていてこそ、身だしなみ全体が調和するという見方を表しています。
同じ考え方に近いことわざとして、「女は衣装髪かたち」があります。こちらは、女性は着る物と髪かたちによって、見違えるほど美しくなれるという意味です。「一髪、二化粧、三衣装」は、それをさらに順序立てた形にし、まず髪、次に化粧、そして衣装という優先順位をはっきりさせた言い方といえます。
一方で、このことわざは、昔の美意識を反映した言葉でもあります。現代では、美しさを女性だけに限って考えたり、外見だけで人を評価したりする考え方は、慎重に扱う必要があります。「見目より心」や「人は見目よりただ心」という言葉があるように、外見の整え方と、人としての心のよさは、別の大切な価値として考えられてきました。
したがって、「一髪、二化粧、三衣装」は、髪、化粧、衣装の順に、身だしなみを整える大切さを述べたことわざとして理解すると自然です。現代の場面で使うときは、人を外見だけで判断する言葉としてではなく、清潔感や装いの調和を考える表現として受け取るのがよいでしょう。
「一髪、二化粧、三衣装」の使い方




「一髪、二化粧、三衣装」の例文
- 一髪、二化粧、三衣装というように、髪を整えるだけで全体の印象が引きしまる。
- 写真撮影の前に、一髪、二化粧、三衣装を意識して、服だけでなく髪も丁寧に整えた。
- 一髪、二化粧、三衣装は、身だしなみの中で髪かたちを重く見ることわざ。
- 成人式の準備では、一髪、二化粧、三衣装の順に考え、まず髪型を決めた。
- 舞台衣装が華やかでも髪が乱れていては惜しいので、一髪、二化粧、三衣装を思い出した。
- 一髪、二化粧、三衣装という表現は、外見だけで人を判断するためではなく、装いの調和を考える言葉として使う。
主な参考文献
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・井原西鶴『好色一代女』1686年。























