【ことわざ】
大きな家には大きな風
【読み方】
おおきないえにはおおきなかぜ
【意味】
裕福な者にも、裕福な者なりの悩みや心配があること。また、物事の規模が大きければ、そこで行われることも大がかりになること。


【類義語】
・大きな所には大きな風が吹く(おおきなところにはおおきなかぜがふく)
「大きな家には大きな風」の語源・由来
「大きな家には大きな風」は、大きな家ほど、広い壁や屋根に多くの風を受けるという光景を、人の境遇や物事の規模に重ねた表現です。外からは立派で恵まれているように見えても、その大きさに応じた悩みや負担があることを表します。
ここでいう「家」は、初めには、人が住む大きな建物を指します。ただし、「家」には、家族が生活するまとまり、代々続く家柄、家の社会的な地位などの意味もあるため、ことわざでは、建物だけでなく、財産や家業を抱えた家全体まで思い浮かべることができます。
「風」は、まず、家に実際に吹き付ける風です。そこから、財産を守るための費用、大きな仕事を動かす苦労、周囲から受ける批判など、その立場に伴うさまざまな負担を表すようになりました。「風当たり」という言葉も、実際に風を受けることから転じて、世間から受ける批判を意味します。
このことわざは、「大きな家」と「大きな風」を対応させた、短く整った形をしています。同じ「大きな」を繰り返すことで、家や立場の規模が増せば、それに伴う悩みや仕事の規模も増すという関係を、耳に残りやすく表しています。
同じ発想をもつ言い方に、「大きな所には大きな風が吹く」があります。こちらも、大きな組織や大きな立場には、それに応じた困難や問題が起こることを、強い風が吹く場所にたとえた表現です。
昭和初期には、この近い形が、政治や経済を論じる文章にも使われていました。『濱口内閣功罪論を中心として(はまぐちないかくこうざいろんをちゅうしんとして)』(昭和6年、濱田紫山著)には、「大きな所には大きな風が吹くと云ふかも知れぬが」とあり、アメリカの不景気について述べる場面で用いられています。
この例では、家や建物に吹く風を述べているのではありません。国や経済の規模が大きければ、そこで生じる不景気や混乱も大きくなるという意味で使われており、家の大小から生まれた比喩が、社会全体の問題へと広げられていたことが分かります。
現在は、「大きな所には大きな風が吹く」という形と、「大きな家には大きな風」という形の両方が伝わっています。前者は、大きな立場や組織に広く当てはまり、後者は特に、裕福な家や大きな事業にも、それなりの心配や負担があることを印象深く表します。
さらに、「大きな家には大きな風」には、規模が大きければ、良いことも悪いことも大がかりになるという意味があります。大きな会社なら、得られる利益も大きくなりますが、必要な資金や人手、背負う責任も増えるというように、物事の一面だけを見ないための言葉でもあります。
このことわざは、裕福な人のほうが不幸であるという意味ではありません。人の暮らしや立場を外から眺めるだけでは、その内側にある苦労までは分からず、大きなものを保ち、動かすには相応の負担が伴うことを教える表現です。
「大きな家には大きな風」の使い方




「大きな家には大きな風」の例文
- 豪邸の修繕費に頭を抱える主人を見て、大きな家には大きな風とはこのことだと思った。
- 事業を全国へ広げた会社は、大きな家には大きな風のとおり、資金や人事の問題も増えた。
- 大きな家には大きな風というように、町一番の商家にも資金繰りや跡継ぎの悩みがあった。
- 全校規模の行事には多くの費用と人手が必要で、大きな家には大きな風を実感した。
- 組織が成長するほど責任も重くなるため、大きな家には大きな風を忘れてはならない。
- 大きな家には大きな風で、店を増やした経営者には新たな利益とともに多くの苦労が生じた。
主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・現代言語研究会著『日本語を使いさばく故事ことわざの辞典』あすとろ出版、2007年。
・濱田紫山『濱口内閣功罪論を中心として』改進社、1931年。























