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【稼は老農に如かず、圃は老圃に如かず】の意味と使い方や例文!故事は?(類義語・英語)

稼は老農に如かず、圃は老圃に如かず

【故事成語】
稼は老農に如かず、圃は老圃に如かず

【読み方】
かはろうのうにしかず、ほはろうほにしかず

【意味】
その道のことは、長年それに直接携わってきた経験豊かな人が最もよく知っているというたとえ。

ことわざ博士
「稼」は穀物を育てること、「圃」は野菜を育てることを表すよ。
助手ねこ
専門的な仕事について、実際の経験を積んだ人の知識や判断を尊重する場面で用いるニャン。

【英語】
・Better leave it to a specialist.(専門のことは専門家に任せるのがよい)

【類義語】
・餅は餅屋(もちはもちや)
・芸は道によって賢し(げいはみちによってかしこし)

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「稼は老農に如かず、圃は老圃に如かず」の故事

故事成語を深掘り

「稼は老農に如かず、圃は老圃に如かず」は、中国の古典『論語(ろんご)』(戦国時代成立)の「子路(しろ)」篇に出てくる孔子と弟子の樊遅(はんち)との問答にもとづきます。『論語』は、孔子と弟子たちの言葉や問答を、孔子の没後に門人たちが書き留め、整理した書物です。

樊遅は孔子に、穀物を育てる方法を学びたいと願い出ました。原文には、「樊遅、稼を学ばんことを請う」とあります。

孔子はその問いに対して、「吾、老農に如かず」と答えました。自分は、長年農作業に携わってきた経験豊かな農夫には及ばない、という意味です。

樊遅は続けて、野菜を育てる方法についても教えを求めました。すると孔子は、「吾、老圃に如かず」と答え、自分よりも経験を積んだ野菜作りの人に学ぶほうがよいことを示しました。

ここでいう「老農」は、長い経験をもつ農夫です。「老圃」は、長年にわたって畑で野菜などを育て、その技術に通じた人を指します。単に年齢が高いというだけでなく、実地の経験を重ねた熟練者という意味が込められています。

樊遅が立ち去ったあと、孔子は弟子たちに、この問答の意味をさらに説きました。上に立つ者が礼を重んじれば人々は敬い、義を重んじれば従い、信を重んじれば誠実に応えるため、四方から人々が子を背負って集まってくると述べています。

孔子が樊遅を批判したのは、農業そのものを価値の低い仕事と見なしたからではなく、政治を担おうとする者は、まず礼・義・信によって人を治める大きな道を学ぶべきだと考えたためです。農作業の具体的な技術は、その仕事に熟達した人から学ぶのがよいという考えも、この答えにはっきりと表れています。

原典の言葉は、「吾不如老農」「吾不如老圃」と、孔子が自分を主語にして語る形です。これが日本語では、「稼は老農に如かず、圃は老圃に如かず」と、仕事と熟練者とを直接比べる形に整えられました。

「如かず」は、比べた相手に及ばないことを表します。そのため、前半は穀物作りについては老農に及ばず、後半は野菜作りについては老圃に及ばないという意味になります。二つを並べることで、実際にその仕事を続けてきた人の知識の確かさを強く表しています。

日本語の古い用例は、松葉軒東井が編んだ『譬喩尽(たとえづくし)』(1786年序・江戸時代後期)にあります。この書物には、ことわざを中心に、詩歌・童謡・流行語・方言などが、いろは順に広く集められています。

『譬喩尽』に収められたことから、江戸時代後期には、『論語』の問答から離れても意味の通じる言い方として用いられていたことが分かります。孔子自身の知識について述べた言葉が、専門家や熟練者の経験を尊ぶ教えへと広がったのです。

現在では、農業に限らず、職人の技、機械の扱い、地域の習慣、仕事上の判断などについて、長く現場に携わってきた人の知識が最も頼りになることを表します。「餅は餅屋」と同じく、その道のことはその道の人に尋ねるのがよいと教える故事成語です。

「稼は老農に如かず、圃は老圃に如かず」の使い方

健太
ミニトマトの苗を植えたんだけど、全然実が大きくならなくて困っているんだよね。
ともこ
それなら、近所で長年すてきな菜園を営んでいるおじいさんにコツを聞いてみたらどうかな?
健太
そうだね、稼は老農に如かず、圃は老圃に如かずと言うし、おじいさんに教えてもらおう!
ともこ
うん、きっと長年の経験から、トマトがよく育つ秘密を親切に教えてくれると思うよ。
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「稼は老農に如かず、圃は老圃に如かず」の例文

例文
  • 稼は老農に如かず、圃は老圃に如かずというから、米作りの方法は長年田を耕してきた祖父に教わった。
  • 果樹の病気については、稼は老農に如かず、圃は老圃に如かずの言葉どおり、経験豊かな農家の判断が役立った。
  • 工場長は、稼は老農に如かず、圃は老圃に如かずと考え、機械の調整を熟練した作業員に任せた。
  • 古い祭りの作法を知るには、稼は老農に如かず、圃は老圃に如かずで、地域の古老に尋ねるのがよい。
  • 稼は老農に如かず、圃は老圃に如かずを心に留め、新任の店長は長く働く職人の意見に耳を傾けた。
  • 本で得た知識だけに頼らず、稼は老農に如かず、圃は老圃に如かずと、現場を知る専門家から助言を受けた。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・『論語』戦国時代成立。
・松葉軒東井編『譬喩尽』1786年序。





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