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【木の股から生まれる】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・対義語・英語)

木の股から生まれる

【ことわざ】
木の股から生まれる

【読み方】
きのまたからうまれる

【意味】
人情を理解しないこと。また、そのような人をたとえていう言葉。特に、人の思いや男女間の情愛に通じない人を指すことがある。

ことわざ博士
木の股から生まれるは、人間らしい情のこまやかさが乏しいことを、木から生まれたようだとたとえる表現だよ。
助手ねこ
人の好意や思いやりに気づかない言動を、やや批判的またはからかいを含めていう場面で用いるニャン。

【英語】
・cold-hearted(情に乏しい、冷淡な)
・insensitive(人の気持ちに鈍感な)

【類義語】
・木石(ぼくせき)
・朴念仁(ぼくねんじん)

【対義語】
・人木石に非ず(ひとぼくせきにあらず)

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「木の股から生まれる」の語源・由来

ことわざを深掘り

「木の股から生まれる」の「木の股」は、木の幹や枝が分かれて、またの形になっているところを指します。古くは『古事記』(712年・奈良時代、太安万侶編)上巻に「木俣」の形が出てきて、木の分かれ目を表す言葉として使われています。

このことわざは、人が母親から生まれたのではなく、木の股から出てきたようだ、という不自然な見立てで成り立っています。人間らしい感情や思いやりを知らない人を、木や石のように情を解しないものにたとえる考え方とつながっています。

「木石」は、もとは木と石を指す言葉です。そこから、情を解さないもの、人間らしい感情のないもののたとえとして用いられるようになりました。

この背景をふまえると、「木の股から生まれる」は、ただ変わった生まれ方を言う表現ではありません。人の心の動きにうとく、思いやりや情愛を受け取れないような人を、木から生じたもののようにたとえる言い方です。

古い用例には、『住吉みやげ』(1708年・江戸時代中期、雑俳)にある「木のまたで生れましたる遊女也」があります。ここでは、遊女でありながら人情を解しないように見える人物を、木の股から生まれたようだと表しています。

雑俳は、江戸時代に広く行われた俳諧系の文芸で、日常のことばや機知を生かして作られました。「木のまたで生れましたる」という言い方も、人間味に乏しい様子を、少しおかしみをこめて言い表したものです。

のちには、「木の股から生まれる」のほか、「木の股で生まる」「木から生まれる」「木の股から出たよう」という形でも言われました。表現の形に少し違いはありますが、いずれも、人情を解しない人をたとえる意味をもっています。

江戸時代後期の『俚言集覧』(1818年ごろ、太田全斎編)には、「木の俣より生もせず又木の俣から出たやうとも云」という趣旨の記述が伝わります。ここから、木の股から生まれた、または出たようだ、という言い回しが、日常のたとえとして広がっていたことが分かります。

幕末の歌舞伎脚本『網模様燈籠菊桐』(1857年・江戸時代後期、河竹黙阿弥作)にも、この表現に近い言い方が出てきます。この作品は、通称を「小猿七之助」といい、1857年に江戸の市村座で初演された世話物です。

このように、「木の股から生まれる」は、江戸時代の雑俳や俚言、歌舞伎のことばの中で、人情や情愛を理解しない人をたとえる表現として用いられてきました。現在も、人の気持ちにあまりに鈍い言動に対して、少し皮肉をこめて使われます。

ただし、この言葉は相手を強くからかったり、責めたりする響きをもつことがあります。使うときは、相手との関係や場面に注意し、人の心を傷つける言い方にならないようにする必要があります。

「木の股から生まれる」の使い方

健太
ともこちゃんが重い図工の材料を運んでいたのに、ぼく、気づかずに先に教室へ行っちゃった。
ともこ
健太くん、今日は少し木の股から生まれたみたいだったよ?手伝ってくれたら助かったのに。
健太
ごめん!声をかければよかったね。次からは周りをちゃんと見るよ。
ともこ
うん。気づいてくれたなら大丈夫!帰りは二人で持っていこう。
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「木の股から生まれる」の例文

例文
  • 友人が落ち込んでいるのに平気で笑っているとは、木の股から生まれるような態度だ。
  • 人の親切にまったく気づかない彼は、木の股から生まれたと言われても仕方がない。
  • 相手の好意を何度も無視するようでは、木の股から生まれたと思われかねない。
  • 木の股から生まれるような言い方をして、せっかくの相談相手を傷つけてしまった。
  • 忙しい家族を見ても手伝おうとしないのは、木の股から生まれるような振る舞いだ。
  • 木の股から生まれた人ではないのだから、少しは相手の気持ちを考えるべきだ。

主な参考文献

・小学館国語辞典編集部編『精選版 日本国語大辞典』小学館、2005〜2006年。
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・太安万侶編『古事記』712年。
・太田全斎編『俚言集覧』1818年ごろ。
・河竹黙阿弥『網模様燈籠菊桐』1857年。





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