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【紺屋の白袴】の意味と使い方や例文!語源由来は?(類義語・英語)

「紺屋の白袴」の漫画

【ことわざ】
紺屋の白袴

【読み方】
こうやのしろばかま

【意味】
他人のために働くことに忙しく、自分自身のことには手が回らないことのたとえ。専門の仕事をしていながら、自分のことにはその技術を生かしていない場合にもいう。

ことわざ博士
紺屋の白袴は、人のためにはよく働くのに、自分の身の回りはおろそかになるという状態を表す言葉だよ。
助手ねこ
専門家や得意な人が、他人には十分に力を尽くしながら、自分のことを後回しにしている場面で用いるニャン。

【英語】
・The cobbler’s children go barefoot.(靴屋の子どもは裸足で歩く)
・The shoemaker’s son always goes barefoot.(靴屋の息子はいつも裸足でいる)

【類義語】
・医者の不養生(いしゃのふようじょう)
・髪結い髪結わず(かみゆいかみゆわず)
・易者身の上知らず(えきしゃみのうえしらず)
・坊主の不信心(ぼうずのふしんじん)

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「紺屋の白袴」の語源・由来

ことわざを深掘り

「紺屋の白袴」は、染め物を仕事にする紺屋が、他人の布や着物は染めているのに、自分の袴は白いままにしている、というたとえから成り立ったことわざです。紺屋は、もとは藍で布を紺色に染める職人を指し、のちには染め物屋を広く指す言葉として使われました。

「紺屋」は「こうや」とも「こんや」とも読み、古くは「紺掻(こんかき)」とも呼ばれました。藍染めでは、藍が底に沈まないようにかきまぜながら染めるため、「掻く」という動作を含む呼び名が用いられたと説明されています。

古い形としては、「紺掻の白袴」があります。『三十二番職人歌合』(1494年ごろ・室町時代後期)には、「紺かきの白袴」という言い方が出てきます。この段階では、現在の「紺屋」という形ではなく、藍染め職人を表す古い呼び名「紺掻」が使われています。

この古い用例では、紺色に染める仕事をする人と、染まっていない白い袴との取り合わせが、印象の強い言い方になっています。染め物をする人なら自分の袴も染められそうなのに、実際には白いままである、という意外さが、後の意味につながっていきます。

江戸時代後期には、山東京伝の考証随筆(こうしょうずいひつ)『骨董集(こっとうしゅう)』(1814〜1815年刊、山東京伝著)にも、このことわざが取り上げられています。『骨董集』は、昔の風俗や道具、言い伝えなどを考え調べて記した書物で、山東京伝が晩年に力を注いだ考証の仕事の一つです。

「紺屋の白袴」という形では、他人のためにばかり忙しく、自分のことに手が回らないこと、また、いつでもできるはずなのに自分のことは放っておくことを表すようになりました。古い「紺掻の白袴」から、より一般的な職業名である「紺屋の白袴」へと形が整い、意味も日常のたとえとして広がっていったと考えられます。

このことわざには、別の見方もあります。染料を扱いながら、自分の白袴にはしみ一つつけない職人の技や心意気を表したものとする説です。ただし、この説を裏づける用例は見当たらないとされています。そのため、現在の解説では、他人のものを熱心に扱いながら自分のことは後回しにする、という意味を中心に理解するのが自然です。

「紺」と「白」は色の対比がはっきりしているため、このことわざは耳で聞くだけでなく、目にも場面が浮かびやすい表現です。江戸時代から今日までよく使われてきたのは、染める仕事と白い袴という取り合わせが、意味を分かりやすく伝えるからだといえます。

「紺屋の白袴」の使い方

健太
ともこちゃん、昨日はみんなの読書感想文を見てくれてありがとう。ところで、自分の感想文は出せたの?
ともこ
みんなの文章を直すのに時間を使いすぎて、自分の感想文は下書きのまま提出期限を過ぎてしまったの……
健太
それは紺屋の白袴だね。文章が得意で人の手伝いはできるのに、自分の分が間に合わなかったんだ。
ともこ
本当にその通りだよ!次からは、先に自分の感想文を仕上げてから友だちの相談に乗るね。
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「紺屋の白袴」の例文

紺屋の白袴
  • 料理教室の先生が毎日生徒の献立を考えているのに、自分の夕食はいつも簡単なもので済ませていて、紺屋の白袴だ。
  • 美容師の姉は客の髪を美しく整えるが、自分の髪は何日も手入れしておらず、紺屋の白袴と笑われた。
  • パソコンに詳しい父が近所の人の設定を直して回る一方で、自分のパソコンの不具合を放置しているのは紺屋の白袴だ。
  • 整理収納の仕事をしている人の自宅の書類が山積みになっていると聞き、紺屋の白袴という言葉を思い出した。
  • 歯科医である叔父が患者には歯みがきをすすめながら、自分の検診を後回しにしているのは紺屋の白袴である。
  • 学級新聞の係として友人の記事を丁寧に直していたら、自分の記事が未完成のまま締め切りになり、紺屋の白袴になってしまった。

主な参考文献
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・北村孝一編『ことわざを知る辞典』小学館、2018年。
・小学館国語辞典編集部編『デジタル大辞泉』小学館。
・山東京伝『骨董集』鶴屋喜右衛門、1814〜1815年。
・『三十二番職人歌合』1494年ごろ。





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