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【車を借る者は之を馳せ、衣を借る者は之を被る】の意味と使い方や例文!故事は?

車を借る者は之を馳せ、衣を借る者は之を被る

【故事成語】
車を借る者は之を馳せ、衣を借る者は之を被る

【読み方】
くるまをかるものはこれをはせ、ころもをかるものはこれをきる

【意味】
人から借りた物は、自分の物ほど大切にせず、扱いが雑になりやすいというたとえ。

ことわざ博士
「馳せる」は借りた車を惜しげなく走らせ、「被る」は借りた衣を着ることを表すよ。
助手ねこ
自分の損にならないからと、借り物や預かり物を粗末に扱う人を戒める場面に用いるニャン。
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「車を借る者は之を馳せ、衣を借る者は之を被る」の故事

故事成語を深掘り

この言葉は、『戦国策(せんごくさく)』(前漢末、劉向編)の「趙策」にある一節に基づきます。『戦国策』は、中国の戦国時代に諸国を訪れた人々の弁論や策を国別にまとめた書物で、劉向が宮中の蔵書を整理して三十三編にまとめ、『戦国策』と名づけました。

この話に登場する孟嘗君(もうしょうくん)は、斉(せい)の公族で、姓を田、名を文といい、多くの食客を抱えていた人物です。趙(ちょう)の王から武城という土地を与えられた孟嘗君は、その土地を治める家臣を選び、任地へ送り出そうとしました。

そのとき、孟嘗君は、家臣たちに「鄙語(ひご)に、借車者馳之、借衣者被之というではないか」と問いかけました。「鄙語」は、民間に伝わる通俗的な言い回しを指します。そのため、この言葉は孟嘗君がその場で作ったものではなく、すでに世間で知られていた言い伝えとして、物語に取り入れられています。

「借車者馳之、借衣者被之」とは、車を借りた者はその車を走らせ、衣を借りた者はその衣を着るという意味です。南宋の鮑彪が施した注には「蓋常常馳被而弗愛也」とあり、借りた車や衣を何度も使いながら、その傷みを惜しまず、大切にしない態度を表すと説いています。

しかし、孟嘗君は、このような態度をよいものとは認めませんでした。車や衣を貸してくれる相手は親しい友人や兄弟なのだから、その車を乱暴に走らせたり、その衣を惜しげなく着たりするのは正しくないと語ります。

さらに、孟嘗君は、趙の王から与えられた武城も、自分が預かっているものと同じだと考えました。そこで、任地へ向かう家臣に、木を切らず、家屋を壊さず、趙の王が自分をふさわしくない人物だと気づいたときには、土地を無傷のまま返せるように治めてほしいと命じました。

もとの話では、この言葉は借り物を自由に使うことを勧めるためではなく、そのような人の身勝手な態度を退けるために使われています。身近な車や衣の貸し借りを例に挙げ、土地や権限を人から預かる者は、自分の所有物以上に慎重に扱うべきだという教えへとつなげているのです。

この一節は、北宋の李昉らが編纂し、983年に完成した『太平御覧(たいへいぎょらん)』にも、『戦国策』からの引用として収められました。そこでも、孟嘗君が武城の木や家屋を傷つけず、完全な形で返せるように命じた話が伝えられています。

日本語では、原文の「借車者馳之、借衣者被之」を訓読した「車を借る者は之を馳せ、衣を借る者は之を被る」という形で用いられ、「被る」は「きる」と読みます。現在では、衣服や乗り物に限らず、本、道具、学校や職場の備品など、他人から借りたり、共同で使ったりする物を粗末に扱う態度への戒めとして用いられます。

「車を借る者は之を馳せ、衣を借る者は之を被る」の使い方

健太
図書館で借りた図鑑、勢いよくめくって破れそうになっちゃったよ。
ともこ
ちょっと待って、自分の本じゃないからって雑に扱ったらダメだよ!
健太
車を借る者は之を馳せ、衣を借る者は之を被るという言葉通りだね、反省しなきゃ…。
ともこ
借りた物こそ自分の物以上に大切に扱うのがマナーだから、これからはもっと気をつけようね!
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「車を借る者は之を馳せ、衣を借る者は之を被る」の例文

例文
  • 友人から借りた自転車を乱暴に乗り回すとは、車を借る者は之を馳せ、衣を借る者は之を被るそのものだ。
  • 図書館の本のページを折り曲げる行為は、車を借る者は之を馳せ、衣を借る者は之を被るという戒めを忘れた振る舞いだ。
  • 車を借る者は之を馳せ、衣を借る者は之を被るとならないよう、学校の備品は自分の物以上に丁寧に扱いたい。
  • 彼が借りた上着を汚しても気にしない様子は、車を借る者は之を馳せ、衣を借る者は之を被るという言葉の通りだった。
  • 会社では、車を借る者は之を馳せ、衣を借る者は之を被るを戒めとして、共有の機器を使った後には必ず点検している。
  • 車を借る者は之を馳せ、衣を借る者は之を被るという人の弱さを自覚し、借りた道具をきれいに手入れして返した。

主な参考文献

・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・劉向編『戦国策』前漢末。
・李昉ほか編『太平御覧』983年。





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