【ことわざ】
内で掃除せぬ馬は外で毛を振る
【読み方】
うちでそうじせぬうまはそとでけをふる
【意味】
家庭でのしつけや日ごろの習慣がよくないと、外での振る舞いに出てすぐ分かるというたとえ。


【類義語】
・内の習いは外で出る(うちのならいはそとででる)
・家ではだかれば外ではだかる(いえではだかればそとではだかる)
「内で掃除せぬ馬は外で毛を振る」の語源・由来
「内で掃除せぬ馬は外で毛を振る」は、馬の手入れの様子を、人のしつけや日ごろの習慣に重ねたことわざです。家の中、つまり「内」で整えておかないものは、「外」に出たときに隠しきれず表に出る、という考え方を表しています。
「掃除」は、塵や汚れを払い除くことを意味します。このことわざでは、家の掃除というよりも、飼い主が馬の体をきれいに手入れすることを表しています。
馬は、昔の暮らしの中で人を乗せ、荷を運び、農耕や軍事にも用いられた身近な家畜でした。そのため、日本のことわざには、馬の力、癖、毛、世話のしかたなどをもとにした表現が多く伝わっています。
もとの見立ては、手入れされていない馬が外へ出たとき、体の汚れを落とそうとして毛を振るというものです。その様子を見れば、飼い主が日ごろきちんと世話をしていないことが分かります。
ここで大切なのは、外で毛を振る馬そのものよりも、その背後にある「内で整えていなかったこと」が外で分かってしまう点です。馬の毛の乱れや汚れが飼い主の手入れ不足を示すように、人の外での態度も、家での習慣やしつけを示すものと考えられました。
「しつけ」は、礼儀作法や生活習慣を身につけさせることを指します。このことわざでは、家庭でのしつけが足りないと、外での言葉づかい、食事のしかた、人への接し方などに表れる、という意味へ移っています。
日本のことわざには、「内」と「外」を対にして、人の態度や家の体面をいうものが多くあります。「内の習いは外で出る」「内閻魔の外恵比須」「家ではだかれば外ではだかる」なども、家の中でのあり方が外の姿に関わるという発想をもっています。
その中で「内で掃除せぬ馬は外で毛を振る」は、馬という具体的な動物の姿を使うため、意味が目に浮かびやすい言い方です。家の中で整えていないことは、外へ出たとき自然に表れる、という戒めを分かりやすく伝えています。
ただし、このことわざは、人を強く責める響きをもつことがあります。用いるときは、相手を決めつけるためではなく、日ごろの習慣や礼儀が外での振る舞いに表れることを戒める言葉として受け取るのがよい表現です。
現在では、馬の手入れそのものを言うよりも、家庭や身近な場で身についた態度が、学校・職場・公共の場で表に出るという意味で使われます。内で整えることの大切さを、馬の毛を振る姿に託したことわざです。
「内で掃除せぬ馬は外で毛を振る」の使い方




「内で掃除せぬ馬は外で毛を振る」の例文
- 食事の作法を家で身につけていないと、会食の席で内で掃除せぬ馬は外で毛を振ることになる。
- 店の中で大声を出して走り回る子を見ると、内で掃除せぬ馬は外で毛を振るという言葉を思い出す。
- あいさつをしない習慣は学校でも出るので、内で掃除せぬ馬は外で毛を振ると言われないようにしたい。
- 家庭での言葉づかいが悪いと、友人の前でも内で掃除せぬ馬は外で毛を振る形で表れる。
- 公共の場所での態度を見ると、内で掃除せぬ馬は外で毛を振るということわざの意味がよく分かる。
- 子どもだけでなく大人にも、内で掃除せぬ馬は外で毛を振るという戒めは当てはまる。
主な参考文献
・佐竹秀雄・武田勝昭・伊藤高雄編、北村孝一監修『故事俗信ことわざ大辞典 第二版』小学館、2012年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・松村明監修、小学館大辞泉編集部編『大辞泉 第二版』小学館、2012年。
・馬場俊臣「『馬』に関することわざ:「馬」をどう捉えてきたか」『札幌国語研究』第20号、北海道教育大学国語国文学会・札幌、2015年。
・福居誠二「デンマークの諺の語彙について」『IDUN』第10号、1992年。























