【故事成語】
足を削りて履に適せしむ
【読み方】
あしをけずりてくつにてきせしむ
【意味】
物事の本末を取り違え、大切な目的や中身を損なってまで、ささいな条件や形に無理に合わせることのたとえ。


【英語】
・a Procrustean approach(個々の事情を無視して、無理に一つの型へ合わせるやり方)
【類義語】
・本末転倒(ほんまつてんとう)
・截趾適履(せっしてきり)
【対義語】
・臨機応変(りんきおうへん)
「足を削りて履に適せしむ」の故事
「足を削りて履に適せしむ」は、中国の古典『淮南子(えなんじ)』に出てくる「削足而適履」に基づく故事成語です。『淮南子』は、中国・前漢の淮南王であった劉安(りゅうあん)が編ませた論集で、道家思想を中心に、政治・天文・地理など広い内容を含む書物です。
もとになる一節は、『淮南子』の「説林訓」にあります。原文には「夫所以養而害所養,譬猶削足而適履,殺頭而便冠」とあり、身を養うためのものが、かえってその身を害することのたとえとして、足を削って履物に合わせること、頭を傷つけて冠に合わせることが並べられています。
この原文の考え方では、履物は人の足を守るためのものです。ところが、履物の大きさに足を合わせようとして足を削れば、守るべき足そのものを傷つけてしまいます。ここに、目的と手段を取り違えるという、この故事成語の中心があります。
「削足」は足を削ること、「適履」は履物の大きさに合わせることを表します。中国でまとまった表現としては「削足適履」といい、日本語ではその意味を訓読した形として「足を削りて履に適せしむ」とも用いられます。
この故事成語は、単に「合わない靴」の話ではありません。小さな不都合をなくそうとして、かえって大きな害を招くこと、また、客観的な条件や実際の事情を無視して、別の型に無理やり合わせようとすることを表す言葉として受け継がれてきました。
日本語で使う場合も、外側の形や決まりを守るために、内容・目的・人の暮らしなどを犠牲にする場面でよく当てはまります。つまり「足を削りて履に適せしむ」は、合わせるべきものを取り違えると、本来守るべきものまで失ってしまうという戒めを含む故事成語です。
「足を削りて履に適せしむ」の使い方




「足を削りて履に適せしむ」の例文
- 会議資料のページ数に合わせるため、結論の根拠を消すのは、足を削りて履に適せしむに近い。
- 古い規則を守るために、子どもの安全確認を省くのは、足を削りて履に適せしむである。
- 家計簿の数字をきれいに見せるため、必要な医療費まで削る計画は、足を削りて履に適せしむだ。
- 発表時間に収めようとして、一番大事な説明を抜いてしまえば、足を削りて履に適せしむとなる。
- 作業手順に合わせるだけで現場の危険を見落とすなら、足を削りて履に適せしむの結果を招く。
- 制服の見た目だけを重んじて、寒さで体調を崩すほど我慢させるのは、足を削りて履に適せしむといえる。
主な参考文献
・公益財団法人日本漢字能力検定協会『漢字ペディア』。
・北京・商務印書館・小学館共同編集『中日辞典 第3版』小学館、2016年。
・日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部編『日本国語大辞典 第二版』小学館、2000〜2002年。
・平凡社編『百科事典マイペディア』平凡社。
・Merriam-Webster, Inc.『Merriam-Webster.com Dictionary』Merriam-Webster, Inc.。
・劉安編『淮南子』前漢、紀元前2世紀。























